Record China 2018年4月1日(日) 9時30分
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1986年に上海で生まれ、現在日本に在住する華僑二世の張時偉監督が、近年、国際映画祭でいくつもの賞を獲得している。
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1986年に上海で生まれ、現在日本に在住する華僑二世の張時偉監督が、近年、国際映画祭でいくつもの賞を獲得している。2017年3月、華道「草月流」の師範を紹介した短編フィルムは、第16回ベルリン国際観光展「ゴールデン・シティ・ゲート国際観光フィルム賞」で「ゴールデン・シティ・ゲート賞」銀賞を受賞した。また同年8月には短編映画『SAKURA(桜)』が、アメリカニューヨークで開催された第5回チェーンNYC映画祭(CHAIN NYC FILM FESTIVAL )で国際短編映画賞を受賞している。
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今年3月9日、張監督が撮影した3分間の短編ドキュメンタリー『豊浜ちょうさ祭り(TOYOHAMA CHOSA FESTIVAL)』が、「国際観光フィルム・グラフィック・マルチメディア賞」五つ星最優秀賞と「ゴールデン・シティ・ゲート賞」三つ星特別賞を同時に獲得。特筆すべきは、張時偉監督はこれらの映画祭で受賞した唯一の中国籍の監督であるということだ。
在日中国人の子どもとして育った張氏は、一般の人から見ると非常に厳しい映画の道を選んだ。母親はこう語る「小学校の卒業式で将来の夢を発表した時、彼は映画監督になりたいと言いました。私はただ言ってみただけなのだと思っていました。ところが中学校の卒業式でも彼は舞台の上で、映画監督になりたいと表明したのです」。
苦労を重ねずして虹を見ることはできない。映画界は華やかに思えるが、実は重さ数十キロもの機材を背負い、風にさらされ露に濡れて野宿し、残業を重ね、体にむち打つ。撮影現場の苦労は観客には計り知れない。張時偉は、夢を抱いた無数の青年たちと同じく北京や上海に「居着いて」いたこともある。壁にぶつかり、さまざまな苦難を経験しながら、それでも揺らぐことなく夢を追い求めた。
記者:今回の豊浜での撮影で、最も印象深かったことは何ですか?
張時偉:現地の方々との交流、そしてその態度の変化ですね。最初、皆さんは私たちに対してあまり友好的ではありませんでした。なぜならこのお祭りは彼らの伝統であり、特に太鼓台を作る過程はこれまで対外的に公開されたことがありませんでした。彼らはとても保守的で、外部の人間に見られたくなかったのです。それでも私たちは毎日撮影し、コミュニケーションをとりました。私たちの努力を目にした皆さんは、最終的に心を開いてくれました。それから私たちは隠しごとがないほどの友達になったのです。皆さんはよく協力してくださっただけではなく、進んで私たちをサポートしてくれて、最終的には撮影を成功に導いてくれました。
記者:今回の撮影で何か大変なことがありましたか?
張時偉:太鼓台を移動させるところの撮影はとても危険でしたね。太鼓台は非常に重く(2トン)、大きい(長さ10メートル、高さ5メートル)なのです。担いだ人が平衡を保つのは難しく、私たちは常に距離をとるように気を付けました。ぶつかってしまえば命に危険が及びます。ところが、現場での撮影効果を高め、観客に臨場感を味わってもらうために、私はつい近づきすぎてしまい、町民から「太鼓台から離れろ!」とよく注意されました。この撮影は大変でしたが、最終的には私が撮りたいものが撮影できました。
記者:この作品は3分間ですが、実際の撮影と編集でどのくらいの時間がかかりましたか?
張時偉:合わせて1カ月余りですね。撮影に2週間、編集に2週間、そしてオリジナルの音楽と効果音を合成しました。
記者:張監督が、監督の道に進もうと決心したのはいつですか?
張時偉:私は小さいころ、映画、特にハリウッド映画が好きでした。小さい時に見た『ジュラシックパーク』がとても面白かったという記憶があります。なぜなら私は恐竜が大好きで、この映画は私をその場にいるような感覚にさせてくれたのが深く印象に残っています。当時、私もこのような映画が作れたらどんなにいいかと思いました。その時、私は将来映画の撮影を学ぼうと思いました。
記者:張監督が最も好きな映画は何ですか?。また最も好きな監督は?
張時偉:私が一番好きな映画は『グラディエーター』と『ブレードランナー』です。この二つの作品の映画監督は同じ人です。私が最も尊敬するリドリー・スコット監督です。彼は作品の情景を非常に重視していて、すべてのシーンが1枚の絵のようです。彼の作品を見るたびに、私はその映画の世界に入り込んでしまいます。私の目標は彼と同じようなレベルの作品を撮ることです。
記者:映画監督とは、たくさんの資金や時間、精力を投入しなければなりませんが、成功するのはほんの一握りです。この道を選んだとき、家族に反対されませんでしたか?
