中国の独身人口が2億超、成長し続ける「おひとりさま」消費―中国メディア

人民網日本語版    2019年9月14日(土) 18時10分

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中国には2億人以上の成人の独身者がおり、うち7700万人以上が一人暮らしをしている。この膨大な消費層をめぐり、市場には関連商品が出回っており、カスタマイズ化された製品やサービスを独身者に提供する消費が拡大しつつある。

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「長蛇の列に並んで、ようやくあなたへのプレゼントを入手できた。手持無沙汰なとき、この子とおしゃべりすれば、寂しさを紛らわすことができる。とっても面白いわよ」と親友の女性から劉さん(31歳女性)に誕生日プレゼントとして贈られたのはAIスピーカー。このAIスピーカーの対話機能に関する親友からの説明を聴きながら、劉さんは興味を感じるのと同時に、グサッとくるものを感じたという。工人日報が伝えた。

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中国民政部が発表した「2018年民政事業発展統計公報」によると、中国には2億人以上の成人の独身者がおり、うち7700万人以上が一人暮らしをしている。この膨大な消費層をめぐり、市場には対話可能なスマート家電やミニカラオケ、一人用ミニ鍋、コンパクトタイプのマンションといった関連商品が出回っており、カスタマイズ化された製品やサービスを独身者に提供する消費が拡大しつつある。

一方、各メーカーの意欲も高く、新たに誕生したブルーオーシャン(未開拓市場)の中で大きく活躍の場を広げようと虎視眈々と狙っている。しかしそれと同時に、このようにカスタマイズ化されたビジネスの盛り上がりをもってしても、その背後に隠された社会的なリスクを覆い隠すことは難しくなってきている。

■「おひとりさま」消費

これまでは、レストランでの食事や映画館での映画鑑賞、カラオケ店でのカラオケなどはいずれも、「グループで楽しむ」パターンがほとんどだった。しかし現在は、一人でこれらのことをしても、決して珍しいことではなくなっている。「おひとりさまレストラン」、「カプセルホテルに泊まる」、「一人旅をする」など、食事・宿泊・外出面での「おひとりさま経済」は、新たなトレンドとなっている。

吉林省長春市に住む自由業の祝さん(女性)は、最近、一人旅に夢中になっている。楽しい時、あるいは落ち込んだ時、思い立ったらすぐに一人で旅に出る。「親しい友人たちは皆、仕事があるので、スケジュールを合わせて一緒に行くことは難しい。気持ちが盛り上がって、その乗りで立てた計画は、簡単に頓挫してしまう。今は、チケット購入、ホテル予約、配車予約など全てがオンラインで便利にできるし、一人であちこち回るのも非常に楽しい。スマホで旅行情報を気軽に調べられるし、疲れたらホテルで一休み、スケジュールは全て自分の思うままで、寂しさもあるが一人の方が自由さを満喫できる」と祝さん。

外見は電話ボックスそっくりだが、中にはハイタイプのスツール2脚と選曲用タッチパネルスクリーンがある。このような、せいぜい2人しか入れないミニカラオケが、数年前から、人気を集めている。各大型商業施設やシネコンでは、多くの若い独身者がミニカラオケボックスで独りカラオケを楽しみ、寂しさを解消している。艾媒諮詢(iiMedia Research)の統計データによると、2017年、中国におけるミニカラオケの市場規模は35億2000万元(約528億円)に達し、うち独身者による利用は35.6%を占めた。

中国の鍋レストランチェーン呷哺呷哺が開発した一人鍋、微信(WeChat)で予約可能で利用1回ごとに料金が支払える小型自主フィットネス・ボックス、オンライン・オフラインで爆発的に売れている小型家電、大量に登場している各種計測アプリ、雨後の筍のごとく出回っている小ぶりで美しさを謳った独身用アパート、さらには商品の量を減らしてミニパックで売り出すメーカーまで、独身者をターゲットとしたさまざまな商品が世に出ている。現在、さまざまな「おひとりさま消費」を狙った商品とサービスが、生活や娯楽の各方面に蔓延し続けている。これまでは、これらは、やや異なるイメージがあり、ややもの悲しさを感じさせるような消費パターンであったが、それが「合理的」、「自由自在」といったポジティブなイメージにシフトしている。

