木口 政樹 2019年12月16日(月) 23時0分
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今回は韓国の最近の話題のラフスケッチをしておきたい。写真はトランプ米大統領訪韓時の韓国。
今回は韓国の最近の話題のラフスケッチをしておきたい。
10月14日にチョ・グク氏が法務長官を辞任するという事態にまで発展したあと、チョ・グク問題は妻の拘束をうけて一段落した。現在は娘の大学入学の不正や、チョ・グク氏および妻のファンド不正などの疑惑をめぐって検察と弁護団の攻防戦となっている。ニュースにはほとんど出ないようになっている。
このところのメインの話題は、軍事情報包括保護協定(GSOMIA、ジーソミア)」の破棄の延長を決定したことがまずある。突然の延長決定だった。筆者も11月のあのときには驚いたものだ。ほぼ100%、破棄するといっていた文政権だった。それが失効数時間前に破棄しないと発表したのだ。米の圧力があったともいわれているけど、どこまでの圧だったかはわからない。
北朝鮮国防科学院は「13日22時41分から48分まで西海(ソヘ=日本海)衛星発射場で重大な試験が再び行われた」と14日に明らかにした。東倉里のこの衛星発射場は昨年6月、シンガポールで行われた米朝首脳会談当時、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がドナルド・トランプ米大統領に廃棄を約束した場所でもある。北朝鮮は今月7日にも、西海衛星発射場で「重大な試験」を実施したと明らかにしている。
こうした北の挑発行為に対して米もこんなことをやっていると北に大きなダメージが発生するだろうと警告性のメッセージを出してはいるものの、今のところ北の腹を探っているような様子だ。
北は以前、経済制裁の緩和をしてほしい、今年12月末がその限界期限だとのメッセージを出している。12月末までになんらかの緩和策が出てこない場合は、米にとってのクリスマスプレゼントがどんなものになるかわからないぞと脅しをかけていた。ネット上には、朝鮮半島での戦争の雰囲気がだんだん高まってきているという内容も見られるようになってきた。今後、北と米、北と韓国の関係がどうなっていくか。この年末がまずはひとつの大きな山場となることはまちがいない。日本に対しても何らかの挑発があるかもしれないけど、順番としては米そして韓国、その次に日本というものであろう。米に向けてのICBMの発射実験が行われるようなことになった場合、米(トランプ)がどう出てくるか。
12月15日に米の北朝鮮政策特別代表スティーブ・ビーガンが、3日間の日程で韓国を訪問する。ビーガン氏は南北軍事境界線がある板門店での北朝鮮側との接触を模索しているもようだが、北朝鮮が相次いで大陸間弾道ミサイル(ICBM)関連とみられる「重大な実験」を実施するなど米国への挑発を繰り返しており、接触は難しいと思われる。
ビーガン氏は16日にソウルの外交部で李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長と会談し、北朝鮮が7日と13日に「重大な実験」を実施したとする北西部・東倉里の西海衛星発射場の関連動向について意見を交換し合い、北朝鮮を再び対話の場に戻す方策を議論する予定。
両氏は会談後の記者会見で、挑発を自制し非核化交渉に復帰するよう求める北朝鮮へのメッセージを発表するものと見られる。北朝鮮が最後まで挑発を続ける場合、追加制裁に乗り出すこともあると警告する可能性もある。
ビーガン氏は、海外出張中の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官に代わり趙世暎(チョ・セヨン)同部第1次官とも会談する。ビーガン氏は国務副長官に指名されており、就任すれば韓国側カウンターパートは趙氏になる。そのほか金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一部長官との懇談会に出席し、韓国大統領府関係者や朝鮮半島専門家らと意見を交換する。同氏は訪韓後、日本を訪問し外務省の滝崎成樹アジア大洋州局長らと会談する予定だとされている。
今年末から来年2020年の年明けにかけて、朝鮮半島はまた目の離せない状況になってきた。緊張が高まる中、韓国市民はいまのところ冷静にこれらの状況を見守っている。
■筆者プロフィール:木口 政樹
イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大学校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓国』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。 著書はこちら(amazon)Twitterはこちら※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。
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