<在日中国人のブログ>「日本に来て良かった」と言いたくなった日本人との出会い

黄 文葦    2018年2月22日(木) 19時20分

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周りの多くの友人・知り合いが日本人に中国語を教えている、と最近気づいた。写真は苗加さん。筆者提供。

周りの多くの友人・知り合いが日本人に中国語を教えている、と最近気づいた。ある友人が中国のアプリであるウィチャットで中国語講師というグループを作ったところ、一気に300人近くの中国語講師が集まったという。皆が中国語講師の仕事を日々切磋琢磨しているようである。というわけで、中国語を勉強する日本人がますます増えているのではないか、と考えられる。

好奇心に駆られて、長年中国語講師の仕事に携わっている友人の李さんに「日本人はなぜ中国語を勉強するのでしょうか」と聞いてみた。

昨年末、李さんは中国語スクールを立ち上げた。李さんによると、仕事関係で中国語を勉強しなければならないケースが多い。そして、単純に中国と中国人を理解しようとする日本人もいる。2020年の東京五輪で、中国語の通訳ができるボランティアになりたい方が現在一生懸命に中国語を勉強しているという。

そして先日、乃木坂にある李さんの事務所で、60代の学生である苗加隆さんに取材した。

苗加さんは30数年前、大学時代の第二外国語が中国語であった。「若い頃は中国語が面白いと思わなかった。その後、大勢の中国の友達と知り合って、普通に挨拶、交流ができたらいいと思いました」と語っている。苗加さんがもう一度中国語を勉強しようと考えたきっかけは多くの中国人の友達ができたからである。

苗加さんは地元の川崎で20数年に渡り、外国人に日本語を教えるボランティアの仕事を続けている。

90年代、訪日外国人が徐々に増え、90年代半ばころのある日、苗加さんは地元の公民館で外国人の生活に関する講座を受講した。この講座を受講したメンバーが集まり、「外国人の力になれば」という趣旨で日本語を教えるボランティアを始めたという。

「外国人に単に日本語を教えるのではなく、外国人と友達になろうという思いで、テキストを使わないで、自然にコミュニケーションを取って、いろんな外国人と話し合いながら、いつも楽しくやっています」と苗加さんは話している。

ボランティアのおかげで苗加さんはいろいろな国の人と知り合い、中でも中国人が一番多いという。前出の李さんとは2010年のボランティアの活動で知り合い、李さんが中国語の講師であると知り、苗加さんは「中国語を教えてください」と申し込んだ。

現在、苗加さんは週に1時間半の中国語レッスンを受けており、取材の際には流暢な中国語で自己紹介してくれた。

苗加さんと李さんはまるで「忘年の交」の関係で、お互いに年齢差を忘れ、友達になっているようである。

「苗加さんは中国語をたいへん熱心に勉強しています。私にとって人生の先輩であり、大切な友達という存在で、本当に尊敬しています。苗加さんはずっと外国人に日本語を教えるボランティアをしています。私は日本での仕事や暮らし、何か困ったことがあれば、いつも苗加さんに相談します。いつも親切にアドバイスをしてくれています」と李さんは語る。

中国語の勉強について苗加さんは、「中国語を勉強して一番うれしいことは、相手が自分の話した中国語を理解してくれた時です。在日中国人が中国の各地域から来たわけなので、地方の話を聞けてたいへんうれしい。言語が通じると相手との距離が縮まります」とやりがいを教えてくれた。

さらに苗加さんは、「中国語を勉強する日本人が増えています。それは自然の流れだと思います。多くの人が、ビジネス上で中国語を必要としているから。私はビジネスのことは考えていない。中国は隣の国なので、仲良くしたい。政治関係が悪くても、国民と国民の付き合いは政治とは関係ない。もちろん、中国人に偏見を持っている日本人がいると思います。それに影響されてしまうのはいけない。実際に中国人と交流し、良い人が多いと感じました。テレビで見た中国人とは違う部分があり、不思議な感じもありました」と話しており、夢は2020年の東京五輪で、観光客のために中国語のボランティアをすることだと語った。

苗加さんが最後に語ってくれた「外国人の役に立てればいい。1人でも多くの外国人が日本に来て良かったと思ってもらえればいい」という言葉は本当に心に響いた。苗加さんは日本の真の愛国者だと私は思う。中国語を勉強する日本人にはさまざまな思いがあるはず。いずれもありがたいことである。外国人に思いやりを持つ日本人はきっと苗加さんだけではないだろうなと思うと、「日本に来て良かった」と言いたくなった。

■筆者プロフィール:黄 文葦

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

■筆者プロフィール:黄 文葦

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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