人件費急上昇のデメリット、生産性向上や高効率な産業チェーン形成の優位性でカバー―中国

Record China    2012年8月1日(水) 6時37分

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29日、AFP通信は、急速な人件費の上昇など中国における生産基地としてのデメリットは生産性の向上や高度に形成された産業チェーンなどによって相殺されており、中国は引き続き世界各地からの投資対象となるだろうと報じた。写真は中国の衣料品工場。

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2012年7月30日、環球時報によると、AFP通信は29日、急速な人件費の上昇など、中国における生産基地としてのデメリットは、生産性の向上や高度に形成された産業チェーンなどによって相殺されており、中国は引き続き世界各地からの投資対象となるだろうと報じた。

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仏投資銀行ナティクシスは6月に発表した調査報告で、中国の労働コストは4年以内に米国に、5年以内にユーロ圏内に追いつき、7年以内に日本と同レベルになり、これによって中国は競争力を持つ生産基地ではなくなるとの見解を示した。こうした見方は、ボストン・コンサルティング・グループも指摘しており、中国における製造コストは15年には米国の一部地域と同レベルになると予想している。

中国の都市部住民の12年上半期の給与所得は前年同期比13%上昇した。もともと所得水準の低かった農村からの出稼ぎ労働者は同14.9%増となっている。すでに多くの企業が生産コスト上昇の続く中国から撤退している。スポーツ用品大手アディダスは今月、江蘇省にある中国で唯一の直営工場の閉鎖決定を発表した。同社によると、スポーツシューズの製造に関わる中国人労働者の月給は少なくとも2000元(約2万4000円)必要だが、カンボジアなら107ユーロ(約1万300円)で済む。

こうした状況から、ナティクシスは中国における人件費の上昇が南アジアや東南アジア各国、エジプト、モロッコ、さらにはルーマニアやブルガリアなど、労働コストのより低い地域への生産業者の移転を促進すると予想した。

しかし一方で、一部の経済学者やアナリストはこうした見方に異論を唱えている。香港のシンクタンク・経綸国際経済院(ファン・グローバル・インスティチュート)のエコノミスト、ルイス・クイジス氏は「労働コスト上昇の大部分の影響は生産性の向上によって相殺されている」と指摘。スタンダードチャータード銀行が今年初めに200社を対象に実施した調査では、中国製造業の中心地・珠江デルタの生産性の伸びの速度は人件費の伸びの速度を上回った。

キャピタル・エコノミクスの中国経済専門家・王秦偉(ワン・チンウェイ)氏は「給与水準や人民元レートの上昇などによって、世界のローエンド製品に占める中国の輸出割合は落ちてきたが、ハイエンド製品分野での成長がこれをカバーしている」とし、中国の輸出産業全体の競争力は数年前と比較して落ちておらず、生産性の向上によって軽工業の平均利益率は過去3年継続して上昇していると指摘した。

また、HISグローバルインサイトのアナリスト、アリステア・ソーントン氏は「中国沿海部は高効率な産業チェーンなど信頼出来るビジネス環境を有している。その他のアジア各国などに比べてこの優位性は極めて大きい」と話している。(翻訳・編集/HA)

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