Record China 2019年1月31日(木) 9時40分
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北京交通大学の趙堅教授が、中国の高速鉄道は収入率の悪さにより、重大な金融リスクが予見できると主張した。巨大な債務を抱えており、中国経済を直撃することにもなりかねないという。
北京交通大学経済管理学部の趙堅教授が、中国の高速鉄道は収入率の悪さにより、重大な金融リスクが予見できると主張した。今後も大規模な建設を続ければ、運営会社の中国鉄路総公司と地方政府に巨大な債務負担をもたらし、中国経済を直撃することにもなりかねないという。中国メディアの財新が2019年1月28日付で、趙教授の文章を掲載した。
趙教授は、中国の高速鉄道の営業距離は2018年末時点で2万9000キロと世界一の規模になるのと同時に、債務と営業赤字も世界一になったと主張。中国の交通運輸の構造は深刻な悪化を示していると論じた。
趙教授によると、北京と上海を結ぶ京滬高速鉄路、北京と広東を結ぶ京広高速鉄路では高速鉄道の輸送能力が効率よく利用されているが、その他の路線では輸送力が無駄になっており、その結果、深刻な赤字が発生している。例えば、甘粛省蘭州と新疆ウイグル自治区ウルムチを結ぶ蘭新高速鉄路は、1日当たり列車を160往復以上させることができるのに、実際には1日に4往復しかしていない。営業収入は必要な電気代にも満たないという。
趙教授は、中国の高速鉄道の輸送効率の悪さを示すために、日本の新幹線と比較。中国では2015年、輸送密度が最も高い京滬高速鉄路や京広高速鉄路は路線1キロ当たり約4800万人キロを輸送したが、輸送密度が最も低い蘭新高速鉄路では230万人キロ前後で、全国平均では1700万人キロだった。
一方、日本の東海道新幹線では9000万人キロだ。趙教授は、京滬高速鉄路や京広高速鉄路も、世界最高の輸送密度の東海道新幹線との差は大きいと指摘。新幹線全体の輸送密度は3400万人キロで、中国高速鉄道の約2倍と論じた。
趙教授は、世界各国の高速鉄道で、営業収入だけで建設費と運営コストを賄っている路線はほとんどなく、大多数が赤字状態または政府補助に頼っていると指摘。中国では、全世界で半世紀をかけて建設された高速鉄道路線の総和の2倍以上を過去十数年で建設しており、世界最大規模の高速鉄道網の輸送密度があまりにも低いことは、重大な金融リスクの予兆と指摘した。
趙教授はさらに、鉄道建設を手掛ける中国鉄路総公司の財務にも言及。05年には4768億元だった負債が、16年には4兆7200億元に膨らんだという。趙教授は、中国鉄路総公司の収支状況について「厳格な秘密保持が行われている」と説明。ただし、公表されている数字から算出すると、「高速鉄道の運営コストを考慮しておらず、高速鉄道の営業収入をすべて投入しても、建設時の利息すら満たすことができない」と主張した。
趙教授は、中国の鉄道事業について、高速鉄道への効率の悪い資金投入が大きすぎるため、貨物輸送の充実が置き去りにされていると主張。しかも、高速鉄道での損失を補いために、貨物輸送の運賃を引き上げているために、物流がトラック輸送に切り替えられていると論じた。
04年に0.08元だった「1トンを1キロ輸送する」ための料金が、15年には0.1551元と2倍近くに上昇したという。趙教授は、貨物の種類によっては、引き上げ幅はさらに大きいと主張した。
趙教授は、交通運輸産業の発展について、「最低限の考え方は、市場経済の規律に基づかねばならない」と主張。「効果に乏しい(輸送手段の)供給は減らし、有効な供給を拡大し、全体としての供給システムの質の向上に力を入れ、需要に対する供給構造の柔軟性を向上せねばならない」とした。(翻訳・編集/如月隼人)
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