「故郷の光景に恐ろしくなった…」、日本に行って私たちが学ぶべきこと―中国人学生

日本僑報社    2018年3月25日(日) 14時0分

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数年前まで中国人観光客の代名詞だった「爆買い」は、最近は落ち着きつつある。中国でも広く使われるようになった言葉だが、ポジティブなイメージはあまりないようだ。資料写真。

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数年前まで中国人観光客の代名詞だった「爆買い」は、最近は落ち着きつつある。中国でも広く使われるようになった言葉だが、ポジティブなイメージはあまりないようだ。「日本を訪れる中国人は爆買いしかないのか、他に何かすることはないのか」。広東省外国語芸術職業学院の李家輝さんは、作文に次のような自身の考えをつづっている。

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ユーキャン新語にも選ばれた「爆買い」という言葉は中国人が日本へ大量に商品を購入しに行くということを表す言葉だ。確かに、「今度日本へ化粧品や赤ちゃん用のおむつなどを買いに行こう」と親戚が誘われるとか、「新しいバンダイのゲームが出た。日本へ買いに行かない?」と身近で友達がよく話すなど、日本といったら必ず買い物の話だ。でも、本当に爆買いしかないのだろうか。日本の東京から帰国したばかりの友達は「街にはゴミ箱があまりないが、綺麗で驚いた」と言っていた。速いスピードで発展してきた中国に暮らす人にとっては、せっかく日本へ行くなら、爆買いよりも優れた環境意識に驚き、それを学ぶのがいいのではないか。

私が日本語を勉強し始めて、もう2年が経った。日本語だけでなく、日本の生活や文化なども少しずつ分かってきた。ある授業で、日本では人間と自然の調和の尊重ということで、ゴミの分け方とか森林保全などに真剣に取り組んでいることを知った。その時、小学生の時習った「賢人を見て自分もそのように賢くなりたいと思う(見賢思斉)」という『論語』の言葉が浮かんで、環境に優しいやり方を日本から学ぶべきだと初めて思った。

中国はまるで目覚めたばかりの龍で、経済も国力も世界的な地位も急速に上昇したが、環境意識がまだ足りないと思っている。今年の清明節、バイクで故郷の肇慶市へ帰る途中で、景色が変わったことに気づいて、大変ショックを受けた。植物が見えなくなり、泥道がアスファルトになって、所々家畜の糞とゴミが散乱している。道の左右に昔立っていた大木もなくなって、代わりに工場や商店が築かれている。畑と川も砂で埋められて平地になった。それだけではなく、緑に覆われた小高い丘も削られて土壌が見えるようになり、遠くから見ると赤い土壌と樹がわずかに残った丘は、血を流しているみたいだった。長時間、痛ましい風景を眺め続けるうちに、愕然とし、恐ろしくなった。

それに対して、日本語スピーチ大会で最優秀賞を取ったのがきっかけで、日本へ行った先輩が話してくれた日本は全く違う姿だった。「日本には全くゴミなんかない。あっちこっちにある環境スローガンが例え日本語が分からなくても、可愛い漫画で説明しているので分かりやすい。だから、軽率にゴミを捨ててはダメ。躾(しつけ)がなってない人だと思われる」と先輩の話は止まることなく続いた。

私にとって印象深かった話は、先輩がゴミをリサイクルに出したときの経験だ。「リサイクル用の回収箱はあまりないが、僕が回収箱を見つけたとき、ちょっとびっくりした。ゴミの分別は難しくて、どうしようかと思っていると地元のおじいちゃんが助けてくれた」と先輩は机の上に置いていた牛乳の紙箱を取り上げて、私に実演して見せながら話し続けた。「まず、ミルクを全部流す。それで、水を入れて少し振った後、水を捨てる。そしてハサミで紙箱を切ってから乾かす。最後に、紙の部分は紙専用の回収箱に捨てて、プラスチックの分はプラスチック専用の回収箱に捨てる。そしたら終了だ」。

最初は面倒だと思ったが、先輩の一言に私は感動した。「最初は僕も面倒だと思ったが、綺麗な道を見ると気分が良くなって、環境保全に自分の力で貢献できると思ったら、満足した気がした」。環境保全はお金で一朝一夕にはできないからこそ、日本に爆買いに行くより、環境保全のやり方を学んだほうがいいのではないだろうか。もし、私が日本を訪ねたら、もっともっと環境に優しい方法を先輩のように学びたいと思う。それは故郷のためだけでなく、国や世界のために、みんなに日本のことを話して環境意識を持てるようにと訴えたい。いつか人間と自然が共生していけるように、微力な力でも自ら貢献できたらと願っている。(編集/北田

※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、李家輝さん(広東省外国語芸術職業学院)の作品「訪日中国人、『爆買い』以外にできること」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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