Record China 2019年3月2日(土) 6時40分
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ベトナム・ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談で、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長はトランプ米大統領の出方を読み誤り、何の合意も得られなかった。事実上の決裂は南北融和に突き進む韓国・文在寅大統領にも大誤算だ。写真はベトナム。
ベトナムの首都ハノイで2日間にわたり行われた2回目の米朝首脳会談は、何の合意もできずに終わった。非核化と制裁解除の溝は埋まらず、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長はトランプ米大統領の出方を完全に読み誤った。事実上の決裂は南北融和に突き進む韓国・文在寅大統領にも大誤算だ。
会談2日目の2月28日の昼食会をキャンセルし、用意された合意文書への署名も見送ったトランプ大統領は記者会見で、北朝鮮側が制裁の全面解除を要求したことを理由に挙げ、「受け入れられなかった」と説明した。今後、北朝鮮側との溝を埋めていく方法に関しては「まず溝がある」と述べ、「私たちが望む非核化を履行すべきだ。その後に私たちも制裁解除を行うことができる」と付け加えた。
昨年6月にシンガポールで開かれた初めての米朝首脳会談は激しく対立していた両国の首脳が会うだけでも歴史的な意味があった。しかし、2回目は具体的な成果が求められる。
それでもトランプ大統領は十分な成果を出せないまま、時間に追われて北朝鮮のペースに巻き込まれるよりは制裁を維持し、時間をかけて非核化を実現する道を選んだ。本人は不本意のようだが、日頃いがみ合う民主党のペロシ下院議長も大統領の決断を支持した。
一方の金委員長は2日目の会談の冒頭、記者団から非核化について問われると、「その意思がなければここには来なかった。われわれは今、その話をしている」と核放棄の意向を再確認したが、ミサイルを含む放棄の中身と見返りのバランスが米国側には悪かった。「ロシア疑惑」などで国内的に窮地に立たされ、外交的成果を焦るトランプ大統領ならトップ交渉で譲歩を引き出せるとみていたのだろうか。
トランプ大統領は「金委員長、北朝鮮と引き続き良い友人関係を維持する」としたが、次の首脳会談は未定。金委員長は思惑が外れ、対米戦略の練り直しを迫られた。トランプ大統領は「金委員長が今後、核・ミサイル実験をしないことを明言した」とクギを刺しており、後戻りは体制崩壊にもつながる。最高指導者就任以来、最大のピンチで、帰路、後ろ盾の中国・習近平国家主席と会談する可能性もありそうだ。
思惑が外れたのは文大統領も同様。聯合ニュースによると、韓国政府は2回目の米朝首脳会談の結果が南北関係の発展の追い風になるとして、各方面で準備を進めていた。首脳会談後に開城工業団地の再稼働や金剛山観光事業の再開に加え、南北の鉄道・道路の連結、山林協力など南北交流・協力事業を本格的に推進する計画だった。
聯合ニュースは「今後の見通しは不透明で、昨年初めから始まった朝鮮半島の完全な非核化に向かうプロセスは再び岐路に立たされたといえる。韓国政府の当局者は戸惑いを隠せずにいる」などと報道。文大統領が期待を寄せる金委員長の初めてのソウル訪問にも「影響が避けられない」と伝えた。(編集/日向)
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