デジタル・レーニン主義、ビッグデータとAI活用、中国で構築進む壮大な社会管理システム

Record China    2018年5月26日(土) 17時30分

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中国でビッグデータやAIを活用した社会管理システムづくりが進んでいる。システムは個人や企業の信用情報などに活用される。日本や欧米の研究者は中国の壮大な取り組みを「デジタル・レーニン主義」と名付けている。写真は上海市。

2018年5月26日、中国でビッグデータやAI(人工知能)を活用した社会管理システムづくりが着々と進んでいる。システムは個人や企業の信用情報などに活用される一方、ブラックリスト入りすると、航空券の購入が制限されたりする。日本や欧米の研究者は中国の壮大な取り組みを「デジタル・レーニン主義」と名付けている。

習近平政権は1期目の2014年に「社会信用システム構築計画網要」を決定。20年までに個人・企業の行政事務、商業的活動、社会的行為、司法制度の4分野を重点に全社会をカバーする信用システムの構築に着手している。

中国では個人や企業に日本のマイナンバーに似た18桁の識別番号を付与。すでに稼働している「信用中国(Credit China)」サイトでは、行政許認可と行政処罰の開示情報を対象者の氏名・名称や識別番号で検索することが可能となり、違法駐車歴も見られる。

借金不払いで強制執行を受けても返済しない人物のブラックリストも公開。債権者が裁判所に申請すれば飛行機や高速鉄道に乗れなくする措置も可能で、中国メディアによると、今年4月末時点で、裁判所による全国の信用失墜被執行者は1054万人、航空券購入制限者は累計1114万人、高速鉄道乗車券購入制限者は425万人に上る。市場監管総局によると、営業許可が取り消された企業は1848万社、経営異常企業457万社、厳重違法企業は33万社という。

顔写真、指紋などの「生体認証情報」を識別番号で個人にひも付けする「アドハー・システム」も完成。その上に住所や銀行の取引明細、職務経歴や病院での診察、納税状況などあらゆる個人データを組み合わせて一元管理する「インディアスタック・システム」もある。中国の「インターネット安全法」はネット事業者に政府への協力を義務付けており、これらの技術を駆使すれば人口14億人のどの人でも、それが誰であるか3秒以内に突き止められるデータベースづくりも可能とされる。

社会管理システムに中国政府が最も期待しているのは、国を支える経済への貢献。電子商取引などを手掛ける阿里巴巴(アリババ)集団の創始者・馬雲ジャック・マー)会長は「旧ソ連が崩壊したのは計画経済ができなかったから」と指摘する。信頼できる正確なデータが取れず、間違った情報などを基に経済を運営してしまったとの趣旨だ。

馬氏の発言は「これからの中国は14億人のデータを使って計画経済を管理する。市場経済の見えざる手ではなく、計画経済の見える手で優位に立つ」ことを意味する。中国が目指すシステムが「デジタル・レーニン主義」と呼ばれる由縁でもある。(編集/日向)

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