<コラム>漢民族は世界を制する…。1

石川希理    2020年3月25日(水) 23時0分

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本来は「中華帝国は世界を制する」と書こうかなと考えたのだが、「帝国」とは穏やかではないし、「帝」はいない。もともと、ご存じのように「中華」は、華の中心を意味する。つまり世界の中心である。写真は上海。

本来は「中華帝国は世界を制する」と書こうかなと考えたのだが、「帝国」とは穏やかではないし、「帝」はいない。もともと、ご存じのように「中華」は、華の中心を意味する。つまり世界の中心である。

この思想は、日本も例外ではなく「日の本」という考えに行き着く。特に昔はアジアで最初に陽が昇る東の国だから、そう考えても不思議ではない。日本の場合は、中国から見ると「倭国」「夷人」と、海の中の小さな国の野蛮人と見られていたし、事実そうであったのは確かだから、一般の国民に「日の昇る」=「世界の中心」と言う意識があったとは考えにくい。明治になると大日本帝国と、「大」がつく。第二次大戦後は「大」と「帝」がとれて「日本国」と普通の国になる。肩の力が抜けたといっていいのかもしれない。

「中華人民共和国」の「中華」は古代からの意識である。揚子江と黄河の文明から、漢民族は当時のアジア、東アジアの中心だった。しかし、18世紀にイギリスで起こった「産業革命」に乗り遅れる近代の「清」時代に、発展途上国になってしまう。

日本は明治維新で、猛スピードで近代国家となった。当時の帝国主義にも便乗して、中国・朝鮮などの植民地化にも乗りだしたのである。やがて膨張する日本は、原料確保や輸出先確保の植民地を巡り、欧米と衝突する。この時代は国内消費を増やそうという意識はなかった。

ケインズの有効需要政策などは、1929年の世界大恐慌を受けて、アメリカで始まったニューディール政策が最初である。この辺りの歴史は、習ったようでしっかり勉強していない人も多い。歴史の最後、近・現代は学年の終わりで時間数が足りなくなる。おまけに現代となると思想的にも扱いにくく、簡単に済ませてしまうのだ。

さて、欧米と衝突した日本は、ヨーロッパの遅れた資本主義国、ドイツ、イタリアと同盟を結ぶ。日本の場合、主にアメリカと衝突して、敗戦する。これで、大と帝がとれて、「日本国」となった。敗戦後、財閥解体・軍事力不保持・農地解放・男女平等の参政権と進む。官僚制は、統治上の必要性から手がつけられなくて、現在もそのままである。アメリカ流の文明が雪崩れ込み、明治維新で取り残された封建制度からの改革を断行し、世界第2の経済大国となった。駆け足歴史の勉強である。私も思いだした。(笑)

この間、21世紀が始まる前後まで、中国も朝鮮も、なかなか国として発展・離陸できなかった。韓国は正式には大韓民国という。「大」がついているのは、意識として明治維新後の日本のようである。意識の底に肩肘張る部分があるのだろう。この韓国の方が、早く成長する。資本主義国で、人口も少なく、国土も小さく身軽だ。面積は10万平方キロメートル。日本の四分の一強ほど。現在の人口は5千万。日本の四割ほど。日本の援助などもあり「漢江の奇跡」と、経済発展が続いた。

中国は社会主義国である。あ、脱線ばかりだが、(すみません)現代の大学生でも社会主義

どういうものか知らない人が多い。共産主義との違いを説明できない学生も多い。こういったキホン的な知識がないのは、困ったことで恐ろしいことである。元に戻って、中国は巨大である。面積は960万平方キロ。日本の26倍。人口は14億。日本の12倍ほど。ここが、国としては社会主義国でありつつ、経済は改革開放で資本主義的政策を取り入れて発展しだしたのは、韓国より遅れて、1978年くらいからである。ただ、文化大革命もあり、実際に「社会主義市場経済国」として急成長しだしたのは1992年からだ。韓国はもとより中国も豊かな国になりつつある。もちろん、農村の遅れなどは、我が国と比較するとまだまだで、日本は成熟していると言える。

中国は新型コロナの蔓延で大混乱した。とはいえ、このままのスピード、或いは少し低下しても、10年から20年後には、GDPなどでアメリカを追い抜くのではと考えられている。その中国の中華思想、世界の中心という民族の考え方は、フランスにもロシアにもみられる。世界中にあると言ってもいい。「人類病」(笑)の一つだ。

ただし、現実に、現在世界一の人口を持つ中国が豊かになれば、中華民族が「パックス・アメリカーナ」というアメリカの圧倒的な軍事力・経済力・政治力によって平和が維持されている1960年位までの状態に取って代わることは確かであろうか。因みにアメリカは1960年位から、1991年に崩壊したソ連と冷戦期に入り、米ソが世界の覇権を争う。※ソ連を知らない学生もいた。これも難儀なことだと思う。(悲)

その後、ソ連は消えるが、ブリックス(BRICs=ブラジル・ロシア・インド・中国)のような国々が台頭して、アメリカの「力」はそれ以前に比べると格段に落ちてきている。そのアメリカの「力」が更に削がれようとする時代。またトランプ大統領によるアメリカ一国主義の時代、中国が台頭し、それに取って代わるのは必然的だと言えるだろう。漢民族の台頭が始まったのだ。

つづく

■筆者プロフィール:石川希理

1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒です。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、善く死ぬために仏教の勉強と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文芸祭りの選者(それぞれ随筆と児童文学)をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時折友人達などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時折禁酒(笑)。中学教員から県や市の教育行政職、大学の準教授・非常勤講師などをしてきました。児童文学のアンソロジー単行本数冊。小説の自家版文庫本など。「童話絵本の読み方とか、子どもへの与え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想・仏教」などの講演会をしてきました。

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