TPPについて米中対話で避けるべきではない―中国有識者

Record China    2013年7月17日(水) 1時26分

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16日、第5回米中戦略経済対話が先週閉幕した。今回の対話も世界の注目を浴びた。だが、今回の対話には1つの重要な議題が欠けていた。TPP(環太平洋連携協定)に関する交渉だ。写真は米オバマ大統領。

2013年7月16日、第5回米中戦略経済対話が先週閉幕した。今回の対話も世界の注目を浴びた。両国政府の新体制発足後初の対話だったほか、対話前に「スノーデン事件」が起きたことで、双方はより対等かつ真剣にサイバー問題について対話を行うこととなった。だが、今回の対話には1つの重要な議題が欠けていた。TPP(環太平洋連携協定)に関する交渉だ。文:傅夢孜(フー・モンズー)中国現代国際関係研究院副院長。環球時報掲載。

米中戦略経済対話は本来、戦略性、大局性、長期性を備える二国間または多国間の問題について協議を行うものだ。だが今回双方が意図的または無意識に軽視したのがTPPだ。バイデン米副大統領は10日の演説で「国際貿易の準則制定に参加したいとの中国の気持ちは理解する。だが中国は国際的な責任や義務の履行に対して慎重な姿勢でいる」と述べた。中国は最近、TPPへの関心をはっきりと示したが、バイデン副大統領は中国のTPP参加は非現実的との姿勢を示したのだ。

TPPはオバマ政権が最も重視する貿易政策イニシアティブだ。ドーハ・ラウンドが停滞しているため、TPPが実現すれば、将来の多角的貿易自由化を推進する原動力を世界貿易機関(WTO)に与え、アジア太平洋経済のメカニズムを形作る役割さえ発揮しうる。米国は現在、TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ協定)と北米自由貿易圏の深化と推進に取り組んでおり、その「一体両翼」の世界経済貿易戦略がぼんやりと形を整えつつある。TPP、TTIPのいかなる拡大または複製も、もう1つのWTOであり、将来の世界経済・貿易のルールを決める新たなプラットフォームとなることは間違いない。

理屈から言えば、環太平洋経済貿易統合協定である以上、中国を欠くべきではないし、排除すべきではなおさらにない。だが中国がひっそりと脇に追いやられていることを、大多数の中国人は全く知らないだろう。後に米側の姿勢はいくらか和らいだものの、国有企業、労働者、環境保護基準、知的財産権、政府調達に関してTPPの設けている高い敷居が、中国を念頭に置いたものであることは見識のある人なら一目で分かる。米側がTPPを推進しながら中国を排除するのは、対中経済戦略に変化が起きていること、つまり長期間堅持してきた中国を国際秩序に融け込ませる既定の戦略に変化が起きていることを意味するのだろうか?

経済的に急速に台頭し、しかも経済規模で急速に接近している中国に対して、米国はもう釈然としてはおられず、誘導と協力という双方にメリットのある事が、抑圧と競争の色彩を強められる可能性がある。米国はグローバル化をリードする熱意をなくし、グローバル化に逆行する心理すら生じている。多くの事例が示すように、米国という「最も自由市場の性質を備えた」場所において、中国の民営企業は経営が難航している。

アジア太平洋地域は世界の未来を代表していると広く考えられている。中国経済は急速な成長を依然維持し、世界経済の活力、貿易の活力を代表する最大の存在だ。地域の貿易自由化の問題で、アジアが米国抜きで、あるいは米国の同意なしには何もなしえなかった時代はすでに過去のものとなった。ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国と中国を含む他の6カ国は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の実現で同意。2013年5月にはブルネイの首都バンダルスリブガワンで初交渉が行なわれた。これはASEANを中心とする各自由貿易協定を整理統合し、より広範な貿易の自由化と経済の統合を実現することを目標としている。RCEPが実現すれば、約30億人の人口をカバーし、GDPは20兆ドル(約1994兆2000億円)に接近して世界の3分の1を占めることとなる。

米国がひとたびTPPまたはTTIPを実現すれば、中国は「WTO加盟」時の困難に再度直面することになるだろう。TPPがはっきりと示す対中経済戦略の異常な変化は、活力に満ちた米中経済貿易環境に影響を与え、米中間の相互疑念を激化させる恐れがある。オバマ政権が限られた枠を設定していることは、米国の戦略的視野がすでに狭まったことを示している。アジア太平洋地域の広範かつ深い統合のプロセスをどう推進するかにおいて、米中が自国のことのみ考えることは不可能だ。将来TPPとRCEPの連結を実現するうえでも、事前の設定が必要だ。

こうして見ると、中国を長期間排除する、または中国を特別な目で見るTPPは米中の経済貿易関係の将来の姿を映し出すプリズムとなると考えられる。TPPの戦略性、大局性、長期性は軽視できず、米中戦略経済対話で重要な議題として取り上げる必要が当然ある。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)

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