モーターショーの冷え込みが映す自動車市場の低迷―中国メディア

人民網日本語版    2018年11月29日(木) 7時30分

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年に一度の広州モーターショーがこのほど開幕した。全国自動車市場で販売量が減少するという「暗い影」の中、今回のショーはさまざまな場面でトーンダウンが目立つ。

年に一度の広州モーターショーがこのほど開幕した。全国自動車市場で販売量が減少するという「暗い影」の中、今回のショーはさまざまな場面でトーンダウンが目立つ。たとえばメーカーが展示する重量級車種が激減し、自動車製造の新顔はほとんどが欠席し、来場者も例年のように押し寄せることはない。自動車産業はどのようにモデル転換とバージョンアップを果たせばよいのか。合弁メーカーも独自ブランドメーカーも大きな挑戦に直面している。北京日報が伝えた。

■自動車市場が低迷

今年7月以降、自動車市場は低迷が続いている。今年1-10月の自動車生産量は2282万6000台で前年同期比0.4%減少し、販売量は2287万1000台で同0.1%減少した。10月の生産量は233万4000台で同10.1%減少、販売量は238万台で同11.7%減少あった。中国自動車協会の姚傑(ヤオ・ジエ)副事務局長は、「今年全体でプラス成長を達成できる可能性は非常に小さい。予測が本当になったなら、中国乗用車市場の年間販売量が1990年以降で初めて減少することになる。こうした状況も年末の広州モーターショーに影を落としていることは間違いない」と話す。

■合弁と独自ブランドが「パイ」を食い合う

今回のモーターショーでは、「市場が飽和状態」、「スリム化の競争」、「増加した生産量がストックに」といった見方に対する議論が多く聞こえてくる。実際、各メーカーが発表した製品をみると、より大きな市場の開拓を追求するというより、ライバルの「パイ」を黙々と奪おうとする傾向が強い。

中国自動車市場で今最も人気があるのはスポーツ用多目的車(SUV)で、販売量の伸びは鈍化しているが、それでも各メーカーは「市場の救世主」として希望を託す。これまでは独自ブランドが強かったが、今は合弁メーカーも力を発揮している。上汽通用雪仏蘭(上海汽車、ゼネラルモーターズ<GM>、シボレーの合弁会社)は中国初のミドル・ハイクラス主力車種の新製品「マリブXL」を発表しただけでなく、世界新発売のコンセプトSUV「FNR-CarryAll」もお披露目し、SUV市場の全車種をカバーする布陣を敷いた。北京ヒュンダイの大型SUV「サンタフェ」4代目モデルがお目見えし、フォルクスワーゲン(VW)は来年、中国市場向けに3種類のSUV新車種を打ち出すとしている。

中国自動車市場は「寒波」に直面しているが、それでもなお世界最大の自動車市場であり、各国のメーカーは中国事業の手をいささかも緩めることはない。

北京ヒュンダイの関連責任者は発表会で、「ユーザーのニーズはどんどん高度化しており、SUV市場はより細分化されている。弊社は年齢の若い新中産階級層の自家用車ニーズに照準を合わせて、『サンタフェ』4代目モデルを打ち出した」と述べた。VW中国法人のヨヘム・ハイツマン社長兼最高経営責任者(CEO)も、「未来を中長期的に見通すと、やはり中国の自動車市場が非常に大きな成長の潜在力を秘めている。現在みられる自動車市場の低迷は一時的な現象に過ぎない」と述べた。

中国の自動車政策がますます開放的になるにつれて、独自ブランドはより大きな圧力にさらされるようになった。1-10月の中国独自ブランド乗用車の販売量は809万1000台で同3.6%減少し、乗用車販売量全体に占める割合は41.9%で同1.1ポイント低下した。それでも、独自ブランドメーカー各社は「ブランドの向上」を図り、ミドル・ハイクラス市場での価格の「天井」を突き破ろうと努力することを決してやめはしない。

比亜迪BYD)はロングホイールベースの5人乗り主力SUV「一代唐」のガソリン車モデルとデュアルモード(ハイブリッド)モデルの新製品をモーターショーでお披露目し、発売も明らかにした。価格はデュアルモード版が25万元(約406万円)を超える。高級車ブランドとの位置づけの「リンク・アンド・コー」と「ウェイ」も相次いで登場した。長城汽車の「ウェイ」ブランドの第1号車種「VV7」は、2年間の累計販売量が10万台を突破した。

また乗用車分野では、独自ブランドと合弁ブランドのつばぜり合いが続いており、北汽集団が独自ブランドの新製品となる中型乗用車「紳宝智道」を発売し、日産の「シルフィ」やヒュンダイの「ミストラ」に真正面から挑むとしている。

■自動車製造の新顔が大半欠席

データによると、今年1-10月、中国では新エネルギー車の生産量が87万9000台に達して同70%増加し、販売量は86万台で同75.6%増加した。自動車市場全体が低迷する中で、厳寒に咲く一輪の花のように唯一好調な分野だ。

今回のモーターショーでは国内外のメーカーが新エネルギー車150台を出展し、このうち海外メーカーのものが44台を数える。北京汽車がまもなく打ち出す小型電気自動車(EV)のクロスオーバー新車「EX3」の量産タイプが初お目見えした。メイン会場の広州汽車はEV新車「アイオンS」を発表し、コンパクト車種との位置づけだ。ヒュンダイは今年初めに発売した量産タイプの燃料電池車(FCV)「ネクソ」を展示し、長城汽車はEVブランド「オラ」を初めて国際モーターショーで披露した。

新エネルギー車は各メーカーが未来の突破口と考える分野であることは間違いない。VWの計画では、2020年の中国での新エネ車生産量を40万台に引き上げ、中国新エネ車市場でのシェア20%を目指すという。トヨタは20年前後に世界市場でEV10車種を打ち出し、30年にEVとFCVの生産量約100万台を達成し、中国はトヨタのEV計画の最も重要な陣地になるとしている。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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