「中国経済世界一」、喜ぶのはもう少し先のこと―中国メディア

Record China    2012年11月15日(木) 9時0分

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14日、グローバル経済危機がいまだに解消されず、さらに劇化する可能性すらある現在、中国も世界の多くの国と同様、経済低迷と壮絶な戦いを繰り広げている。写真は北京市のビジネス街。

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2012年11月14日、グローバル経済危機がいまだに解消されず、さらに劇化する可能性すらある現在、中国も世界の多くの国と同様、経済低迷と壮絶な戦いを繰り広げている。このような苦難の時にあって、西側世界は今最も必要とされる楽観的な心持ちと信頼感を中国に寄せている。それはどういうことかというと、中国は早ければ2016年にも、つまり米バラク・オバマ大統領の新たな任期中にも米国に取って代わり、世界一の経済体になるという楽観的な見方であり信頼感だ。国際金融報が伝えた。

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経済協力開発機構(OECD)が北京時間の11月10日にこのような「うれしい贈り物」を中国に送った。OECDは同日、「2060年の見通し 超長期的成長へのグローバルな視点」という報告書を発表し、購買力に基づいて評価すると、中国の国内総生産(GDP)が米国を抜くには4年がかかるが、ユーロ圏の合計を抜くには1年しかかからないとの見方を示した。この予測が意味することは、4年後には中国が世界経済の真のトップとなり、グローバル経済を前に進ませる動力車になるということだ。

このように元気をくれるOECDの好意的な見通しに接して、筆者は興奮を覚え、中国人として誇らしく思った。だが喜びの時間は短く、その後により大きな憂いがやって来たことは否定できない。中国経済は本当に世界のトップクラスに並ぶのだろうか。事情が変わっても、世界はよろこんで中国を上位に迎えてくれるだろうか。もしそうでないなら、この報告書の隠された論理は何か。裏側にはどのような陰謀が隠されているのだろうか。

客観的にみると、OECDの中国に関する分析はそれほど確かなものとはいえない。中国の昨年のGDPは47兆1500万元で、米ドルに換算すれば7兆3000億ドル(約579兆7020億円)だ。同年の米国のGDPは15兆900億ドル(約1198兆3200億円)で、中国の経済規模は米国の約40%にしかならない。1人当たりの平均収入をみれば、中国は米国の16.6%しかなく、中米経済を同列に論じることはできない。同報告書は、50年後に中国は米国の60%になるとしている。

国家発展改革委員会の関係者がこのほど、中国経済の今年の成長率は7.5%に達し、2〜3%ほどの米国経済の成長率を大幅に上回るとした。だが腐っても鯛だ。米国がグローバル経済を主導し、グローバル通貨の発行権を有するという環境の中、中国経済が4年で米国を追い抜こうと考えるのは、白日夢というほかない。中国が20年に都市部・農村の1人当たり平均所得を倍増させ、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的実現という壮大な目標を達成したとしても、中国の経済規模は米国にははるかに及ばず、世界1位にはまだ相当の距離がある。

中米間の経済的な距離はこれほど明確だ。それではOECDはなぜさかんに中国を持ち上げるのか。中国のことわざがいうように、利益がなければ動くことはない。OECDが中国にしきりにこびを売るその背後には、経済予測業界の悲哀がうかがえるほか、人に言えないような側面もあるとみられる。

今月12日、人民元の対米ドルレート基準値が1ドル=6.30元の大台を突破した。これは米国をはじめとする西側諸国が最も期待していた光景だ。ここ数年来、米国は人民上げの切り上げを迫り続けたが、効果はなかった。中国経済が世界1位になれば、米国は人民元の大幅な切り上げを引き続き一方的に迫るだけの十分な理由を見つけられることになる。そうなれば中国経済にとって致命的な打撃となることは確実だ。中国の対外貿易依存度は25%を上回っており、人民元が1%値上がりするごとに、輸出が深刻な影響を受け、ひいては国民経済の健全な発展が影響を受けることになる。

人民元切り上げの問題だけではない。中国経済が世界1位になれば、西側の論客は中国への敵意を増大させるとみられる。ここ数年、中国の総合的な国力が増大するのにともない、中国脅威論が間断なく登場し、こうした傾向に拍車がかかりさえした。今年の米国大統領選にもこうした傾向がはっきりとうかがえる。当選したオバマ氏も、破れたミット・ロムニー氏も、等しく中国を攻撃し、中国に圧力をかけることを票集めの戦略とみなした。両氏は票集めのため次々に摩擦を作り出し、華為、中興、三一重工などの中国企業や中国の複数の太陽電池メーカーを差別し、攻撃を加え、今では中国石化集団によるカナダのエネルギー企業ネクセン社の買収でさえ米国人の手に命運が握られている。

国家知識産権(知的財産権)局の田力普(ティエン・リープー)局長はこのほど、「中国は版権や商標権の使用料(ロイヤリティ)、フランチャイズ経営費用を世界で最も多く支払っている国であり、海外の企業は中国でOEM製造(製品の生産企業が発注企業のブランド名で製品を生産すること)を行う加工貿易によって高い付加価値を得ており、中国の知財権保護の活動は世界各国に実際に利益をもたらしている」と述べた。だがこの発言によって中国企業が差別されている現状を変えることはできそうもない。

最近、米国だけでなく欧州連合(EU)も中国の太陽電池産業に反応するようになった。予想外の事態が起こらなければ、EUは米国の後について中国太陽電池産業への制裁措置を近く打ち出すとみられる。またEUは二酸化炭素(CO2)排出量の責任をめぐって中国を困らせるとみられ、西側諸国も国際通貨基金(IMF)の増資をめぐって引き続き中国を「カモ」にするよう騒ぎ立てるとみられる。

「世界一」の称号に対し、われわれは冷静さを保たなければならない。30数年に及ぶ改革開放を経て、中国経済は世界が目を見張る成果を挙げたが、これから地域的な格差、構造のアンバランス、分配の不平等さ、貧富の格差といった一連の問題を解決していかなくてはならない。このような問題の解決という目標を達成してはじめて、国民は幸福になり、国は強くなる。その時こそ世界一を喜び、世界一を記憶にとどめ、世界一を誇りに思うことができ、真の幸福に浸れるようになるといえる。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/内山)

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