<コラム>マカオのカジノライセンス最新事情

澤野勝治    2019年3月19日(火) 23時10分

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マカオ政府はカジノ/ゲーミング業界の未来について、今後も関連部署を通して力強く推進していくと同時に、管理・監督に対する強化や2022年の公開入札の準備も同時に始めるとしている。

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2019年3月15日の報道によると、リスボアグループ(SJM 澳門博彩股份有限公司 Sociedade de Jogos de Macau,S.A./代表者 Dr. Ambrose So 蘇樹輝)とMGMマカオ(美高梅金殿超濠股份有限公司 MGM Grand Paradise,S.A./代表者 何超瓊 Pansy Ho )は、2022年6月26日までカジノライセンスが延長された(期間は2年間)。延長申請料は2億MOP(マカオパタカ)で、日本円にして約28億円。

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この決定により、マカオにある全てのライセンスホルダーのライセンス期日は同一日に整えられた。次回の更新より各カジノから「あっちが先だ、こっちが不利だろう」というスケジュール上のクレームが出なくなると予想される。この更新システムは入札制の為、期日の違いから各カジノごとに他のライバル企業に対し疑惑の目が向けられる事が多数あったが、この期日統一によりそれらの問題から解放されると見られている。

今回、政府がこの様に舵切りをした背景には社会全体の安定、とりわけ雇用面からの配慮が大きく、「あのカジノは前に色々あったから次の更新はNGらしい…」等という風評から発生する社会不安、なかんずく雇用不安を払拭する目的が強かったと主張する。

この申請費用はあくまでも申請料であって、この支払いによって税金の免除などが行われるものではないと政府は断言している。この決定から3カ月内に全ての従業員の企業年金や労働債権担保(賃金の支払いや労働紛争の解決に必要な保証基金)を用意しなければならない。

マカオ政府はカジノ/ゲーミング業界の未来について、今後も関連部署を通して力強く推進していくと同時に、管理・監督に対する強化や2022年の公開入札の準備も同時に始める、としている。

現状のカジノ/ゲーミングに対する法的な見地や問題点を更に深くリサーチし、マカオが完全なる国際的な観光立国として成立していく為にどの様にしていったら良いのか?を追求。経済面の多様性や国際的な立ち位置を常に考慮しながら競争力をつけていくとしている。 

以下、筆者の目

昨年、マカオのIRは3000億パタカ(4兆1437億円)の売り上げ。政府のカジノからの歳入は800億パタカ(約1兆円)。政府全体では1095億パタカ(1兆5000億円)の歳入。2年間の許可料が28億円×3社=84億円で、年間42億円。人口わずか66万人。

先日、健康診断を受けたが検査費、診断料、薬代と全て無料でした。そりゃそうでしょうね。政府こそ濡れ手に粟。日本の各自治体はそこだけ見て目をハートにしマカオのIR経営者達に「私達は日本の重要な政党です」と売り込んでいます(逆立ちして見ても野党でしたが…)。

100万円を5人で分けたら一人20万円が配当されますが、100人で分けたら一人1万円にしかなりません。では2000人では?あるいは1万人、10万人では?

マカオやモナコがカネ持ちなのには分子分母のバランスが必ずあります。そこを見ずして入って来る金額に目が眩むのは賢い為政者とは言えないでしょう。

■筆者プロフィール:澤野勝治

1964年生まれ。1983年に音楽制作プロダクション、1994年制作プロダクションを設立。大手広告代理店の協力会社として中国モータースポーツに関わる。上海の台湾系レース会社で働いた後、マカオへ移住し結婚。レーシングサービス会社と一般ビジネスのサポート会社を設立。中国をはじめとするアジア圏での日系自動車メーカーのリサーチや日本車の現地適合テスト等も請負う。中華圏で最初のF1チーム・セオドールレーシング(1977-1983年)のセカンドジェネレーションチームを2013年に立ち上げ現在に至る。現在は新世代ゲームのプロジェクトに参画し、マカオ・台湾・日本での共同プロジェクトのオーガナイズをメーンに各種コンサルティング業務を展開している。

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