<直言!日本と世界の未来>2年半ぶり開催の日中韓首脳会談に期待―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2018年5月6日(日) 5時40分

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東アジアを巡る情勢が急進展している。中朝、南北朝鮮首脳会談が開催されたのに続いて、トランプ大統領、金正恩委員長による史上初の米朝首脳会談も予定されている。こうした中、日中韓首脳会談が5月9日に東京で開催される。

東アジアを巡る情勢が急進展し、国際ニュースから目を離せない。歴史的な中朝、南北朝鮮首脳会談が開催されたのに続いて、トランプ大統領、金正恩委員長による史上初の米朝首脳会談も予定されている。各国の内部事情や思惑が絡み、東アジアの勢力図を塗り替える可能性もあるようだ。

これまで、東アジア地域では、主要国の日本、中国、韓国が複雑な歴史問題や領土問題などを抱え、ぎくしゃくし、北朝鮮の核開発問題をはじめとする地域の諸課題に有効な手立てを打てなかったと思う。

こうした中、日中韓首脳会談が5月9日に東京で開催される。李克強首相や文在寅大統領と安倍首相との2国間首脳会談も予定されている。首相就任後初来日となる李首相は8〜11日の日程で公賓として日本に滞在。11日には札幌で開く日中知事省長フォーラムに出席。安倍首相も同行する予定という。

日中間の関係は2012年、尖閣諸島の領有権をめぐって冷え込んだが、今年8月に迎える平和友好条約締結40周年の節目を前に改善の機運が高まっているのは喜ばしい。今回の日中首相同士の会談で、金融危機時などに通貨を融通しあう日中通貨交換(スワップ)協定の早期再開で合意する見通しで、元建てで中国の株式や債券に投資できる枠を日本の金融機関に付与したり、東京市場で元決済の利便性を高めたりする方策も具体化するという。両国関係の改善を象徴する動きと言え、一層の関係改善とトップの相互訪問の実現に向け弾みがつくよう期待したい。

日中韓首脳会談が開かれるのは、15年11月に韓国で開催されて以来2年半ぶり。文在寅大統領は現職大統領として6年半ぶりの来日というから、「近くて遠い国」を実感せざるを得ない。日韓間でも慰安婦問題など懸案の解決に向けて進展するよう望みたい。

世界の成長センター・東アジア地域では18年の平昌冬季オリンピック・パラリンピックに続き、20年東京夏季五輪、22年北京冬季五輪が開催される。日中韓3カ国のスポーツ交流強化と日中韓FTA(自由貿易協定)の交渉加速や北朝鮮核問題での連携なども期待したい。

貿易投資分野での日中韓連携は年々強まり、日本企業の両国での活動も拡大の一途をたどっている。一層の連携強化に積極的に取り組めば、相互信頼が醸成され、政治・文化・スポーツ面でも好影響を与えるであろう。

<直言篇50>

立石信雄】1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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