中島らもの短編『GOD OF THE DOG』の主人公は愛犬にじゃんじゃんエサをやって溺愛したせいでしまりのない犬に育ててしまったが、そのしまりのなさがまた可愛いと述べていた。ペットならそれで済むのだろうが、アムールトラは絶滅危惧種だ。敷地内には壮骨酒が販売されていたが、額面通りに受け取るなら原料は虎の骨を使用した漢方薬だろう。拙著『中国遊園地大図鑑南部編』で紹介した広西チワン族自治区の南寧動物園は漢方薬の熊肝粉を販売して問題になっていたが、中国の動物関連の施設では貴重な漢方薬の供給源となっていることが稀にあり、おそらく他の国の動物園では見られないと思われる。動物園は管理・維持をするだけでも莫大な資金が必要なのは理解できるが、野生環境の保護を訴える施設でもあるのでここまで利益至上主義に走らず、飼育するアムールトラの体重管理くらいはしっかりしてほしいところだ。しかし出口付近で別途料金を払えばアムールトラの赤ちゃんと記念撮影できるサービスはなかなか体験できないので、訪問時の運次第なのだがチャレンジしてみてほしい。
■筆者プロフィール:関上武司
1977年の愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。日本や中国のB級スポットを紹介するブログ・軟体レポートの管理人。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市へ訪問。会社員の傍ら、「中国遊園地大図鑑」シリーズを執筆し、メールマガジンのロードサイダーズ・ウィークリーにて「ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行」を連載中。このほかイベントも開催している。
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