日本の地方都市の「人口争奪戦」、効果はあったか―中国メディア

人民網日本語版    2018年7月6日(金) 9時20分

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東京圏以外の地方都市では何年にもわたって人口争奪戦が繰り広げられている。資料写真。

現在、中国の二線都市と三線都市の一部が人材争奪戦を熱く展開している。お隣の日本でも、東京圏以外の地方都市では何年にもわたって人口争奪戦が繰り広げられている。安倍晋三首相は再び政権を取ると、2014年に「地方創生担当大臣」を設置し、地方都市が人口を誘致し、地方経済の活性化を目標に掲げた。「環球」雑誌が伝えた。

▽人口争奪戦の効果はごくわずか

ここ数年来、日本の地方都市はそれぞれの特色に合わせて、さまざまな移住政策を持続的に打ち出してきた。無料で住まいを提供するところもあれば、育児支援をアピールするところもある。

眼鏡の生産で有名な福井県鯖江市は15年に「ゆるい移住」プロジェクトを打ち出した。福井県民以外の20~35歳の若い人を対象に、15年10月から16年3月までおよそ半年間にわたって行われた。目的やスタイルを限定しない、自由で開放的な体験移住プロジェクトで、最大半年間は家賃を無料にするとした。プロジェクト期間中、毎月1回研究会が行われ、現地の企業や各種団体と交流した。交流会では移住体験者が短期間の就職やパートを申し込むこともできた。

千葉県流山市は人口の流入を促進するため、「子育ての街」のイメージ作りを進めている。14年には共働き世帯向けの育児支援を打ち出し、代表的なものは電車の駅前のビルに設置された「送迎保育ステーション」で、市内の保育所に通う乳幼児をここで預かり、バスでそれぞれの保育所に送迎するというサービスだ。

このサービスの月額利用料はわずか2000円で、1回だけの利用なら100円だ。これまでに毎月平均100人がこのサービスを利用した。会社勤めの母親は、「自分の2人の子は別々の保育所に通っているので、このサービスができて本当に助かった。送迎保育ステーションは駅の近くにあるので、出勤にも非常に便利」と話す。

佐賀県佐賀市は15年に特急列車などを利用する場合の通勤定期券の購入費の一部を補助すると打ち出した。同市は新たに就労した人、本人か配偶者が40歳未満の転入者を対象に、一月あたり上限1万5000円の補助を最大3年間支給するとした。

ほかの地方都市も人口誘致のためのさまざまな政策を相次いで打ち出す。たとえば徳島県は先端企業の誘致、第3子は保育料無料、高齢者の移住拠点設置などの措置で人口誘致を図る。山梨県は27年に開通予定のリニア中央新幹線に希望を託す。こうした政策が打ち出され、地方都市で一定の成果を上げたところはあるが、多くの都市はごくわずかな成果を上げたにとどまる。人口が東京圏を代表とする大都市圏に加速的に流れ込む状況が効果的に食い止められたとはいえない。

朝日新聞は17年の報道の中で、日本の47都道府県のうち、何年も続けて人口が減少しているところが41カ所あると伝えた。一部の地域では若い人が減り、経済が低迷し、企業が倒産し、働く機会が減少し、不動産価格が下落している。こうした問題が若い人々をますます東京圏に向かわせる。

総務省がまとめたデータによると、17年10月末現在、東京圏の人口は3643万8000人に上り、前年同期比14万4000人増加し、一極集中とアンバランスの問題が一層明瞭になった。「このままいくと、日本国は近い将来に『東京国』に改名した方がよくなる。日本が『都市国家』になる日も近い」などと皮肉交じりに言う人もいる。

▽外国人に注目

地方都市の寂しい現状を前にして、日本政府は対策を急ピッチで検討すると同時に、これまで長らく軽視されてきた外国人クラスターに目をつけるようになった。地方再生の希望を外国人に託そうというのだ。

日本の国会は最近、「地方大学振興法」を可決し、東京都23区内の大学は原則として定員増加を認めないと規定した。同時に、地方自治体への交付金制度を創設し、地方の産学協力を推進し、若者が地方都市にとどまることを促進するという。首相官邸はこのほど第15回「まち・ひと・しごと創生会議」を開催し、東京圏から地方都市へ移って働く人や起業する人への交付金を創設することにした。日本政府は24年をめどに、交付金を活用して30万人を東京圏から地方へ転出させることを目標に掲げる。

だがこうした措置がなかなか効果を上げないことを踏まえて、日本政府は最近また新たな目標を打ち出した。外国人留学生が日本にとどまって就職する割合を現在の30%から50%に引き上げるという目標だ。

文部科学省の提供したデータをみると、17年の日本への外国人留学生は26万7000人で、卒業後にとどまって就職する割合は30%前後だ。日本学生支援機構の統計では、留学生のうち60%は卒業後に日本にとどまって働くことを希望し、10%は日本で起業したいと考えているが、在留資格の問題などがあり、やむを得ず就職をあきらめて日本を後にするという。

そこで福岡県福岡市は日本で初めて在留資格を試験的に緩和し、外国人留学生で創業を志す人は「経営・管理」の在留資格の認定要件が緩和されるとした。これまでの2年間に、同市は日本で起業する世界各国からの40人を超える起業家に「スタートアップビザ(外国人創業活動促進事業)」を発給した。経済産業省と文科省も、日本での創業を志す外国人留学生の在留資格を今年の秋から緩和することを検討しており、最長1年間の「創業準備ビザ」を打ち出す計画だ。

日本にいる外国人を引き留めると同時に、日本政府は日本に移住する外国人の人数を拡大する方法も検討中だ。

一部の地方都市は各種補助金を打ち出して外国人の移住を促進する。広島県安芸高田市は、2022年をめどに、全市の人口の半分を外国人にする目標を打ち出した。そのための奨励措置として、子育て世代の外国人が同市に定住する場合、市は宅地購入費用の10~30%、最大で100万円を補助するほか、住宅を市内の建設業者によって新築する場合は50万円を補助する。

▽効果の見極めはこれから

こうした奨励政策がどれほどの効果をもたらすのか。中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲(リウ・ユン)副研究員は、「政府が打ち出す予定のビザ政策は確かによい。前回、大阪大学を訪れた際、たくさんの中国人留学生が起業したり、研修をしたり、他の事業を行ったりしていて、上々の成果を上げている様子を目にした。ビザ政策が打ち出されれば、彼らにとって間違いなく好材料になる」と話す。

だが劉副研究員は、「こうした政策が人口増加にどれほどの効果を上げるか、見極めには時間がかかる。日本の都市の誘致力ということをいえば、やはり東京が最強で、大阪はギリギリOKという感じだ。地方都市の人口流出減少は非常に深刻で、中国人は訪れることはあっても長くとどまりたいとは思わない」との懸念も述べる。

日本に長く暮らす外国人にもそれぞれの考え方がある。

日本で10年以上働いてきた張●(ジャン・ティン、●は女へんに亭)さん(34、仮名)は、「日本で暮らしてだいぶたち、ずっと移住しようかどうか考えてきた。ここ2年ほどの間に相次いで打ち出された政策をみて地方都市に移住する考えが固まった」と話す。

だが違う考え方の人もいる。東京で働いて6年になる牛艶(ニウ・イエン)さんは、「東京のような都市に住み慣れてしまうと、地方に行った時に足りないものばかりが目につく。日本で長く暮らすなら、地方都市は考えられない」と話す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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