なぜ朝鮮戦争を忘れてはならないのか―中国有識者

Record China    2013年7月29日(月) 14時20分

拡大

26日、人民日報は朝鮮戦争に関するコラムを掲載した。1953年7月27日、中朝代表と「国連軍」代表が朝鮮の板門店で朝鮮戦争休戦協定に署名した。資料写真。

2013年7月26日、人民日報朝鮮戦争に関するコラムを掲載した。1953年7月27日、中朝代表と「国連軍」代表が朝鮮の板門店で朝鮮戦争休戦協定に署名した。これによって3年1カ月と2日におよんだ朝鮮戦争は完全休戦を実現し、朝鮮半島は残酷な洗礼を経て、ようやく平静を取り戻した。(文:銭利華(チエン・リーホワ)本紙特約論説員、全国政協委員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

朝鮮戦争は第2次大戦終結からわずか5年、日本による朝鮮半島の植民地支配の終結からもわずか5年、中華人民共和国の成立から8カ月で勃発した。世界の人々が第2次大戦の悪夢からやっと解放され、希望に満ちて平和を迎え、故郷を再建している最中に、戦争が勃発した。しかも戦争の凄惨さ、死傷者の多さ、消耗の大きさは、過去のいかなる局地戦争をも上回るものだった。中国はこの戦争のために多大な民族的犠牲を払い、高い代償を支払った。

朝鮮戦争を忘却してはならないのは、間違った時に勃発したからだ。中国は解放されたばかりで、復興任務が山積みなうえ、多くの残敵追撃任務も抱え、台湾問題とチベット問題も早急な解決を要していた。時宜にかなわぬ戦争によって国内事業は徹底的に混乱し、中国共産党と中国政府は厳しい試練に直面した。出兵しなければ朝鮮の政権は滅び、米国の勢力がわが東北国境にまで迫り、北東アジアの戦略構造は一変する。出兵すれば、最も強大な敵と戦うことを意味し、巨大な代償は避けようがない。だが中国の指導者の胆力と識見と知恵は近視眼と狭隘(きょうあい)に打ち勝ち、朝鮮戦争を通じて中国人の威風と気概を示し、中国の国際的声望を高め、北東アジアに60年間の平和を築いた。

朝鮮戦争を忘却してはならないのは、間違った場所で勃発したからだ。第2次大戦終結から間もなく、欧州で冷戦が始まった。米ソは共に欧州に戦略の重心を置き、積極的に戦争に備え、一挙に勝敗を決する構えを呈していた。第2次大戦後初の局地戦争がアジアで勃発するとは誰も予想していなかった。実際のところ、朝鮮問題は米ソが勢力範囲の線引きをしたことでもたらされたものであり、冷戦の産物でもある。1945年8月、ソ連が極東で強大な勢力を誇り、朝鮮半島を単独占領する勢いにあるのを目の当たりにした米国は、北緯38度線を境界とし、以北の日本軍はソ連軍に、以南の日本軍は米軍に降伏することを提案。朝鮮は「38度線」によって分断された。その後数年間の準備を経て、北南双方共に相手を平らげ、祖国統一を実現する能力があると考えるにいたった。したがって朝鮮戦争は第1に内戦であり、間違った判断に基づき引き起こされた戦火だったのだ。

朝鮮戦争を忘却してはならないのは、誤った戦略判断により勃発したからだ。多くの局地戦争は誤解や誤った判断によって衝突が引き起こされ、戦争にエスカレートし、さらに外部勢力が介入するという経過をたどる。朝鮮戦争もそうだった。新中国の成立によってソ連を頭とする社会主義陣営は強大化した。米国は第2次大戦の政治、軍事、経済的大勝者として「世界をリード」し、いわゆる共産主義の拡張を抑え込もうと野心満々だった。朝鮮戦争の勃発は米国に戦略的抱負を発揮する好機を提供した。戦争の火蓋が切られるや米国は国連の名で軍事介入したうえ、第7艦隊を台湾海峡に派遣した。朝鮮に侵略した米国空軍は中国の領土を爆撃掃射し、戦火を鴨緑江にまで広げ、中国の安全を直接脅かした。

つまるところ、中国の抗米援朝は家を守り、国を守り、平和を守るための戦いだった。朝鮮北南双方の命がけの戦いは、祖国統一のための戦いだった。米国の軍事介入は、「共産主義の拡張」を阻止し、アジアでの覇権を拡大するための戦いだった。戦争の結末として、朝鮮半島は冷戦構造に戻った。

朝鮮戦争を忘却してはならないのは、今日に対しても警鐘を鳴らす意義があるからだ。休戦から60周年、朝鮮に真の平和はまだ訪れていない。60年前の武力による統一実現のもくろみは目標を達成しなかったし、60年後の今日も武力による朝鮮半島問題の解決は目的を達成し得ない。

冷戦を繰り返してはならない。誤った戦略判断は全力で回避すべきだ。朝鮮半島問題解決の根本的な道は対等な対話と交渉にある。朝鮮半島の統一は朝鮮半島北南人民の力で解決するほかない。朝鮮半島に一日も早く平和が戻ることを願う。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携