人民網日本語版 2018年6月20日(水) 12時40分
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日本政府が発表している予想では、今後30年以内に南海トラフでマグニチュード(M)8~9の大地震が発生する確率は70~80%だ。写真は18日の大阪。
6月18日午前7時58分ごろ、大阪府北部でマグニチュード(M)6.1の地震があり、現時点で4人の死亡、307人の負傷が確認されている。
今年に入り、日本で起きたマグニチュード6以上の地震は、これで3回目となった。
日本は火山が多く、地震が多い国だ。1995年に阪神大震災が発生し、それから20年以上たった今、被災地となった地域の経済はほぼ回復した。2011年には東日本大地震と津波の影響で、福島第1原子力発電所事故が起き、回復、復興の大きな足かせとなっている。日本の地震専門家や経済界はこのほど、南海トラフ地震が発生し、大災害となる可能性が高いと、再び警鐘を鳴らしている。
日本政府が発表している予想では、今後30年以内に南海トラフでマグニチュード(M)8~9の大地震が発生する確率は70~80%だ。また、地震や津波の影響は30以上の都府県に及んでおり、死者が32万3000人、直接的な被害が170兆円となると試算されている。そのため、日本政府は緊急時対応マニュアルを制定するほか、各自治体にも相応の救急、救援マニュアルを制定するよう求めている。
土木学会はこのほど、長期にわたる経済の落ち込みを阪神大震災の経過を参考に推計し、南海トラフ巨大地震が起きた場合、その後の20年に及ぶ経済的被害などが1410兆円に上るとの試算を発表した。大地震の影響による経済被害は甚大で長期化することが予想され、交通・運輸コストの上昇や製造業の生産量減少、企業の収益下降、世帯所得の減少など、間接的な経済損失が最悪で1240兆円に達し、直接的な資産被害と合わせると、その額は2018年の国家予算の14倍に当たる1410兆円になると試算している。特に、産業が集中する静岡県中部の被害が深刻で、域内総生産(GRP)の70%が失われ、太平洋沿岸地域のGRPは40%失われると予想している。大規模自然災害が発生したあとの長期的な経済被害を、専門家の学会が推計したのはこれが初めてだ。東京周辺で直下型地震が起きた場合、発生後20年間の経済被害は最悪778兆円となり、巨大高潮の被害は、大阪湾では121兆円と予想している。土木学会の大石久和会長は、「今のまま大災害が起きたら想像もつかないような事態が起こる。日本が東アジアにおける小国、最貧国の1つになりかねない」と警告している。また、関西大学の河田恵昭教授も、「一刻の猶予も残されておらず、国は新しい緊急時対応策、救援対策を制定しなければならない」との見方を示す。
南海トラフは、四国の南の海底にある水深4000メートル級の深い溝(トラフ)のことで、トラフ軸は、静岡県の富士川河口付近を基点として御前崎沖まで南下し、その後南西に向きを変え潮岬沖、室戸岬沖を通って九州沖に達する。南海トラフの各所では、M8クラスの巨大地震が約100年から200年ごとに発生している。1944年に東海地震が発生したものの、駿河トラフでは、紀伊半島沖から駿河湾を震源域として発生した1854年の安政東海地震以来、150年以上にわたって地震が発生していない状態が続いており、巨大なひずみエネルギーが蓄積している。
2011年の東日本大地震も、地理的位置が異なるものの、トラフ付近の断層がずれたことで起きた。南海トラフにおける地震発生の原理と災害規模もそれとよく似ている。北海道大学の谷岡勇市郎教授が筆頭の研究チームはこのほど、米サンフランシスコの検潮所で観測されたデータに基づき、1854年に東海地方を中心に起きた巨大地震「安政東海地震」は東日本大震災と同様に、沖合の海溝近くで断層が大きくずれ、津波が巨大化した可能性があるとする推定結果をまとめた。そして、今後、南海トラフ地震が起きた場合、地震による被害だけでなく、津波が起きて大被害をもたらす可能性があると指摘している。
都市化や現代工業の発展が進むにつれて、自然災害による被害が深刻化するようになっている。そのため、土木学会は政府に対して、産業、都市、人口をめぐる計画を強化し、人口が大都市や周辺地域に集中し過ぎることを避け、もっと広い地域に拡散することを促すよう提案している。また、道路や防波堤などの耐震強化を進めるほか、社会全体の避難、防災に対する意識、能力を向上させるよう求めている。同学会は、「有効な対策を進めれば、南海トラフ巨大地震では509兆円、首都直下地震では247兆円の損害を防ぐことができる」としている。そのため、学者らは、政府と国民が共に大災害を免れるための措置を講じることが必要だと警鐘を鳴らしている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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