張時偉:最初両親は、私には安定した職について欲しいと思っていました。しかし私は自分の理想を曲げず、自分が撮りたい作品を撮ることを貫きました。家族も次第に反対しなくなり、私のすべてに協力してくれるようになりました。私がたゆまず努力し、進歩し続ける姿を見て、ますます応援してくれるようになりました。もちろんこの道を進むために、私はたくさんのチャンスを逃してきました。でも私は、自分が貫いていることは正しい、もっと頑張らなければならない、努力し続けなければならないと思っていました。
記者:張監督にとって映画を撮ることの最大の喜びは何ですか?
張時偉:一番楽しいのは撮影している時と、それから撮影チームとのコミュニケーションです。みんなが一つの目標に向かって努力する、困難に直面したら、共に解決方法を考える、撮影過程の喜びも悲しみも分かち合う。これがチームの力です。私はこのような感覚を楽しんでいます。
記者:では映画の撮影で一番難しいことは何ですか?
張時偉:最も難しいのはプロットを考えることですね。ゼロから考え始めて、いいストーリーにするために、私はいつも知恵を絞っています。時には数日、さらには1週間も考えつかないときには、道を歩きながらインスピレーションを得ます。歩きながら世の中のさまざまな風景や人、ハプニングを目にし、いろいろな音を聞きます。時には考えながら歩いて、いつのまにか十数キロ先にいたこともあります。私のインスピレーションはこうして歩みだすのです。私はこの習慣が好きですね。
記者:映画を撮り始めてからこれまでの中で、一番大きな挑戦は何ですか?
張時偉:私は、すべての作品が新たな挑戦だと思っています。例えば私のドキュメンタリー作品では、主人公はみな違う職業、違う背景、違う人生経験を持った人です。ですから毎回私はその方々と交流し、その特長に合わせて作品をオーダーメイドします。時にはサイズを測り間違えたり、長かったり短かったり、十分な内容を撮影しても編集で手の下しようがない情況に陥ってしまうこともよく起こります。ほかのジャンルの作品にしても、いつも違う角度からプロットを練ります。新たなテーマの作品に挑むときは、実際のモデルを探し、煩いをいとわずその人にさまざまな問題を投げかけ、できる限り役柄にリアリティを持たせます。それから常に新しい撮影技術や撮影理念を学び、自分の新しい試みを検証します。
記者:この1年の中で監督はいくつもの国際映画祭で受賞されました。どのように感じていますか?
張時偉:とてもうれしいです。これまでの努力と堅持が、ようやく小さな成績を収めました。これまでに撮影した作品には足りないところもありますが、それらも経験として、一歩ずつ改善してきました。今年も専門の審査員たちから認められて、本当にうれしいです!。これからも懸命に努力し、より良い作品を作っていきます。またチームの仲間たちに感謝します。そして黙々と支持してきてくれた家族や友達、皆さんありがとうございます。
記者:より良い作品を撮るために、いつもどのような努力をされていますか?
張時偉:いつも動画サイトで最新の撮影技術を見ています。また、好きな監督が撮影した作品を見ます。素晴らしいと思ったシーンは何十回も何百回も繰り返し見ます。そしてよく彼らの作品のDVDを買います。監督のコメントやサウンドトラックから、監督が撮影を行った時の考えや、当時起きた出来事を理解します。
記者:映画のほかに何か趣味はありますか?
張時偉:映画を撮ること以外に、写真を撮ることも好きです。休みの日には東京のいろいろなところに出かけて写真を撮ります。時には昔のゲームで遊んだりします。例えばストリートファイターやロックマンなどですね。それからガンダムのプラモデルを作ったり、ジャズを聴いたりするのも好きです。基本的には毎日、日本の人気お笑い芸人のラジオを聞いています。リラックスできるし、新たなインスピレーションをもらっています。
記者:映画の撮影でお忙しいのに、いつゲームやプラモデルで遊ぶのですか?
張時偉:もちろん、映画撮影の準備を始めてから終わるまで、別のことをする時間はありません。しかし作品が出来上がってからは時間をみてほかのことをやります。例えば部屋にこもって数時間もゲームをしてリラックスします。
記者:次はどのような計画をお持ちですか?
張時偉:次に私は2本の短編映画を撮る予定です。
記者:若手監督として、映画監督を夢見る人たちにアドバイスをお願いします。
張時偉:私の経験から言えることは、自分の夢を貫き、失敗を恐れないことです。毎日反省し、毎日少しずつ進んでいくことです。
今回、張時偉監督は豊浜で2週間町民たちと寝食をともにし、「豊浜ちょうさ祭り」の準備から終了までを3分間の観光映像作品にまとめた。豊浜町民の手により太鼓台が静から動へ変わり、盛大な祭典で金の龍が舞うまでを豊かに表現している。巧妙な撮影手法と、静と動が織りなす情景、壮観な祭典のシーン、そして映像に見事にマッチしたオリジナル音楽が、深く審査員や観客の心を打ち、二つの賞の獲得に結び付いた。(編集/内山)
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