<特集>ハッピー・チャイニーズ・ニュー・イヤー「恋人レンタルサービス」(3)

Record China    2007年2月23日(金) 19時26分

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期間限定の「レンタル恋人」という2人の契約は、もう終わっていたに違いない。

中国正月に「レンタル恋人」と故郷のハルビン市へ帰省した汪(ワン)さんは、いとこの結婚式に揃って出席した。事前の打ち合わせ通り本当の恋人のように振舞った2人は、誰からも疑われることはなかった。

汪さんは「レンタル恋人」の張(チャン)さんとともに、十数年ぶりとなる実家で正月を過ごした。汪さんの両親は中学校の教師だったが、すでに定年退職を迎え、息子の結婚を心待ちにしながら慎ましい生活を送っていた。汪さんは父親と8年ぶりに象棋(中国将棋)をし、夜には張さんが母親を手伝って作った家庭料理を囲み、4人で楽しい時を過ごした。

しかし不思議なことに、両親は2人の結婚について一切質問をしてこなかった。汪さんは「どうして何も聞かないのだろう?」と内心不安を感じていたが、あれほど口うるさかった母親も何も言わないまま、両親との別れの時を迎えた。

2人を見送るため、母親は朝早起きして手料理を作り、父は朝の体操を休んだ。張さんにお土産として、東北地方特産の「氷豆腐」や「松の子」を私ながら、母は「来年もまた来てね」と言葉をかけた。張さんは何も答えず、静かに汪さんに笑顔を向けた。汪さんは「彼女は仕事が忙しいから、来年も来れるかどうかわからないよ」と母に答えた。2人は両親に見送られながらタクシーに乗りこみ、空港へと向かった。すべてが無事に終わり、緊張感から解放され、ほっと胸をなでおろした汪さんだったが、タクシーが空港へ近づくにつれ、さみしさを感じるようになっていった。

広州空港で別れの挨拶を交わし、汪さんは約束の1000元(約15000円)が入った赤い封筒を渡し、張さんへ背を向け歩き出した。その瞬間、汪さんを呼び止める張さんの声が響いた。驚いて振り返った汪さんにゆっくりと近づいた張さんは、財布から取り出した物を手に乗せ、汪さんの前に差し出した。

張さんが手にしていたのは、金の指輪。差し出されたその指輪を見て、汪さんは思わず驚きの声を上げた。実はその指輪は、汪さんの祖母の形見の品だったのだ。広州へ戻る前日の夜、母親が張さんに渡したのだという。張さんは、「こんな大切なものは、あなたの本当の恋人に渡してください」と返そうとした。

「もし予定がなかったら、今夜食事に行きませんか?」。汪さんは思わずそう叫んだ。驚いた表情を見せたものの、すぐににっこりとかわいい笑顔を浮かべ、張さんは「いいですよ!」と答えた。この時、期間限定の「レンタル恋人」という2人の契約は、もう終わっていたに違いない。(編集・饒波 貴子)

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