2011年11月23日、英紙デイリー・テレグラフによると、欧米諸国が財政難に苦しむ一方で、中国では年度末に向けての公務員による“予算消化”が始まっている。11月から12月末までに消化される金額は、3兆5000億〜4兆5000億元（約42兆〜54兆円）にも上るという。27日付で環球時報が伝えた。

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中国の財政年度は、毎年12月31日で締め切られる。年度末までに残された期間中に予算を使い切るために、11月、12月は公務員の“公費活用”がいっそう盛んになる。食事会や酒席、忘年会が頻繁に開催され、オフィス備品の購入額は上昇し、パソコンの買い換えや出張が急増する。

中国財政部は、11月、12月の2カ月間で3兆5000億元が消化されると見込んでいる。この額は中国の公共支出予算の約3分の1に相当する。スタンダードチャータード銀行のエコノミストが予想する金額はさらに大きく、第4四半期（10〜12月）だけで4兆〜4兆5000億元（約48兆〜54兆円）が消化されると見込んでいる。

中国の政府高官に絶大な人気を誇る車・アウディのあるディーラーによると、例年11、12月に黒のアウディの販売台数は30％増になる。これから年末にかけて、政府関係者の購入が増えると予想される。

こうした傾向について、中国政法大学の王敬波（ワン・ジンボー）教授は「以前は年度末の予算消化状況と翌年の予算とは関係がなかった。予算の新たな規定はより厳格になり、ある種の完全性を追求したものだが、哀しいかな、人とはそういう性なのだ。年度末の予算大量消化の原因はこれ以外に、プロジェクトの延期や公務員の仕事の遅れによる駆け込み処理もある」と分析している。

しかし、予算消化が行われる一方で、多くのプロジェクトは予算不足に陥っている現状がある。天津財経大学の李●光（リー・ウェイグアン＝●は火偏に韋）教授は「公務員は予算を有効に使うことに責任があると感じておらず、その執行と監督にも有効な方法はない」と語っている。（翻訳・編集/HA）