Record China 2018年8月1日(水) 14時20分
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中国では「運命が未知であるからこそ、生命は精彩を放つ」との言葉を書籍やネットでよく目にする。「人生は何が起きるかわからないから面白い」ということを表現しており、この言葉は55歳の岩田宇伯氏にぴったりだ。写真は岩田氏。
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中国では「運命が未知であるからこそ、生命は精彩を放つ」との言葉を書籍やネットでよく目にする。「人生は何が起きるかわからないから面白い」ということを表現しており、この言葉は55歳の岩田宇伯氏にぴったりだ。
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話題作「中国抗日ドラマ読本」の作者である岩田氏が初めて中国に降り立ったのは2011年の秋。会社の出張で上海に3日間滞在した。その後、上海に数度出張したが、現地で詐欺に遭いそうになり、「これはまずい」と中国語ができない不便さを痛感。中国語の勉強を決心する。
中国語の学習方法について同じ職場の駐在員に相談したところ、「中国のドラマを見るといい」とアドバイスされた。当時は日中関係が冷え込み、中国のテレビで抗日ドラマが数多く放送されていたため、岩田氏が初めて見た中国ドラマは抗日ドラマだった。旧日本軍の女性将校(※1945年に廃止された兵役法の第一条では、男子は原則として兵役に服すると定められており、女子は徴兵の対象となっていない)というありえない設定や、派手なワイヤーアクションを目の当たりにして、まるでSFのようで「めちゃくちゃだが面白い」と感じたという。
抗日ドラマの面白さにはまった岩田氏は「抗日奇侠」を皮切りにこれまで100本余りの抗日ドラマを見て独学で中国語を勉強した。抗日ドラマのほか、人民解放軍や警察、農村を題材にしたドラマも好んで見ており、最初から最後まで見た中国ドラマは抗日ドラマを含め150本に上るという。中国語学習と並行し、2012年から抗日ドラマを自身のブログで紹介。約7年に渡り書き溜めた情報は出版社の興味を引き、今年4月に「中国抗日ドラマ読本」として発売した。
「中国抗日ドラマ読本」は「日本が敵役になっているもの」を抗日ドラマと定義し、時代背景を完全に無視し、反日プロパガンダどころか、もはやギャグ的な抗日ドラマの世界を紹介している。各ドラマのあらすじや関係図、抗日ドラマの見方など、日本では放送されていない抗日ドラマのガイドブック的な内容になっている。
書籍は4月に発売され、5月には重版になった。上々の反応と言えるが、日本国内よりも中国で話題になり、新浪、捜狐、網易といった中国の大手ポータルサイトのほか、中国共産党機関紙・人民日報、国営通信社・中国新聞網や各地の有力紙がこぞって取り上げた。中国の微博や微信といったSNSの代表格でも関連の書き込みが数多く見られ、時代背景がめちゃくちゃな設定に「恥ずかしい」という声や「この本欲しい」などの関連のコメントは優に1万件を超える。
さらに、中国の映画・ドラマ・書籍情報サイトである豆瓣(douban)のレビューでは、10点満点中8.9点という高評価を得た。ちなみに、中国で絶大な人気を誇る日本の作家、村上春樹の「騎士団長殺し」は7.5点で、中国で映画化もされた東野圭吾の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は8.6点だった。
岩田氏は抗日ドラマのセリフは時として中国人とのコミュニケーションに役立つと話している。以前、中国の夜行列車を利用した際、抗日ドラマでよく使われる旧日本兵を表現した「小鬼子」を使って自己紹介したところ、つかみは上々だった。旧日本兵をバカにした描写やおかしな日本語も気にならず、「カルチャーギャップとして楽しんだ」という。書籍の出版をきっかけに中国で人気を集めた岩田氏のツイッターはフォロワーが25倍に急増し、半分を中国のユーザーが占めている。周りの環境が大きく変わったことを機に、岩田氏は物書きの夢を実現した。(取材/内山)
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