Record China 2010年9月7日(火) 14時25分
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もうすぐ中国は中秋節の季節だ。美しい月を眺めながら、親族や友人達と月に見立てた月餅(ユエビン・中華風のお饅頭)を食べ、円満を願うというこの伝統行事は、美しくもあるが、その裏には人々の様々な思惑が交錯している。写真は月餅。
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この時期、中国ではそこかしこで月餅が店頭に並んでいる。百貨店やスーパーなどで目につくのは、仰々しい赤と金で彩られた大きな箱に月餅が5〜6個入ってウン百元(約数千円)というセット。月餅に添えてお酒や高級茶葉がついたセットなら2000元(約2万4800円)を超える物もある。どうしてそんなに高いのだろう。
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中秋節(中秋の名月)に食べられる季節の伝統菓子・月餅は、中国では高級なお菓子だ。あんこを詰めたおまんじゅうのような菓子だが、きちんとした製法で作った月餅は、コクがありながら甘すぎず、しっとりとして、とても美味しい。また、中身も見た目も非常に凝ったものが多い。
美しい月を眺めながら、親族や友人達と月に見立てたまるい月餅を食べ、親しい人たちの円満を願うというこの伝統行事は、現代でも脈々として続いている。
そのせいか、昔から月餅は贈答品として重宝されていた。ところが、今スーパーや百貨店で販売されているような物はどういうわけか、値段に関わらずそれほどおいしくない。なので、本来は中秋節の主役であるはずの月餅は、あちこちからいただいても冷蔵庫の奥底で冬眠してしまうのが常だそうだ。そのため、より商品価値のあるお酒や高級茶葉がセットとしてつけられるようになった。
お酒や茶葉はついていなくとも、月餅そのものは依然として高級な贈り物のイメージがある。誰かが贈れば、貰った人はそれをまた別の人に贈り、その人がまた別の人に…と、使い回されることを考慮した上で、月餅を贈る場合もあるそうだ。「だって、そうしたら貰った人は自分で“賄賂”を準備する必要が無くなるだろ?贈ったところで所詮は月餅だ。あからさまな物を贈るよりは、イメージが良い!」
それならば、最終的に“誰か”の家で大量の月餅が溜まることになったりしないのだろうか。長旅を経てやってきた月餅の山を前に、彼らは何を思うのだろう。元々は非常に美しい伝統行事なのに、気付けばなんだか人間の腹黒さが垣間見えるような…。いまさら原点回帰、したりしないだろうなあ…。(八木幸代/25歳/中国在住7年/自由業)
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