Record China 2012年4月12日(木) 8時1分
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中国市場では、新商品がヒットし、ひとたび売れ始めれば、半年もしない間に、ありとあらゆる方法で「パクリ」現象が始まると考えてよい。コピー商法はもっとも手っ取り早く、簡単に儲かる方法だ。写真は北京で売られていたiPhoneそっくりの中国製携帯「魅族M8」。
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巨大かつ近接する経済体・中国の活力を取り込むことが、日本の企業や商店にとって不可欠だが、どう向き合うべきか思い悩むところが多い。そこで、中国ビジネス・コンサルタントの第一人者・筧武雄氏が課題と解決策などについてテーマごとにシリーズで分かりやすく解説する連載コラム「時流自在」をスタートする。第一回シリーズは話題沸騰の「パクリ問題」。
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ここ<レコードチャイナ・ニュース>でも「パクリ」特集されている通り、中国市場では、新商品がヒットし、ひとたび売れ始めれば、半年もしない間に、いつでも、どこでも、ありとあらゆる方法で「パクリ」現象が始まると考えてよい。コピー商法はもっとも手っ取り早く、簡単に儲かる方法だ。同じ展示会場の別のブースで、まったく見知らぬ中国メーカー名で、当社のパンフレットが堂々と勝手にまるごとコピー配布されていたり、当社とよく似た名前の赤の他人の中国企業が似たような旧式製品を売っていたり、同じインターネット・ショッピングモール内においてすら、こちらの気付かない間に、本物と区別のつかない同じような写真で、見知らぬ第三者メーカーが半値以下で類似商品を売り出していたりする。
背景も様々である。一昔前、合弁会社が新たに立ち上がった頃に、他の3カ所以上で類似品工場が立ち上がっていたこともあった。また外資系企業工場が休日に勝手に稼動して、「ホンモノのニセモノ」を製造していた例もあるし、すでに外資が撤退し清算されたはずの工場が、閉鎖後も同じ製品の生産を勝手にモグリで復活していた例もある。
日本人経営者の中には、これを「身から出たサビ」、「有名税は仕方ない」などと軽く一笑に付し、放置してしまう人も少なくないが、ブランド管理が「命綱」の中国市場で「身から出たサビ」を放置すれば、いずれ壊疽のように広がって本体を蝕んでいくかもしれないし、コピー品に市場を奪われ「有名税を払い過ぎて市場を失い、ホンモノが倒産してしまった」ともなれば、事態は看過できない。
しかし、もっとも恐るべきは「誤爆」被害である。ある日突然、当社の製品が中国の地方都市で検査不合格、販売禁止となり、税関で密輸嫌疑で摘発されるなどの問題を起こし、ネット上でマスコミ、政府、消費者協会からクレームを浴び始めた後に、よく調べてみたら当の「犯人」は当社製品の粗悪なまがい物だった、では笑い話にもならない。やはり、常日頃から中国市場における当社ブランド、製品に関する情報を、インターネット、テレビ・ラジオ、新聞・雑誌記事などから、良い情報も悪い情報も即座に、本社管理部門に集中する体制を組み、イザと言うときの危機管理対処体制を構築しておくことである。
いったんかかるブランド問題が発生してしまうと、その解決には長い時間と多大の費用がかかる。しかも、市場に出回る模倣品の製造現場を摘発できたとしても、中国法令上の賠償金は日本企業にとって見ればほんの少額にすぎない現実であり、「いたちごっこ」の「モグラ叩き」ゲームとなってしまうことのほうが、対策コストは大きい。
<中国の知的財産権の種類>
・特許権:発明を保護する(出願から最長20年間)。
・商標権:ブランドを保護する(登録から原則10年間)。日本と同じく「先願主義」
(早い者勝ち)を採用。申請から登録まで数年かかることも珍しくない。
・意匠権:デザインを保護する(出願から最長10年間)。
・実用新案:構造・形状の考案を保護する( 〃 )。
まずは「自己責任」と「脚下照顧」である。いかにして問題の発生を未然に防止するか、自社ブランドの周到な自己管理と迅速な危機管理対応が求められる。
(<時流自在>は筧武雄・チャイナ・インフォメーション21代表によるコラム記事)
<筧武雄氏プロフィール>一橋大学経済学部卒 北京大学留学、横浜銀行北京事務所初代駐在員、同行アジアデスク長、海外経済協力基金(OECF)派遣出向などを経てチャイナ・インフォメーション21を設立。横浜国立大学経済学部非常勤講師、神奈川県産業貿易振興協会国際ビジネスアドバイザーなど多くの役職を経て、現在も横浜市企業経営支援財団グローバルビジネスエキスパートなど、日本企業を支援する中国ビジネスコンサルタントとして活躍中。
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