石川希理 2020年4月1日(水) 21時40分
拡大
漢民族(中国)がアメリカにとって代わる世界。それは、近づいてはいるが、克服しなければならない因子が2つある。二つ目は人口の老朽化である。
漢民族(中国)がアメリカにとって代わる世界。それは、近づいてはいるが、克服しなければならない因子が2つある。一つは「自由」だ、と前回書いた。自由競争原理の働かない経済は必ず停滞する。幸いいまは、アメリカと競争している。
二つ目は人口の老朽化である。中国の強みは14億という人口にある。全人類が77億だから2割近くが中国人と言うことになる。この人口が、生産・消費に関わるのだから、世界中に影響が及ぶ。人も物も流れ出し、あふれ出す。オマケに中華思想で武装された民族は、一帯一路政策などで積極的に進出する。第二次大戦前に植民地支配を通じて世界を支配した欧米とは比較にならない。フランスやイギリスなどは、直接的に英仏人が進出して支配するより、間接支配の方法をとった。インドや東南アジア人の目の前には自国の支配層・経済があり、影に英仏がいたという図式である。
これに対して、巨大な人口を持つ中国は、人も、モノも金も出している。発展途上国の道路建設で、働いているのは中国人、現地に金も技術も落ちない。むろん批判が強くなり、最近は下火である。
それにしても、多数の人口は巨大な力である。だが、一人っ子政策が廃止されても、中国の人口は増えない。これは先進国に近い状態である。結婚や子育てという価値観が揺らいでいる。日本は少子高齢化のトップランナーだが、もう20、30年もすると韓国、そして中国にその少子高齢化が現実となるとされる。
手厚い子育て政策を行っても容易に人口が増えないという現象は先進国共通の課題である。現在、移民の増加で欧米では排斥運動が起こりつつある。豊かな社会と、平穏な文化共同体が破壊されるからである。しかし、現実には人口減少の特効薬は移民の受入しかない。余りに急激すぎた移民流入が一時的にストップしただけで、いずれ結局の所、コントロールしつつ移民は増加し、多文化共生の人類社会になっていくだろう。
中国の14億の人口が減少するのは、政府系調査研究機関の中国社会科学院によると29年にピークを迎え、30年から減少し始めるとの予測だ。もっとも、在米の人口問題研究家・易富賢氏などによると、「統計が政治的な影響を受けている」として、全国の病院が報告する出生数などを根拠に、人口減少が18年から始まっていると指摘した。その真偽はともかく、楽観的に見ても10年後には減少していく。既に労働力人口は減少し、高齢化率は増えつつある。この減少は、人生そのものに対する捉え方、子育てそのものへの懐疑から来ている。いわば「進歩する人類」という「種」の滅亡への契機と考えられぬ事もない。
「恐ろしい話だなあ、うん…」
とまあ、平等の実現は政策的に漸進するとしても、人口課題は、「漢民族」の拡大の原動力が人口であるから、その達成への大きな障害である。
先に挙げた「自由」については、日本の26倍の国土という巨大な社会として取り組むのは無理がある。解決策の一つは「アメリカ型統治」である。と言って社会主義国家でなくなれというわけではない。民主主義をどのような形で取り入れ発展するにしても、国土が巨大すぎるのだ。
もともと南部の揚子江と北部の黄河流域では、稲作・畑作の違いがある。これは巨大な差異だ。気候風土が異なる。また海岸部と、日本列島を横にしても遙かに届かない中部・奥地とでも異なる。こういう地理的環境で統一国家を築き維持するためには、地域の特性と独自性を発揮させることが必要だろう。戦後の混乱期から、とにもかくにも統一国家として成立したが、先進国化する中では、画一的施策は困難になりつつある。
「で、アメリカ型?なんのこっちゃ?」
「ふふふ…。アメリカ合衆国というね」
「そうだよ」
「合衆国の『衆』は『州』ではないか、と言う議論がある」
「ああ、そうか」
例えばもう遙か昔、本多勝一という記者は「アメリカ合州国」だと主張している。アメリカの50州は、議会も州兵軍も持っている。そして、なんと法律さえ違う。ある州では同性婚は可、大麻も可といったことだ。大阪では死刑制度があるが、東京では死刑はない、そういう感じを考えてもらえば判る。日本では大混乱になるだろうが、アメリカではそうならない。それぞれの州が、半ば独立し、州の住民意識も高い。アメリカでは自由も平等も州によって相当に差異があるのだ。
この仕組みを中国に取り入れれば、漢民族主体の中国は安定する。GDPがアメリカを越すだろうと予測される中、巨大国家が民主主義の自由と平等を達成しつつ、生き残る道である。中国が先進国になる時間はすぐである。人口も減り始める。とすると14億の人口を持つ国に移民が流入し始めるという現象を、われわれは見ることになるだろうか。たぶん…。
オワリ
■筆者プロフィール:石川希理
1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒です。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、善く死ぬために仏教の勉強と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文芸祭りの選者(それぞれ随筆と児童文学)をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時折友人達などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時折禁酒(笑)。中学教員から県や市の教育行政職、大学の準教授・非常勤講師などをしてきました。児童文学のアンソロジー単行本数冊。小説の自家版文庫本など。「童話絵本の読み方とか、子どもへの与え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想・仏教」などの講演会をしてきました。 ブログはこちら
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