人材流出のあとは資産流出が始まった…将来の見えない中国―米メディア

Record China    2011年6月18日(土) 5時20分

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15日、中国が改革開放政策を実施して30年の間、多くの優秀な人材が海外へ流出したが、今度は資産までもが国外に流れている。その大きな理由は、汚職にまみれた政治体制と国の未来に対する不安だ。写真は11年2月、中国貴州省の人材市場。

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2011年6月15日、中国が改革開放政策を実施して30年の間、多くの優秀な人材が海外へ流出したが、今度は資産までもが国外に流れているという。その大きな理由は、汚職にまみれた政治体制と国の未来に対する不安だ。米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道。

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改革開放政策を敷いた1978〜2009年の間に、中国はのべ162万人の留学生を世界に送り出した。うち、帰国したのはたったの49万人。3分の1にも満たない計算となる。また、同じ期間に、トウ小平による「先富論(富める者から先に富め)」によって多くの“中国的な特色を持った”富豪が誕生した。中国在住英国人ジャーナリスト、ルパート・フーゲワーフ氏による長者番付「Hurun Report(胡潤百富)」によると現在、資産1000万元(約1億2440万円)以上の富豪は全国に97万人。しかし、このように表立った資産家のほかに国内に存在する“隠れ富豪”は、その2倍の数が存在すると考えられている。

中国人民銀行(中央銀行)が最近発表した報告では、90年代中期以来、1万8000人に上る共産党幹部、公安局幹部、企業上層部などが国外に“移動”した資産は8000億元(約10兆円)。北京理工大学の胡星斗(フー・シンドウ)経済学教授は、諸悪の根源は国有企業だと指摘する。国有企業が政府の後押しを受けて海外進出を進めた結果、国有の資金が国外に流出する格好の経路となってしまったからだという。政府は国営企業こそが政権を維持する基礎と考えているかもしれないが、国営企業が増えれば増えるほど汚職がはびこり、国民の不満は増大する。汚職の蔓延と経済格差拡大…つまり、逆に政権の危機に近づいているのだ。「反汚職活動は党(共産党)を滅ぼすが、反汚職を封じれば国が亡びる」と言われるゆえんである。

こうした社会情勢下、個人的に資産を築いた人々が考慮するのは海外へ移住すること、そして財産を海外に移すことだ。彼らの多くは、中国には金銭で解決できない問題があると考えている。法制度や教育制度、社会福祉制度、環境問題、食品安全、そして漠然とした未来への不安など…また、富める者に対する世間の厳しい目線。CNNの報道では、中国の資産1億元以上の富裕層のうち47%が海外移住を考慮中で、27%がすでにそれを実行に移している。08〜10年の3年間、中国の個人投資家による海外への投資額は年100%の割合で成長している。

汚職で財を貯めこんだ者も、努力によって財を築いた者も、揃って資産を海外に移そうとしている。その理由は共通している―中国の社会制度に、前途に、不安と恐れを感じているからだ。(翻訳・編集/愛玉)

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