如月隼人 2018年9月30日(日) 15時0分
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事件記事につきものなのが警察や警察官です。警察や警察官の関連用語も、日本語と中国語で「漢字が同じだが意味が違う」場合が多く、混乱しやすい分野です。写真は中国の警察。
事件記事につきものの言葉が警察関連用語です。この分野の用語は日本語と中国語で「漢字が同じだが意味が違う」場合が多く、混乱しやすい分野です。もうひとつ、警察官の分類が複雑で、日本とは概念が違うことも、警察関連用語を分かりにくくしている原因です。中国語のピンイン(ローマ字表記)は段落ごとにご紹介します。全文を通じて中国語も日本で使われている漢字で表記するのは前回までと同じです。
まず、警察用語として最初に知っておかねばならないのが、中国中央政府で警察分野を担当する部署が<公安部>であることです。日本の警察庁に相当します。中国各省及び民族自治区の政府における警察部門は<公安庁>という名称です。北京・上海・天津・重慶の中央直轄市の場合には<公安局>です(公安部:gong1an1bu4 / 公安庁:gong1an1ting1 / 公安局:gong1an1ju2)。
さて、もうここまでで日本と中国での警察組織の名称が大きく違っていることが分かります。日本では警察組織の中に「公安警察」の活動をしている部署があります。
公安警察の職務は「主に国家体制を脅かす事案に対応」とされており、外国からの対日工作、国際的テロ、国内では暴力事件やテロを起こす恐れのある集団の情報収集などを行っています。法令違反があれば違反者を逮捕することもありますが、対象に個別の犯罪の事実がまだなくても、日常的に監視しているわけです。公安警察がまだ犯罪行為に手を染めていない団体も監視していることには批判もあります。いずれにせよ日本の場合、「公安」関連の業務をしているのは、警察組織の中の一部です。
一方、中国の<公安>は警察組織そのものを指します。日本の警察との大きな違いには、<戸口>(=戸籍)の管理も業務であることなどがあります。中国国内に留学や就労などで長期滞在する外国人は、<公安>で居留許可を取得せねばなりません(戸口:hu4kou3)。
さて、日本の警察と中国の警察についての言葉の違いはまだあります。日本語で「警察」と言えば警察組織を指しますが、中国語の<警察>はたいていの場合、「警察官」を指します。<一位警察>は「ひとりの警察官」です。報道文に<警察>と書いていたら、まず間違いなく「警察官」の意味です。「警察組織」ではなく「警察官」であるとはっきりと示したい場合には<警員>などと書く場合もあります(警察:jing3cha2 / 一位警察:yi1wei4 jing3cha2 / 警員:jing3yuan2)。
中国では警察の階級が上から5等級に分類され、さらにそれぞれの等級の中で、2~3の序列が設けられています。<警員>は上から5番目、つまり一番下の階級で、さらに一級と二級に分類されます。ですから<警員>は日本の警察で言えば巡査と巡査部長に相当、つまり「現場で働くお巡りさん」をイメージすればよいわけです。
報道文などで、個別の警察官ではなく警察組織であることをあらわす場合には<警方>と書く場合もあります。日本語の「警察側」に相当する表現です(警方:jing3fang1)。
中国の「警察官」の分類はなかなかやっかいです。というのは、さまざまな系統が存在するからです。とまどってしまうのは警察機関(公安)に所属しない警察官も多くいることです。
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