北京・上海の人口は減少、鄭州や西安など「新一線都市」は1千万近くに

人民網日本語版    2019年1月9日(水) 22時50分

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最近発表された統計データから、中国各都市の人口分布に重要な変化が生じていることが明らかになった。

最近発表された統計データから、中国各都市の人口分布に重要な変化が生じていることが明らかになった。北京では、約20年ぶりに居住人口のマイナス成長が見られ、上海の居住人口も減少している。一方、鄭州西安など多くの省会都市(省政府所在地)の居住人口は、1千万の大台を突破しようという勢いだ。人口流動の新たな傾向は、一体何を意味しているのだろうか?中国の都市発展にどのようなサインを送っているのだろうか?新華社が報じた。

〇転機を迎えた北京・上海の人口、省会都市の多くはまもなく人口1千万突破

先ごろ公開された統計データによると、2017年、北京の居住人口は2170万7千人で、2016年末比2万2千人減、約20年ぶりにマイナス成長となった。また、もう一つの巨大都市・上海でも、2017年の居住人口は2016年比1万3700人減少した。北京と上海の居住人口は、数年ぶりに、揃って「ダイエット」したことになる。

一方で居住人口1千万人以上の都市が増えつつある。「新一線」都市と呼ばれる鄭州や西安、杭州などはいずれも人口「1千万クラブ」に仲間入りして「メガシティ」となる可能性が高い。西安市インターネット情報弁公室の公式微博(ウェイボー)「西安発布」が2018年末に発表した統計データによると、全市の戸籍人口は1千万に近付いている。

中国の都市人口の新たな変化は、マクロ政策の方向性と個人の自主選択による共同作用によってもたらされたと言える。

北京の重点大学で修士課程を修了した張欣さんは、北京にある企業の本社で1年間働いた後、昨年、成都支社への転勤を自ら願い出た。「一見したところ、プラットフォームの規模は小さいが、成都の市場はブルーオーシャン(競争相手がいない未開発市場)で、生活コストは低く、快適な生活を送ることができる」と張さん。

中央党校の汪玉凱・教授は、「これまでは、『孔雀東南飛(クジャクは南東に向かって飛ぶ)』という古詩にあるように、人材や労働力は、東部沿岸地域や経済発達地域に殺到していた。だが、数年前から、『孔雀開屏(クジャクの尾羽が大きく開く)』という現象が現れはじめ、省内および中西部のセンター都市で落ち着きたいと願う人が急増している」と指摘した。

国家衛生健康委員会がこのほど発表した「2018年中国流動人口発展報告」によると、中国の流動人口規模は、長期間にわたる急成長を経て、調整段階に入った。特にここ数年間、中国の労働力、とくに出稼ぎ労働者が、東部沿岸地域から中西部地域に戻ってくるという現象が生じている。

〇人口流動の背後に「産業シフト」あり、「新一線都市」が人材を惹きつける魅力上昇

汪教授は、「北京と上海の二大都市は、数年前から、『大都市病』の治療を推進、定住政策の厳格化を進めている。また、高速鉄道とインターネットは、リアルとバーチャルという2つの次元から、都市間格差を縮小し、『新一線』都市は、『車線変更・追い越し』のチャンスを掴むことが可能になった」としている。

一帯一路(the Belt and Road)」建設という国家戦略を利用し、「列車にけん引される都市」と称される鄭州は、立地面での優位性を大いに発揮し、境界内外を繋ぎ、東・中・西部に放射する物流ルートの中枢としての地位を確立し、「世界から買い世界に売る」という目標に向かって邁進している。2018年6月、北京で頑張ってきた張紅超さんは、退職して鄭州に赴き、経済技術開発区にある貿易企業に就職した。「人材競争が激化する北京に比べ、私はここでより良い職に就くことが可能で、キャリア発展の可能性も高い」と張さん。

国内の第三者調査機関・麦可思(MyCOS/マイコス)研究院の調査結果によると、2018年度卒業生の勤務地として最も多かったのは「新一線都市(37%)」で、伝統的な「一線都市(31%)」を上回った。また、マイコスが発表した「2017年度大学卒業生の卒業半年後の研修クオリティに関する追跡評価」によると、2017度大学学部卒業生の勤務都市別満足度は、北京76%、上海74%、広州71%、深セン70%だった。一方、杭州は、北京に続き75%だった。

〇大都市の重点目標は「精密化管理」

中央経済政策会議では、「地域の強調発展を促進する」方針が明確に打ち出された。中心都市の周辺に対する影響力を強め、高品質発展のための重要なサブ推進力を形成しなければならない。都市化発展を推進し、城鎮ですでに就職している農村からの流動人口の定住作業を確実に実施し、「2020年に定住者1億人」という目標の達成を督促し、大都市の精密化管理レベルを高める必要があるとした。

華南都市研究会の会長を務める曁南大学の胡剛・教授は、「中国の多くの省(自治区・直轄市)の人口はヨーロッパの人口大国1国分に、省会都市はヨーロッパの大国の首都分に、それぞれ相当する。これらの省会都市は、大きく発展し、強くなっており、周辺地域に大きな影響力を及ぼし、さらには国家経済や社会全体の発展をリードする潜在力を備えている」とコメントした。

専門家は、「人口流動の新たな変化に対応するためには、それに伴い生じる公共管理をめぐる新たな問題に注目する必要がある」と指摘している。一部の都市では、定住のためのハードルが引き下がったことで、投機目的の「定住・住宅購入」が増え、「戸籍はあるが実際に居住していないという現象が見られるようになった。このような現象は、都市の公衆資源設計・配置・利用などの面での偏差を生み出す恐れがある。河南省社会科学院の王宏源・副研究員は、「人材誘致の鍵は、どれだけ多くの政策を発表するかという点ではなく、その政策による最終的な効果や質にある。従来の体制・構造に絡んでいた障害を打破するためにどれだけ力を尽くすかによって、人材誘致につながる道路や橋の完成度が異なってくる」としている。(編集KM)

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