ルノー・日産・三菱アライアンスに激震 ゴーン氏逮捕

人民網日本語版    2018年11月22日(木) 11時10分

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日産自動車、フランスのルノー、三菱自動車工業の会長であり、かつて「日産の救世主」と呼ばれたカルロス・ゴーン氏は、一夜にして「とらわれの身」となった。ゴーン氏逮捕の報を受けて、関連各社の株価は20日に急落した。

日産自動車、フランスのルノー、三菱自動車工業の会長であり、かつて「日産の救世主」と呼ばれたカルロス・ゴーン氏は、一夜にして「とらわれの身」となった。ゴーン氏逮捕の報を受けて、関連各社の株価は20日に急落した。業界には、日産は度重なる不祥事の影響で、業績が曲がり角を迎えて低迷する見込みで、ルノー・日産・三菱アライアンスも打撃を受けるとの見方が広がる。「北京商報」が伝えた。

▽「とらわれの身」

逮捕の前日、豪腕で鳴らした自動車産業トップのゴーン氏は、ルノー・日産連合の代表者、日産の会長などの要職にあり、またゴーン氏が掌握するルノー・日産・三菱アライアンスは2017年に世界最大の自動車・小型商用車グループに躍進したところだった。それが一転して、ゴーン氏は金銭をめぐる虚偽記載により「とらわれの身」となった。問題は3社にも波及し、20日の日産の株価は19日の終値に比べて6%以上下落し、ルノーの株価も汎欧州取引所で15%下落した。

問題の直接の導火線は報酬の過少申告だ。NHKと共同通信社の報道によれば、過去5年間に、ゴーン氏は計100億円の報酬を得ていながら、半分の50億円しか申告しなかった。日産が公開した資料では、ゴーン氏の16年以前の年俸はいずれも10億円を超えていたという。

謹厳な日本人は、身内の調査でも決して手を緩めない。日産の西川広人最高経営責任者(CEO)は19日夜の記者会見で、ゴーン氏の3つの不正行為を指摘した。東京証券取引所への有価証券報告書の虚偽記載、公金の私的流用、権限の過度な集中だ。

▽「救世主」

ゴーン氏の光り輝く数十年のキャリアにこのような幕切れが待っていたとは、一体誰が想像できただろうか。現在はあくまで容疑の段階だが、これほど不面目な状況は、日本で「ビジネス界の巨星」とされてきた64歳のゴーン氏には、まったく似つかわしくない。

ゴーン氏はブラジル生まれで、5カ国語を操り、レバノン国籍を有し、毎日15〜16時間働き、一年の3分の1をフランスで、3分の1を日本で過ごし、残りの3分は1には工場がある世界68カ国を飛び回る。これが同アライアンス代表者のゴーン氏の日常生活だ。

「コスト・キラー」は、日本人がゴーン氏につけたあだ名で、日産の起死回生を果たしたことにちなむ。ゴーン氏が再生に乗り出す前の日産は、7年連続で大きな損失を出し、2兆円の巨額債務にあえいでいた。1999年、ルノーは52億ドル(1ドルは約112.8円)で日産の株式の43.4%を取得し、ゴーン氏が危機を前にして再生の命を受け、勢い盛んに改革に乗り出した。部品サプライヤーを1300社から600社に減らし、2万1千人のリストラを敢行し、工場を5カ所を閉鎖し、日産が保有してきた自動車製造と関係のない事業はすべて売却した。

ゴーン氏の「情に流されない」大胆な措置により日産は復活を遂げ、2000年度には27億ドルの黒字に転じ、01年度は39億2千ドルの黒字となった。4年後には債務もすべて返済した。ゴーン氏は16年、ルノー・日産連合を率いて三菱を買収し、ルノー・日産・三菱アライアンスを発足させた。17年の同アライアンスの総販売量は1061万台で、世界の自動車販売量の9分の1を占め、世界一の自動車連盟へと躍進した。

自動車産業のアナリスト・賈新光氏は取材に対し、「日本人は企業同士の関係や家族間の関係を重視するが、ゴーン氏が就任して行ったのは、コストをカットし、資産を整理し、人員を削減することだった。企業発展の歴史の中で考えると、このやり方はなかなか優れているといえる。全く無関係の人なら、企業のガバナンスにおいて制約を受けることがないからだ」と話す。

▽「社内抗争」

野心が膨らみすぎると、不満が出てくる。西川CEOは記者会見で、「企業の経営管理が1人の人物に集中し過ぎたこと自体が問題だった。自分はこれが原因の一つだと考えている」と説明した。17年にゴーン氏の呼びかけで同アライアンスは6カ年計画「アライアンス2022」を発表し、ルノーと日産の完全統合への意欲が示された。

だが日産からみると、ゴーン氏は日産を「ゴーン帝国」にするために時間をかけて策略を巡らしてきたという。日産の伝統と尊厳を否定し、踏みにじろうとしていたという。

あるシニアアナリストは、「ルノーと日産との間に溝がなかったとはいえない。また、これら企業の間で真の相乗効果が最大限に発揮されているとはいえない」と指摘した。また業界関係者は同アライアンスの将来について、「結果がどうあれ、このアライアンスは世界一としての道のりで非常に大きな挫折を味わうことになるだろう。株価の大幅下落は前奏曲に過ぎず、最終的な崩壊はかなりの確率で起きる」との見方を示した。

だが賈氏からみると、「今アライアンスを解消するのは得策ではない。アライアンスを推進するのは共同で研究開発や調達を行い、市場を開拓し、いくつかのコストカットを実現するためだ、現在の状況を考えると、より不利なのはルノーであり、フランスの自動車工業は非常に危機的な状況にある。これはフランス政府がルノー株の保有率を徐々に高めるとみられる理由でもある。日産の状況はルノーよりもマシだが、欧州市場とフランス市場を失う可能性はある」という。(編集KS)

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