<日本人が見た中国>「今、何時?」いつも気になる民族はどっち

Record China    2013年7月19日(金) 0時41分

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日本のコンビニや商店ではどこでも、目に付くところに掛け時計がある。これが中国でも同じとだと思っていたら大間違い。日本人は常に「今、何時か?」を知っていたい民族なのだ。一方の中国人にとって、時間などというものはたとえ時計がなくても、分かればいいのだ。

2003年、中国・四川省成都市の西南民族大学に1年間留学していたことがある。ある日、私は寮を出たあとで腕時計を忘れたことに気づいた。腕時計がなくても携帯電話があれば問題なかったが、当時の私は留学期間も1年と短いので携帯電話を持っていなかった。ちなみに10年前の成都でも携帯電話はかなり普及していて、持っていない学生でも4年生になると就職活動のために必ず買うものだった。

「腕時計はなくても、その辺の商店をのぞけば、時間ぐらいわかるわ」。日本なら小さな商店でもコンビニでも、目立つところに掛け時計がかかっている。きっと成都でも同じだろうと、私は日本に住んでいる感覚がまだ抜け切れていなかった。

西南民族大学の学生街には小さな食堂、古本屋、海賊版のCDやDVD屋さんなどが並んでいた。チベット族の学生が多い大学なので民族グッズを売るお店も多数あったが、掛け時計のある店は見事になかった。「すぐ目につくところに時計がないと不便じゃないの?」と中国人に質問したくなると同時に、「日本人って時間を気にして生きている民族なのだな」と思った。

四川省は中国沿岸部に比べて生活がのんびりしていると言われている。あくせく時間に追われて働かない土地柄だから、時計を置いている店がほとんどないのか?このことがあって以来、中国の町を歩いていると、小さな店にも掛け時計があるどうかを無意識にチェックするクセがついた。結果は、地方であろうが沿岸部の大都市であろうが、掛け時計をかけている店はほとんどなかった。

日本人はなんとなく目に付くところに時計がないと落ち着かない。顔や視線を上げただけで時間が分かると安心する。常に時間を気にしている民族なのだ。中国の都市部の小さな食堂や商店は地方出身者が開いたところも多く、経費節約のためか、掛け時計はないのが普通。携帯電話やパソコンがあれば時間はわかる。中国人にとって、時間なんてとにかく分かったらそれでいいのだ。

■筆者プロフィール:浜井幸子(はまい・さちこ)

1966年神戸市生まれ。19才の時、初めての海外旅行で行った中国の魅力にはまり、90年代の中国をバックパック旅行する。その後、中国やアジアの食を中心に書くライターとして活動中。著書に「中国おもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」など。

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