■巨大なポテンシャルを持つビジネス

ある調査会社の統計データによると、独身者のうち57.69%は、「孤独を紛らわすために消費を行っている」としており、「孤独の解消を目的として消費することはない」とした人は15.68%にとどまった。

アリババが発表した「中国空の巣青年図鑑」によると、独身者の多くは、「高給の職業」に従事しており、これらの人々は、かなり高い消費能力を備えているだけではなく、よりオープンな消費観を持っており、より大胆な消費行動をする。

膨大な数に上る「お金と時間が有り余っている」独身者によって、巨大な市場ニーズがもたらされている。あるSNSメディアが1万人以上の社会人に対して実施した「孤独感」をめぐる調査によると、独身者の75%は、「孤独を解消するために毎月最低1000元(約1万5000円)を消費する」と答えた。

消費市場における「おひとりさま経済」の興隆は、多くのデータからも読み取れる。2017年、フードデリバリー「美団外売」を1億3千万人の独身者が利用した。2018年、中国のオンラインゲーム利用者数は6億2600万人に達した。また、さまざまな研究から、ゲームは孤独を解消するための重要なツールであり、「おひとりさま消費」のうち、ゲームへの投入額は50%を占めている。2019年、独身者による「七夕」旅行は、前年同期比48%増加した。

ある専門家は、「独身人口の消費は、パーソナライズ化、簡便化、ハイエンド化、自己充足化、心理的ななぐさめという五大特徴を備えている。今後、可処分所得の向上に伴い、独身者群の『おひとりさま消費』は、『基本的生活必需品』から、『心の要求を満たすための商品』へのアップグレードを遂げるだろう」と指摘している。

■「孤独ゆえに消費する」では、真の楽しみは得られない

「おひとりさま経済」が興り、人気を博していることで、市場に新たなビジネスチャンスが生まれた。また、それによって、独身者群や独身という現象に対して、社会が新たな認識をもつようになった。

吉林省儒学研究会の于天罡副会長は、「人類には、『群居性』と『社会性』という特徴があり、この2つの特徴から離れると、ある種の生理的・心理的問題が生じる恐れがある。経済社会発展の実状から見て、『おひとりさま経済』は客観的に存在しており、注目に値するものであり、効果的に供給されるべきものではあるが、過度に騒ぎ立てるべきではない」との見方を示した。

社会学専門家の多くは、「『おひとりさま経済』を過剰に持ち上げると、若者に誤った考え方に誘導してしまう危険性がある」と指摘している。

実のところ、「おひとりさま経済」は、つい最近誕生した経済現象ではない。離婚率の上昇と婚姻率の低下、都市に住みつく若者たち、加速し続ける生活リズム、人間関係を開拓・維持するための時間や精力コストの継続的な高まりなどを受け、ますます多くの人々が「おひとりさま」の常態化を余儀なくされている。このうち一部の人は、多様化した消費行動によって孤独感を解消するようになり、その気運に乗じて「おひとりさま経済」が誕生した。

調査研究データによると、現在、成人の独身者のうち、未婚者は1億4000万人に上るが、そのうち92%の人は、独身という状態を心から受け入れている訳ではない。

これに対して、ある専門家は「『おひとりさま経済』は、独身であることに気づき、独身であることに身を任せたり、さらには独身に迎合することではなく、独身者群のニーズに的を絞り、商品とサービスを提供することで、彼らの孤独感を効果的に解消するという役目を担っている。正真正銘の『おひとりさま経済』は、独身者がさらに健康になり、さらに豊かな生活を享受するよう後押ししなければならない」との見解を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KM)

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