Record China 2018年11月22日(木) 22時10分
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江原道楊口郡の東部戦線最前方GPで16日に韓国軍の1等兵が死亡した事件で、軍当局が当時、9月の南北軍事分野合意のために緊急搬送用ヘリを離陸させることができなかったとの疑惑が浮上している。写真は南北境界の板門店。
韓国・江原道(カンウォンド)楊口(ヤング)郡の東部戦線最前方GP(監視所)で16日に韓国軍の1等兵が銃傷を受けた状態で見つかり、後に死亡した事件で、軍当局が当時、9月の南北軍事分野合意のために緊急搬送用ヘリを離陸させることができなかったとの疑惑が浮上している。
21日付けの韓国・朝鮮日報の記事によると、野党「自由韓国党」の白承周(ペク・スンジュ)議員は「軍当局に確認した」として、「南北軍事分野合意によりヘリを飛ばすためには国防部への承認要請と北朝鮮側への通知が必要となった。そのために1等兵を輸送するヘリを離陸させることができなかった」と主張した。
南北は軍事分野合意により、軍事境界線(MDL)上空に飛行禁止区域を設定しており、軍用ヘリは10キロ以内を飛行できない。ただし、患者の搬送や山火事の消化活動など緊急時には、相手側に事前通知をした上で飛行が可能になるという。
軍当局の報告によると、死亡した1等兵は16日午後5時3分ごろ、GP内のトイレで頭に銃傷を受けた状態で見つかった。現地部隊は19分に上級部隊に医務輸送ヘリの支援を要請。23分に国軍医務司令部が医務輸送ヘリ部隊に、任務準備の指示「予令」を下した。始動の指示を意味する「本令」が下れば離陸が可能になるが、白議員によると「この時点で医務司令部から始動指示は出なかった」という。京畿道(キョンギド)加平(カピョン)郡の県里(ヒョンリ)飛行場では29分に離陸の準備が完了し、本令を待っていたが、最終的に医務輸送ヘリ部隊長が「上からの命令はないが、これ以上遅らせることはできない」と判断し、38分にヘリに始動指示を出したという。一方、軍当局はこれまで、5時39分にヘリの運航準備が完了したと説明してきた。
当時、現地からヘリ支援要請を受けた上級部隊は、午後5時26分に合同参謀本部指揮統制室に状況を報告。南北軍事分野合意に基づき、飛行禁止区域へのヘリの進入承認を要請したという。軍事分野合意以前は、こうした手順を踏む必要はなく、医務輸送ヘリをすぐに投入することができたという。
合同参謀本部指揮統制室は、33分に南北軍事分野合意の主務部処、国防部北韓(北朝鮮)政策課にヘリ投入の承認を要請し、10分後に承認を受けた。軍の文書には「17時43分、合参、医務輸送ヘリ出入承認」と記されている。しかしその5分前の5時38分には、1等兵の死亡が確認されていたと、白議員は指摘している。
医務司令部は1等兵死亡の連絡を受け、5時50分に「ヘリ任務解除」を指示したが、国防部北韓政策課は5時59分に、ヘリ投入を北朝鮮に通知したという。野党関係者は「1等兵は重傷で、ヘリが飛んでも命を救えたかは分からない」としつつも「北朝鮮への通知のためにヘリの離陸が遅れた疑惑は払拭できない」としている。
この件について国防部は「南北の合意書には事前通知するよう明示されているが、緊急時は離陸の指示を出した後で北朝鮮側に通知すればよい。今回の事故当時に関しては、軍事合意とは何ら関係がない」と釈明しているという。ヘリの離陸準備は整っていたが指示が下りなかったという白議員の主張については、「夜間の着陸が可能か確認し、救命措置に必要な物を現場と相談するのに時間がかかった」と説明しているが、現地部隊によると、着陸が予定されていたのは医務搬送ヘリポートで、夜間の離着陸も可能だったという。軍の文書に「承認」と明示されている理由については、「単純な表記ミス」としている。
この記事に、韓国のネットユーザーからは「北にいい顔をするために韓国の兵士を死なせるなんて」「韓国の軍人を助けるヘリを飛ばすのに誰の承認が必要だっていうんだ」「ヘリを飛ばすのに金正恩(キム・ジョンウン)の司令が必要だなんて」「大統領を弾劾しよう」「結局、大統領のせいだったのか」「自国民を救うことができないなんて、それが国か?」など、批判の声が殺到している。(翻訳・編集/麻江)
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