Record China 2018年12月27日(木) 10時0分
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日本が国際捕鯨委員会からの脱退を表明したことで、中国のSNSには日本を非難するコメントが寄せられた。しかし中国政府はこまで、強硬な反捕鯨国とは一線を画し、日本の主張を理解する動きを続けている。資料写真。
菅義偉官房長官は26日、日本がクジラの資源管理を担う国際捕鯨委員会(IWC)から脱退すると正式発表した。約30年ぶりの商業捕鯨の再開を予定する。中国に同ニュースが伝わると、SNSには日本を非難するコメントが寄せられ、多くの「いいね」を獲得した。しかし中国政府は強硬な反捕鯨国とは一線を画し、むしろ日本の主張を理解する動きを続けている。
SNSなどを見る限り、中国人の多くは日本の捕鯨に対して極めて批判的だ。過去の戦争とも絡めて、日本人の残虐さのあらわれとする極論も珍しくない。
日本のIWC脱退を伝える記事に対しても、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)では、「(日本人は)人を殺しても表情を変えないからな。鯨を殺すのなら、なおさら」「3割の人間性も学びきっていない。7割の獣性は根深く固まっている」などのコメントが、圧倒的に多くの「いいね」を獲得した。日本の捕鯨に理解を示すコメントもあるが、「いいね」は比較的少ない。
しかし、これまでIWCなどを見る限り、中国は強硬な反捕鯨国とは一線を画し、むしろ日本の主張を支持あるいは理解を示す動きを続けている。
中国はIWCにおける日本の調査捕鯨の申し出について、賛成票を投じてきた。日本の伝統的捕鯨の維持についても反対していない。中国はそれ以外にも、日本の主張を支持する、あるいは日本にとって不利にならないよう投票を棄権するなどの行動を続けている。水産庁が11月に発表したリポートの「捕鯨をめぐる情勢」も、中国を「クジラ類の持続的な利用支持国」に分類している。
中国において捕鯨問題は、政府の方針と多くの庶民の感じ方の分裂が長期に渡って継続している珍しい事例とも言える。中国メディアの中国網は2016年6月に、捕鯨問題について専門家である山東大学海洋学院の王亜(ワン・ヤー)教授に取材した記事を発表した。王教授は国際自然保護連房(IUCN)のサメ専門チームのメンバーでもある。
王教授は「商業捕鯨が禁止されて以降、鯨資源は数十年の回復を経て全体的に状況は大きく改善した。数量は増加しており、減少は見られない」などと、科学的知見に基づいて鯨資源について解説した。
王教授はさらに、「捕鯨は鯨の行動を熟知していなければできない。その方面では日本とノルウェーで知識の蓄積が深い」と、日本などの調査捕鯨の意義を評価した。中国網は政府系メディアであり、捕鯨についての記事も中国政府の立場を間接的に紹介したと考えてよい。
中国政府が捕鯨に「理解」を示す理由については、不明な点が多い。ただ、資源の利用について「持続可能性を最大限に考慮」とする中国政府の原則論との矛盾はない。また、中国は現状で捕鯨活動をしていないが、将来的に自国が鯨資源の利用を検討する状況になった場合も想定し、「自らの手足を縛るような行動は避ける」との思惑があるためにIWCなどで反捕鯨国に安直に同調することを避けている可能性もある。
また、反捕鯨の動きは「環境運動を利用した他国に関する干渉だ」との警戒感を示し、中国は冷静さを保つべきだと主張する文章も発表されている。(翻訳・編集/如月隼人)
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