Record China 2013年5月15日(水) 8時42分
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14日、世界では通貨の緩和が「一般化」する中、中国は通貨の安定を維持しているため、外部から金利差で収益を上げようと流動性が過剰に流入しており、これが人民元の持続的な上昇を後押ししている。写真は中国人民銀行。
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2013年5月14日、世界では通貨の緩和が「一般化」する中、中国は通貨の安定を維持しているため、外部から金利差で収益を上げようと流動性が過剰に流入しており、これが人民元の持続的な上昇を後押ししている。また経済の下ぶれリスクが軽減されず、経済成長に潜む不確定要因が増強され、市場には金利引き下げの声が出始めている。こうした状況に対し、ある専門家は次のように指摘する。中国にとって、金利引き下げなどの通貨緩和政策は経済の構造調整にマイナスであり、物価の安定にもマイナスだ。構造調整についていえば、財政策は通貨政策よりも有力だといえる。今年はマネーサプライの水門をより大きく開けるということはしないという。中国人民銀行(中央銀行)がこのほど発表した報告書でも、今後も引き続き通貨環境の安定を維持することが明確に示されている。人民日報海外版が伝えた。
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▽世界で通貨安の「ハンカチ落とし」次はどの国?
経済成長を喚起するため、世界各国は通貨政策を相次いで緩和している。オーストラリア準備銀行(中央銀行)が7日に金利を引き下げたのに続き、8日には韓国とポーランドの中央銀行が相次いで基準金利を引き下げると発表した。米国は量的緩和政策を次々にうち出し、最近になってやっと終了の見通しを示した。2日には欧州中央銀行がユーロ圏の主導的な金利を0.25%引き下げて過去最低の0.5%とした。同行によると、拡張的な通貨政策が正しい選択であり、同行は引き続きさらなる行動を取ることが可能だという。日本は今後2年間に日本国債を大規模に購入することによってマネタリーベースを2倍にし、購入する国債の残存期間をこれまでの3年から最長40年に拡大することを計画している。
発達した経済体だけでなく、新興経済体も利下げを競っている。今月3日、インド準備銀行(中央銀行)がレポ金利を0.25%引き下げると発表し、タイ政府も中央銀行に金利引き下げの圧力をかけて、外資の大量流入によるタイバーツの金利上昇リスクの軽減に努めている。
曁南大学国際商学院の孫(スン)教授は取材に応える中で、「他国が量的緩和政策を大幅に推進していることは、一方では金融危機後にこれらの国の経済復興がうまく進まず、長い時間をかけて大規模な取り組みをしなければ復興が果たせないことを示している。また一方ではこれらの国は財政負担が重く、財政政策が極限に達しており、大規模な通貨緩和政策によってしか支えることができないということを示している」と述べた。
▽中国の通貨政策が高い圧力に直面
人民銀は「2013年第1四半期中国通貨政策執行報告」の中で、現在の物価は需要の拡大に対して敏感であり、物価の全体的な水準が落ち込むと同時に、先見性のある誘導やインフレ観測の安定化が必要になっていると強調した。国家統計局が発表した今年4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%の上昇で、前月比では0.3%と小幅に上昇した。
外からはホットマネー流入の圧力が押し寄せ、内からはインフレ観測が危機をはらみ、中国の通貨政策は緩めても引き締めてもいけないという状況だ。緩めれば安定した成長やホットマネーの防止にはプラスだが、インフレの制御や不動産価格の安定、構造調整の促進にはマイナスだ。引き締めればこれと反対の結果になる。
中国の通貨政策はどのような圧力にさらされているのだろうか。国泰君安証券公司固定収益業務の資産管理担当者・周文淵(ジョウ・ウェンユエン)氏の分析によると、今年に入ってから、中国の通貨政策は主に3つの面で価格要因により制約されてきた。第1に、不動産価格は今年1〜4月に前年同期比20%以上増加しており、通貨のさらなる緩和は、不動産市場の安定にとって実際のところマイナスだ。第2に、今年は物価水準が3%以下を維持しており、人民銀にとってみれば可能性があるといえるが、中期的にみれば、来年は物価が懸念すべき問題になるとみられる。これでさらに緩和を進めれば来年はより受け身の状況になる。第3に、生産者物価指数(PPI)が縮小している。理論的にいえば、生産資材が値下がりすれば金利が下がって需要が喚起されるが、ここ1年ほどのPPIの縮小には生産能力の過剰さが深刻で、需要と供給の食い違いが需要を喚起する政策では解決できないレベルに達しており、逆に政策を安定させて遅れた生産能力を淘汰することが必要であることが反映されている。
▽2つの困難の中、適度な安定を維持
どちらにも進めない困難の中、中国は安定した通貨政策を引き続き堅持することを選択した。人民銀は同報告の中で、通貨貸出と社会での資金調達の規模が安定的かつ適切に増加するよう誘導し、通貨環境の安定を維持するとしている。
孫教授は、通貨政策は緩めても引き締めてもだめで、適度に安定したものであることが正しい選択だとし、次のように述べた。第1に、中国は金融危機のダメージを受けてすぐに対策を取り、他の国よりも順調な経済復興を遂げており、他国のように通貨緩和政策を採用する必要はない。第2に、中国の財政は赤字だが、危険なレベルではなく、先進国に比べ、財政政策が役割を発揮する余地はより大きい。現在の中国経済のポイントは構造調整であり、この面で財政政策は通貨政策よりも力をもつ。
孫教授によると、中国経済の成長ペースは低下しているが、現在、失業率が目立って増加しているということはない。カギは雇用であり、成長ペースではない。構造調整の時期には、経済成長ペースがそれほど急速になることはなく、通貨緩和政策をすぐにも必要とすることはない。また現在のPPIは順調とはいえず、注意する必要があるが、切迫しているわけではない。なかなか順調にならなかったなら、具体的な状況に基づいて調整を行えばよいという。
市場で聞こえる金利引き下げの憶測について、専門家の多くが可能性は低いとの見方を示す。対外経済貿易大学金融学院金融研究所の范言慧(ファン・イエンフイ)副所長によると、金利を引き下げればインフレを誘発し、不動産価格を刺激して上昇させる可能性がある。金利がこれまでの水準を維持する可能性の方が大きいという。
香港中文大学全球経済及金融研究所の荘太量(ジュアン・タイリョン)所長によると、中国は他国と異なり、金利の市場化を実施しておらず、金利に対して他国ほど敏感な反応を示さない。よって金利という手段によるマクロ経済の調整作用は大きくなく、他の新興市場国の後を追って金利を引き下げる必要はないという。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/内山)
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