横浜正金銀行(Yokohama Specie Bank,Ltd.)は、かつて存在した日本の特殊銀行で外国為替システムが未確立だった明治時代に日本の不利益軽減のため、現金(正金)で貿易決済を行なうことを主な業務とし、横浜市中区馬車路に本店を置いた(写真1)。東京銀行(現在の三菱東京UFJ銀行)の前身である。貿易金融・外国為替に特化した銀行であり、やがて列強の仲間に加わっていく日本を国際金融面で支え、香港上海銀行、チャータード・マーカンタイル銀行と並ぶ外国為替銀行へと発展して行った。第二次世界大戦においては日本の軍需に必要な外国通貨収集の為の機関とみなされ、敗戦後の1946年(昭和21年)にGHQの指令により解体・清算された。
上海支店(写真6)は南浦沿いの外灘にあるが、店内はまさに建設当初と同じで中央の天井からのシャンデリアが特徴である。また、天津支店(写真7)は旧イギリス租界地であった解放北路80号にある。現在は中国銀行となっているが、上部の英語表示刻印の下に、“YOKOHAMA SPECIE BANK” が、ぼんやり浮び上がって見える。まさにここが正金銀行であったことがすぐ理解できる。
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