<コラム>中国の環境保護分野の次期「ブルーオーシャン市場」とは

内藤 康行    2018年5月10日(木) 1時50分

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新エネ自動車産業の急進展と廃車ピークの到来に伴い、中国の動力電池回收業界は100億元(約1730億円)新市場形成に向かっている。写真は中国の電気自動車。

新エネ自動車産業の急進展と廃車ピークの到来に伴い、中国の動力電池回收業界は100億元(約1730億円)新市場形成に向かっている。『新能源自動車動力蓄電池回收利用管理暫定弁法』等の政策提示は回收業界発展を後押しすると同時に熾烈(しれつ)な資源争奪戦もはじまっている。関連企業と投資側は2017年早くもリチウム電池回收事業に標準を合わせシェア覇権の布石を打っている。ここでは最近の十大リチウム電池回收企業によるM&Aを紹介する。

リチウム電池回収企業による投資やM&Aを見ると、リチウム電池回收市場はすでに熾烈である。特に2017年からリチウム電池材料生産企業と動力電池生産企業及び第三者回收企業等がリチウム電池回収市場へ陸続と参入している。リチウム電池材料の需給不均衡でリチウム電池回收業界のM&Aが加速している。リチウム電池回收の市場見通しには別な重要要因がある。

動力電池回收市場はいまだ爆発的成長期には至っていないがこの魅力的である一大市場は関係者を引きつけているようだ。動力リチウム電池回收市場は101億元(約1740億円)ブルーオーシャン市場を形成する。動力電池を3〜5年の劣化期限で試算すると、2018年には回收市場規模は53.23億元(約920億円)、2020年で101億元(約1740億円)、2023年には255.4億元(約4410億円)に達すると業界は予測している。

この一大市場を前に、各大型企業はすでに主導権奪取に動き出している。新エネ自動車産業の発展と回收体系の確立と整備、国家政策による廃リチウム電池回收利用への支援を背景にリチウム電池回收市場の企業再編とM&Aが活発な動きを見せている。他方現在の中国動力電池回收産業はまだ模索段階にあり、動力電池の「回收径路」、「安全な分解」、「環境配慮処理」、「業界基準と再利用技術」等は業界が直面する共通の大きな課題となっている。

以下に、動力リチウム電池回収市場における大型関連企業10社のM&A近況を紹介する。

1.盛屯鉱業:

「12億元(約207億円)科立●(●=金が3つ※下に2つ上に1つ)100%株式を取得」

2018年3月23日、盛屯鉱業は非公開発行株式で珠海科立●金属材料有限公司の100%株式を12億元で取得している。関連資料では科立●は2002年創業、コバルト精錬の研究開発と生産で中国最大のコバルト精錬生産メーカの1つ。生産能力5000トン/年に上る。盛屯鉱業は2016年よりコバルト材料確保に布石を打つ。「コバルト原材料+銅コバルト精錬+コバルト製品取引+コバルト材料高度加工+コバルト回收」サプライチェーン体系の確立を目指す。2017年度の盛屯鉱業コバルト業務売上は23.46億元(約406億円)、純益7.23億元(約125億円)となっている。コバルト業務は同社の利益新成長部門となっている。今回の科立●は盛屯鉱業の全コバルト業務規模を急速に拡大させ、コバルト材料業務のサプライチェーンのさらなる整備を深化させる。

2.寧徳時代

「孫会社 北美リチウムを買収」

2018年3月14日、吉林吉恩ニッケル有限公司は、全額出資孫会社である吉恩国際投資有限公司は北美リチウムの株式3659万を取得し、取得株式を寧徳時代全額出資孫会社加拿大時代に譲渡すると発表。北美リチウムはリチウム採掘、選鉱と精錬を主業務としている。このディール完了後、加拿大時代は北美リチウムの6776万株式を所有することで北美リチウムの筆頭株主となる。寧徳時代は動力電池生産を主業務としているが、近年新業務としてリチウム電池回收事業に舵を切りっている。2015年には寧徳時代は子会社である寧徳が広東邦普控制の株式69.02%を取得している。広東邦普は廃リチウム電池の分解と回收利用を主業務とし,リチウムイオン電池材料三元(NixCoyMnz<OH>2)前駆体等を生産している。ニッケル、コバルト、マンガン、リチウム資源を電池産業サプライチェーンで循環利用実現を目指す。

3.天奇股フン(フン=にんべんに分):

「上・下流で進む産業サプライチェーンでリチウム電池回収企業二社を買収」

2017年12月、天奇は2.2億元(約38億円)で深セン乾泰技術を増資したことで同社の持ち株は51%となった。共同出資で無錫金控天奇循環産業を設立し投資企業を買収。出資合計額は7億元(約120億円)に達する。同社は自己資金1億元(約17億円)を拠出し、M&A基金を通じて江西龍南金泰閣コバルトの98%を取得、リチウム電池回收産業のクローズドループ形成を果たす。上述2社の業務は天奇の上・下流関係にある。

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