「中国プラス1」戦略へ移行する日本企業=中国市場重視しつつリスク分散図る―米華字メディア

Record China    2012年11月7日(水) 12時16分

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5日、尖閣諸島を巡る対立により、日本からの対中投資への影響は長期化が予想されている。日本企業は中国市場を重視しつつも、リスク分散を図って他国に拠点を作る「中国プラス1」戦略に移りつつある。写真は広州交易会。

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2012年11月5日、尖閣諸島を巡る対立により、日本の対中投資への影響は長期化が予想されている。日本企業は中国市場を重視しつつも、リスク分散を図って他国に拠点を作る「中国プラス1」戦略に移りつつある。米華字メディアの多維新聞が伝えた。

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日本の対中投資は、香港に次ぐ第二位で、2011年は前年比49.6%増の63.5億ドル(約5104億円)となり、中国全体の外資利用額増加ペースを40%近く上回った。

元在中国日本国大使館公使で津上工作室社長の津上俊哉氏は、震災と電力不足が製造業を主とする企業の中国進出を加速させたと指摘し、「現在の緊迫した雰囲気下では、対中投資は必ず減少する」とコメントした。

2005年の反日デモ後も、数年間にわたり日本の対中投資は大幅に減少した。2005年の対中投資は2011年を上回る65.3億ドル(約5249億円)を記録していた。

だが、国務院発展研究センター対外経済研究部の隆国強(ロン・グゥオチアン)部長は、「日本の対中投資の減少は政治的要因だけでなく、その目的が変化しているためでもある」と指摘、「当初中国は輸出拠点と位置づけられていたが、賃金、土地、環境コストの上昇により、それらがASEANなどのより低コストの地域に移転、中国は市場として投資が行われるようになった」と述べた。

2011年、日本によるASEANへの投資額は、2010年の2.4倍となる1兆5000億円に達し、今年1月から8月までの投資額は前年同期比で対中投資の上昇率16%を大きく上回る45%増と、投資の重心が東南アジアに移っていることが浮き彫りになった。

南開大学経済学院の張伯偉(ジャン・ボーウェイ)副院長は「日系企業の生産体制は長期的に形成されたもので、政治的対立によって大規模な資金の逃避は起こらず、東南アジア諸国の様々な優位性に基づいて多少の調整が行われるにすぎない」として、「労働集約型の企業ではASEAN移転が進むものの、技術力を要し、中国市場を重視する自動車などの産業が中国を離れることはない」と指摘した。

中国社会科学院日本研究所の李薇(リー・ウェイ)所長は、「釣魚島(尖閣諸島)事件が、中国の工場時代の終わりを加速させているが、東南アジアはあくまでも工場とみなされ、中国市場は依然重視されている」と述べた。

津上氏は、「今のところ日本企業は静観するしかない」として、情勢が変化する二つのタイミングに注目していると述べた。一つは事件発生3カ月後となる年末前後、その頃には心理的衝突も次第に消失している。もう一つは半年後、中国の「両会」で、新政権が施政方針を打ち出した後となる。津上氏は「今はまだ決定の時期ではない」とコメントした。

地震、エネルギー不足、円高などが日本企業の海外移転を後押ししているが、隆氏は「中国が重要な目的国であることは間違いない。日本企業は『釣魚島事件』を政治リスクとして、中国への投資と同時に、他国にも同様の工場を作ってリスクを分散する『中国+1』戦略を取るようになった」と述べた。

また、津上氏は「2005年の日本製品ボイコットは実現しなかったが、今回はそれが現実化し、現在も続いている。震災を契機に中国に進出した企業は後悔しているかもしれない。10月以降は投資を見送る企業が増加している。大手企業は分散を検討するが、中小企業に選択の余地は多くない。投資も撤退もできず、一番苦しい思いをするだろう」と指摘した。(翻訳・編集/岡本悠馬)

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