日本発祥の「五月病」、中国のネット上でも固有名詞化―中国メディア

Record China    2013年5月26日(日) 21時30分

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24日、日本発祥の「五月病」が中国のネット上でも固有名詞化している。

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2013年5月24日、中国のネット上で大いに話題となっている「五月病」を、怠ける口実にしてはならない。「五月病」と「5月」は、本来は一切関係がない。新浪微博(ミニブログ=中国版ツイッター)には、最近の自分の様子を「五月病」と結び付け、気分の落ち込みややる気のなさを全部「五月病」によるものだとする内容の投稿が激増している。「五月病」という言葉はもともとは日本で生まれたもので、新学期・入学・入社などで環境が変わることと関係がある。南京脳科医院の専門家は、「自分は五月病だと簡単に自己診断しないこと。季節の変わり目こそ、身体を動かす機会を意識的に増やし、ネガティブな気持ちを減らすことが正しい対処法だ」とアドバイスしている。揚子晩報が伝えた。

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○気分が落ち込む人が増える5月

「5月になると、何かにつけ気分がむしゃくしゃしてしまう」————南京の大学に通う黄衛(ホアン・ウェイ)さん(4年生)は、卒論答弁を終え、深く長い溜息をついた。大学院生の卒論は抽出検査だが、学部生の卒論は全てくまなくチェックされる。担当教員から連日のように修正を指示されるが、実習先の企業の仕事も疎かにはできない。「微博では皆が『五月病』について話題にしているが、僕にとって5月の憂鬱は論文提出期限が原因だ」と黄さんは自己分析した。

卒業を控えた学生のほか、多大な仕事上のストレスの「標的」となったホワイトカラーの間でも「五月病」は蔓延している。「5月は特別悲惨な時期で、やるべきことが山積みなのに、集中力が途絶えやすい。昨日、ハイヒールを履いて屋外のイベントに出向く途中、ボーっとして歩いていたために転び、膝を怪我してしまいました」とある女性は語った。

「五月病」が蔓延する中、新浪微博で人気者となった「巨大アヒル」も不幸にもその「標的」となった。14日夜、香港ビクトリア・ハーバーで12日間漂流していた巨大アヒルから空気が漏れ出し、だんだんと萎み、ついには水面にぺしゃんこになって浮かんだ。ネットユーザーからは、「巨大アヒルさえ五月病になってしまった。一体どうやったら治せるのだろう」といったコメントが寄せられた。

○微博で固有名詞になった「五月病」

「五月病」は微博で固有名詞という身分を獲得、次のように解釈されている。

「五月病は季節性怠惰症候群とも呼ばれる。この時期、多くの人が落ち込みややる気のなさを感じ、仕事や学業のスムーズな遂行に支障が出るだけではなく、一日中倦怠感が続き、何事にも興味が感じられなくなる。やるべきことは増える一方なのに、何をする気も湧いてこない。気分は落ち込む一方で常に元気が出ない」。

ネットユーザーの多くはこのような「病状」を自分の状態と逐一照らし合わせ、ほとんどが自分に当てはまることに気づく。「5月だけではなく毎月この症状が出ている」「誰か助けて!」「最近、何事に対する興味も消え失せ、疲れが極限に達している。病気になったようだ。誰か治療法を教えて」などのコメントが相次いで寄せられている。

さらに、ネットユーザー「齊泱」さんの場合、「実のところ、私は1月病から12月病まで患っている。症状はかなり深刻で、治る見込みはない」と、悲壮極まりない様子で告白している。このほか、「五月病に関するさまざまな投稿を読んで、自分が五月病であるという確信を得たが、最終的に治る見込みがあるのか、あるいはどんどん悪化するのかは分からない。今のところ好転する兆しは見られない」と自己診断を下すユーザーもいた。

○日本発祥の「五月病」、5月とは無関係

「五月病」は果たして本当に病気なのだろうか?有名な科学普及事業サイト「果殻網」で22日、この話題をめぐり討論が行われた。「五月病」という言葉は日本で生まれた。日本の卒業・入学シーズンは春だ。4月から5月にかけて、新入生は新しい環境で学校生活をスタートし、学校を巣立ったばかりの新社会人は、学校とは全く異なる職場という新環境で新生活を始める。新生活がスタートして間もなくすると、張り詰めていた気持ちが急に落ち込み、何をする気も起こらず、学校や会社に行くことに抵抗感が生じる人が出てくる。このような症状を、日本の医学界では「五月病」と呼んだ。主な身体的症状では、食欲減退や不眠が見られ、やる気のなさや注意力の分散、社会的責任の履行に対する抵抗感、鈍い反応または過剰反応などが生じる。日本の「五月病」は、中国のネットユーザーが言うところの「春はやる気が起こらない」症状とは全く別者だ。

■専門家の提案:季節の変わり目こそ身体を動かし、ネガティブな感情を払しょくすること

南京脳科医院医学心理科の李主任は対応策として以下の内容を挙げた。ネットユーザーが言うところの「季節性怠惰症候群」は医学的な専門用語ではないが、類似した病気に「季節性うつ病」がある。実のところ、臨床的に見ても、毎年この季節がめぐって来ると、感情の乱高下が生じる人が増える。5月は春から夏への変わり目で、人の新陳代謝が活発になることから、内分泌系のバランスが崩れやすく、情緒が不安定になっても不思議ではない。また、1年の折り返し地点が近づき、一部の業界では長時間に及ぶハードワークを余儀なくされ、疲れが出やすい時期でもある。年間目標の達成が難しい状況であることが判明すると、経営者側からもっとしっかり働くよう発破をかけられ、つい焦りの気持ちが生じてしまう。「春困秋乏(春は眠く、秋は気だるい)」とは広く言い伝えられているが、実は「春は眠たくなる」のは人の生理学的な自己調整機能のひとつなのだ。また、5月は大学受験や就職を控え、焦りが出る時期であることから、「五月病」を患う学生がかなり多い。ネット上の情報から「五月病」にかかったと信じるネットユーザーも多い。代表的な症状について、自分にぴったり当てはまると納得してしまうのだ。実のところ、このような反応は病気ではなく正常な範囲内にある。例えば、イライラや焦りなどの気持ちが出てきた時、これは季節の変わり目ゆえに起こる感情の起伏なのだと自覚し、決して過度に気にしないことが大切だ。

春には、とりわけ仕事と休憩のバランスに注意し、仕事に集中する時間やスピードをしっかりと自分で把握し、必要であれば仕事の量を適宜減らし、外に出る機会を増やした方が良い。天気の良い日を選んで戸外に出かけ、気ままに散歩する、ちょっと山歩きをする、サイクリングを楽しむなど、春の大自然が運んでくる生命力を十分に感じれば、自分の日常生活にも美しさや楽しさがもたらされるだろう。また、ちょっと息が切れる程度の運動をして気持ちの良い汗をかけば、マイナス気分も吹っ飛ぶに違いない。(提供/人民網日本語版・編集/TF)

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