Record China 2013年5月18日(土) 12時30分
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17日、中国と日本は現在、投資を東南アジアにシフトしている。主な投資先となっているのは基礎的な製造業と、技術力の低い労働集約型産業だ。そのため企業は人件費の安価な地区に注目している。写真は河南省の紡績工場。
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2013年5月17日、中国と日本は現在、投資を東南アジアにシフトしている。主な投資先となっているのは基礎的な製造業と、技術力の低い労働集約型産業だ。そのため企業は人件費の安価な地区に注目している。東南アジアは中国と隣接しており、貨物輸送コストが割安なため、多くの企業が東南アジアを重点地域としている。国際金融報が伝えた。
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日本の産業計画は、日本にとって海外最大の製品販売市場である中国から注目を浴び続けている。しかし、みずほ総合研究所が5月14日に発表した2012年度企業調査結果によると、今後重点的に事業展開していく国と地域について、ASEAN(東南アジア諸国連合)を選んだ日本企業が全体の44.7%を占めた。
ASEAN地区が最大の比率を占めるのはこれが初だ。1999年度の同調査開始から首位を占めてきた中国の比率は36.7%のみで、2位に順位を下げた。日本メディアは、「日本は日中関係の悪化に伴う経済リスクを分散するため、ASEANなどのアジア各国から広く力を借りようとしている」と伝えた。「人件費高騰」「日中関係」「中国経済発展の鈍化」は日本企業の3大懸念要素となっている。
上述した現象について、中国の「世界の工場」としての地位に揺らぎが生じていると指摘する声もある。
日本企業、東南アジアに進出
財務省が発表した貿易統計速報によると、2012年上半期の貿易収支は3兆2190億円の赤字で、比較可能な1979年以降で、半期ベースとしては過去最大となった。中国の経済発展の減速以外にも、尖閣諸島問題により悪化した日中関係に改善の兆しが見えないこともその主因となった。日本メディアは、日本の貿易赤字は長期的に継続される可能性があるとした。日本企業はこれを受け、直接投資の重心を中国以外のアジア諸国にシフトしている。
安倍晋三首相は5月13日、来日中のハサナル・ボルキア・ブルネイ国王(ASEAN議長)と首相官邸で会談した。双方は、協力により同会議を成功させることで一致した。
ある東アジア研究所の研究員は「日本は東南アジア諸国との海洋提携を重視してきた。特に安倍首相の再任後、日本はこれをさらに重視するようになった」と指摘した。上述した観点からも、日本の産業シフトの裏側にある1つの要素が日中関係の緊張であることが分かる。
同研究員は、「尖閣諸島問題後、日本は中国との間に領土問題が存在する一部のASEAN諸国と、経済・海洋軍事面の提携を強化した。日本はこれにより、中国に一定の圧力をかけようとしている。日中間の貿易関係もこれにより冷え込みを見せている」と述べた。
日本企業の中国事業も不調だ。日本の自動車メーカー8社は、中国市場の販売業績が低迷したと発表した。中国の反日ムードとその規模により、日本の観光業・航空業・小売業などが長期的な打撃を受けている。
調査コンサルティング会社・中投顧問の馬遥(マー・ヤオ)マクロ経済研究員は、「自動車製造業は日本製造業全体の支柱産業とされてきた。その業績低迷は日本経済に深刻な影響を与える。尖閣諸島問題のエスカレート後、日本企業の中国での事業展開が緩慢になり、産業をASEANに移した。これは政治・経済利益の最大化を図るための、国家による正常な行為だ」と指摘した。
日本の2011年の対ASEAN直接投資額は、2010年の2.4倍の1兆5000億円に達し、2年連続で対中投資の1兆円を上回った。
安倍内閣の発足当初、麻生太郎副総理兼財務相がミャンマーを訪問した。これはミャンマーとの経済関係の促進により、日本企業の進出を後押しすることを目的としていた。他にも、安倍首相は就任後初の外遊先に東南アジア4カ国を選択し、経済再生を最優先課題とした。安倍首相はさらに、「成長を続けるアジア経済圏と融合する」と発言し、経済提携およびインフラ輸出により、日本企業の海外進出を促そうとした。
馬氏は、「ASEAN諸国は現在、日本により多くの利益を与えることができる。日本は中国の人件費高騰を受け、産業をASEAN地区に移している。企業にとって、コスト増は利益を狭めることになる」と語った。
世界の工場の地位に揺らぎ
近年、日本企業が中国市場から撤退するという情報が後を絶たない。馬氏はこれについて、「その可能性は非常に低い」と語った。
馬氏は、「中国市場は世界各国が争奪しようとする市場だ。これは中国が巨大な需要を生み出せるためだ。日本は一部の産業をシフトするが、中国市場を捨てることはない。日本のASEANへの産業移転は、製品の生産コストを引き下げ、利益の最大化を図る措置にすぎない」と分析した。
中国企業および中国で投資を行う外資系企業も近年、東南アジアに投資し、相次いで工場を建設している。アディダスやナイキなどの世界有名ブランドは2012年に、中国の生産工場を閉鎖した。中国における衣料品メーカーは、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、バングラデシュなどにシフトしている。中国最大のEMS工場もインドネシアに投資し、工場を建設している。中国の「世界の工場」としての地位はより厳しい課題に直面しているようだ。
製造業のアナリストは、「世界の景気低迷だけではなく、中国の製造業発展はモデルチェンジという課題に直面している。中国国内の一部産業の、低コストのメリットはすでに失われた。イノベーションをするか、衰退するかだ」と語った。
馬氏は、「中国企業および中国で投資を行う企業の東南アジアへのシフトは悪いことばかりではない。東南アジア諸国と中国の文化環境には大きな差がなく、企業はグローバル化経営の経験を積む他に、ASEAN諸国の豊富な資源、安価な人件費というメリットを活用できる」と指摘した。
馬氏はまた、「中国とASEANは早くから利益で繋がっており、中国・ASEAN自由貿易区を構築している。産業移転は、ASEAN経済の発展ばかりではなく、中国企業の産業構造の改善にとっても有利であり、中国およびASEANの全体的な経済力を高められる」と述べた。
業界関係者は、「中国と日本は現在、投資を東南アジアにシフトしている。主な投資先となっているのは基礎的な製造業と、技術力の低い労働集約型産業だ。そのため企業は人件費の安価な地区に注目している。また、東南アジアは中国と隣接している。中国市場は巨大な需要の潜在力を持ち、輸送コストも割安なため、東南アジアは多くのメーカーの重要な進出先になっている。中国の外資誘致環境は改善されており、労働力の素養も向上している。今後一定期間にわたり、中国の『世界の工場』としての地位が変わることはない」と分析した。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/内山)
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