「環境不安」に陥る中国住民、原因は情報不透明―中国メディア

Record China    2012年9月3日(月) 6時43分

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8月29日、中国では近年、環境問題が住民と地元政府の衝突を引き起こす要因となるケースが増えている。写真はごみ焼却場建設の反対運動をしている男性。

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2012年8月29日、人民網日本語版によると、中国では近年、環境問題が住民と地元政府の衝突を引き起こす要因となるケースが増えている。こうした現象は中国の経済・社会発展が特殊な環境敏感期に突入したことを意味しており、国民の環境に対する敏感な態度、しいては不安に真剣に目を向けるべきだ。

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過去と比べると、国民が敏感になっているのは、環境汚染が今後深刻になるとの懸念や企業の汚染程度が深刻になっているためとは一概には言えない。実際には、環境保護の技術が進歩し、環境評価基準が厳格になるにつれ、新たな建設プロジェクトの汚染物質排出設備やその水準は国内外でも最先端のものとなっている。では、国民の反対の声はなぜ一層高まっているのだろうか?

生態環境が破壊されることへの懸念に起因した住民と地元政府の衝突は、先進国では比較的よく見られる光景で、反対する住民の心理状態は「NIMBY」(ニンビー、自分の裏庭にはあってほしくないとの意)と呼ばれている。政府部門は社会や環境に影響のある公共施設を計画・建設する際、往々にして建設地周辺の住民の反対を受けるのだ。中国でも、改革開放(1978年)のころには薄かった国民の環境保護に対する意識が今では向上。生存型時代の「冷淡」から発展型の今日の「敏感」へと変わり、ニンビーが普遍的になっている。これは国民の合法的権利に対する意識の向上でもあり、中国の経済・社会発展がさらに高い段階に足を踏み入れていることの証とも言える。

ニンビーは、1つの施設の建設が中止されたり、1つのプロジェクトがほかの場所に移されたりすることで収まるものではない。ある場所で反対を受けたプロジェクトはほかの場所に移されても、また新たな場所の住民の反対を受けることが、それを裏付けている。重大プロジェクトや必須施設建設の前に立ちはだかる壁をいかに乗り越え、住民の環境不安を取り除くかが、現在と今後の課題だ。

先進国であっても、公共施設に起因する生態へのリスクは完全には避けられない。一方、発展途上である中国にとって、粗放型の発展方式を完全に避けるというのは不可能で、転換中の経済の現状でも、汚染ゼロの実現は至難の業だ。環境保護の水準向上は国民が予測するスピードでは進まず、その上、一部の地域のプロジェクト誘致の透明性は低く、公共的意思決定は民意を反映していない。そのため、住民が汚染に対する推測を行い、環境不安へと発展していく。

そのため、環境不安を取り除くことが国民の環境保護に対する期待に応える政府の新たな課題となり、プロジェクトの経済価値を追求するだけでなく、その環境価値や社会的リスクを考慮することが一層必要になる。プロジェクトが着工する前に情報を十分に公開すれば、住民は情報の欠如に起因した憶測を行う必要はなくなる。また、プロジェクト建設の公共的意思決定において、公聴会や協議を実施することで、民意の最大公約数を追求すれば、住民との衝突は避けられるだろう。

環境不安は根本原因である心理的要因から取り除かなければならない。大型プロジェクトや公共施設の利点や收益を社会と共に分かち合いたいというのであれば、施設周辺の少数の住民がそのリスクやコストを負担しなければならなくなり、誰でも「自分の裏庭にはあってほしくない」という気持ちになるだろう。そのため、環境影響評価の認定を得ても、一定の生態リスクを抱えているプロジェクト施設に対して、権威者が関連の知識の普及にすぐに取り掛かり、国民の期待に応え、リスクの拡大を避ける以外に、国民の感情や合理的な請求を理解し、影響を受ける住民に対して、合理的な補償を実施することも急務である。

経済発展と環境保護の調和を求めることは、世界が現代化の過程で直面する共通の課題。一方、青く澄んだ空やきれいな水は、人類共通の願いである。発展段階の中でも、特殊な環境敏感期への突入は、科学の発展を実現させるためには避けられない道で、現実を直視し、ニンビーを理解し、意思決定の過程を見直し、環境恐怖を取り除くことから着手しなければならない。(編集/TF)

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