人民網日本語版 2018年2月8日(木) 6時50分
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過去の長い時期にわたり、「メイド・イン・ジャパン」は誠実で、確かで、信頼できることの代名詞だった。だが2017年になると、相次ぐ有名企業の不祥事により、「メイド・イン・ジャパン」には暗い影が差すようになった。
過去の長い時期にわたり、「メイド・イン・ジャパン」は誠実で、確かで、信頼できることの代名詞だった。日本企業のイメージを語る時には、「磨きに磨きをかける」とか「匠の精神」とかいった言葉がしばしば使われていた。だが2017年になると、相次ぐ有名企業の不祥事により、「メイド・イン・ジャパン」には暗い影が差すようになった。一体、「メイド・イン・ジャパン」神話にどのように向き合えばよいのだろうか。北京日報が伝えた。(文:袁堂軍・復旦大学経済学院教授、同大アジア経済研究センター長)
現代の企業の不正行為は大まかにいって製品の技術指標の改ざんと財務報告データのねつ造の2種類に分けられ、社会経済学的な2つの基本知識に基づいて解説すると、まず企業とは利益の最大化を追求するエコノミーであり、利己的な性質を有しているものだといえる。また、監督管理制度が不備で、市場に関する情が不透明であるという状況の中では、売り手は情報の非対称性を利用したり、非対称性を自ら生み出したりして、自身の利益の最大化を追求する傾向があるといえる。
企業が不正行為を働くかどうかは、経営陣の価値観や道徳レベルによって決まるだけでなく、企業文化とガバナンス制度が整っているかどうかも影響する。そこで取引の公平性を保ち消費者の利益を保護しようとするなら、企業の自律性と覚悟に期待するだけではだめだ。
ここ数年間に起きた日本企業の一連の不正事件を詳しくみていくと、3つの特徴があることがわかる。1つ目は不正があった企業のほとんどが技術指標の改ざんを行っていること。2つ目は企業内部の人および関係者の告発によって不正が明らかになったケースが多いこと。3つ目は不正は06年以降に集中的に発生していることだ。こうした特徴の背後に、日本企業が直面する経営環境の変化がうかがえ、日本の企業文化や企業のガバナンスモデルに存在する構造的問題が浮かび上がってくる。
1960年代後半以降、日本政府の産業政策においても企業の自主的な発展プランにおいても、海外市場を開拓して外需を拡大するために、革新と品質の重要性が認識されるようになった。「拿来主義」(海外のよいものは取り入れて自国の発展に役立てようとする考え方)を基礎に、科学技術への投資を増やし、「匠の精神」を存分に発揮して、磨きに磨きをかけた高い標準の日本製品を作り出し、かくて「メイド・イン・ジャパン」は世界で高く評価されるようになった。だが経済の一層の発展にともない、日本では人件費が高騰し、企業はよりよい業績を上げるため、品質向上と品質管理をとことんまで追求するようになった。これと同時に、企業は長らく相対的に安定した取引関係を保っていたため、国際競争環境の変化への対応や新しい科学技術ツールを運用した経営モデルの改善への反応が鈍かった。
90年代初期になると、バブル経済が崩壊し、日本経済は成長力が不足し、「失われた20年」に突入した。大企業はコストを引き下げ、市場を獲得するため、海外直接投資へと次々にかじを切り、供給チェーンにある関連企業は大企業の後を追って海外に進出し、国際分業競争に乗り出すか、あるいは日本にとどまって製造業の空洞化の進行に直面し、モデル転換・バージョンアップを図るか、どちらかになった。だがどちらを選択するにせよ、企業はそれまでの生産・経営モデルを改善して新しい競争環境や新ルールに適応せざるを得なくなった。特に00年以降は、新興国の勃興にともない、グローバル分業モデルがバリューチェーン分業時代に突入した。バリューチェーンの中にいる企業は世界中の大勢のライバルたちと戦わざるを得なくなり、最も優れた製品しか最終的に市場の評価を得られなくなった。そこで日本企業の経営者も管理職も従業員も、より質の高い製品を求めて極限まで努力したため、過労問題や不正行為がしばしば発生するようになった。
日本社会や企業文化について語る時、「集団主義」ということがよく言われる。集団主義のプラスの側面として、企業内部の人々が協力して一致団結し、相対的に独立した供給チェーンによる経営モデルの下、企業内部と関連企業の資源を統合し、その優位性を存分に発揮するということがある。だが同時に、日本社会には「イエ文化」の伝統が根付いており、これが企業文化にもしみこんで、「ムラ文化」などと言われてもいる。「内と外は別」で閉鎖性が強く、これに年功序列の職場の慣習が加わり、日本企業独特の「身内の恥は外に漏らすな」という企業統治の傾向が生まれた。企業に不正行為があっても、それは「内輪の出来事」とみなされ、隠蔽され、企業は外部の目から庇護される。品質改良や管理の取り組みに限界がある中、利益の最大化を追求する一連の企業が行き詰まって不正に手を染めても、告発されることはまれだ。
日本の企業管理制度と社会制度は受け身であれ、主体的であれ、今や自分で自分を否定するしかない段階に近づいたか到達している。
これまでの自己完結の閉鎖型日本企業文化は、新しい科学技術の波に押されて徐々に崩壊している。モノのインターネット(IoT)やセンサーといった新技術が普及し、人と人、企業と企業との情報のやりとりがますます便利になり、部品の調達ルートもますます多様化し、国境を越えた企業間の提携や協力がますます頻繁に行われるようになり、こうした動きにともなって製品の指標や故障の検査測定もこれまでよりずっと容易になった。ビッグデータと人工知能(AI)の時代が到来して、改ざんなどの不正行為が検出されやすくなり、これまでにないほど世界規模での問題拡散ペースが速まり、問題が可視化されるようになったということだ。不正行為の発覚が企業に与えるマイナス影響も今後ますます大きくなるとみられる。
確かなことは、情報がますます可視化される未来の環境の中、危機管理モデルでは内側を向いた閉鎖的な隠蔽モデルに別れを告げ、時代の変化に主体的に順応し、十分な信用を保障するシステムと製品の欠陥を警告するメカニズムを再構築するというのが、企業が国際競争力をつける上でますます欠かせない取り組みになっているということだ。日本の有名企業の不正問題が明らかになるにつれ、「メイド・イン・ジャパン」の輝きが全体として薄れてきており、これは「メイド・イン・チャイナ」にとってはまたとないチャンスだ。だが中国が制度の構築や進歩を積極的に探求せず、日本企業が思い切った方法でこれまでの企業文化の悪習に別れを告げ、国際的企業文化を身につけた企業への転身に成功し、国際標準の企業統治モデルを実現させたなら、中国の製造業企業はこれまでよりもっと大きな課題に直面することになる。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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