人民網日本語版 2019年10月27日(日) 5時0分
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働き盛りで、人生で最も良い時期を過ごしているはずの30歳前の若者が今、すでに自分の健康や美容に不安を抱き始めている。
働き盛りで、人生で最も良い時期を過ごしているはずの30歳前の若者が今、すでに自分の健康や美容に不安を抱き始めている。そして、健康食材のクコの実を飲み物に入れて飲むだけでなく様々な美容商品や健康食品などを買い求めるようになっている。このように中国では現在、健康や美容に不安を抱える90後(1990年代生まれ)が健康食品産業の成長を牽引するようにさえなっている。工人日報が伝えた。
■90後が健康に不安を抱いているのはなぜ?
ある動画サイト運営会社に勤務するlucyさんは、最近迎えた26歳の誕生日の日も、ケーキを食べたり、ミルクティーを飲んだりすることなく、普段通り、アズキ、ブクリョウ、ハスの実を煮込んだスープを飲んで過ごしたという。lucyさんは、「これを飲むと元気が出る。北京の空気は乾燥し過ぎているので、明日か明後日にはシロキクラゲのスープを作って、滋養をつけないと。25歳を過ぎたら、絶対に健康や美容に注意しなければならない」としただけでなく、「あなたの場合、ツバメの巣のスープを飲まなないとだめですよ」と筆者に注意を促した。
科学研究機関に勤務している小雪さん(31)は、以前は好きなものを好きなだけ食べ、酒もたくさん飲むというダイナミックな女性だったものの、「去年から、糖分を取らないようにしている。最近、抜け毛が気になって、不安なので、抜け毛対策の商品を使っている」と話す。
90後(1990年代生まれ)の男女が気にしているのは、抜け毛や糖分制限、血を補う、滋養といったものにとどまらない。最近、微博(ウェイボー)で大きな話題を集めた「健康診断の結果を見るのが怖い90後」という投稿に多くの若者が共感し、「健康診断の結果を見るのが怖いのは私だけじゃなかったんだ」と声を寄せた。健康診断を受けたり、その結果を見たりするのが怖いということは、90後が自分の健康状態に自信がないということで、「自分の生活は不規則で、体は亜健康の状態」というのが多くの人の共通の認識だ。
ある調査によると、90後が健康に不安を抱くようになっているのは、社会に出て働くようになっていることのほか、一人っ子世代で「危機感」がほかの年代の人々より強いというのが理由だ。国勢調査の統計によると、現在、中国の90後の数は1億8800万人で、全人口の14.1%を占めている。2017年に、1999年に生まれた90後の最終グループが成人になり、ほとんどが働き始めている。そんな90後は今、仕事や生活の面で、重責を担うようになっており、大きなストレスを抱えるようになっている。さらに、90後のほとんどが一人っ子であることも、アンチエイジングの分野のニーズをより大きくしている。
「2019国民健康洞察報告」は、各年齢層のグループと比べると、90後の自分の健康に対する評価は低いというおもしろい現象を紹介している。これも、若者が健康食品を買う「主力」となり始めている原因だろう。
■健康食品企業は若者をターゲットに
若者は購買力もあるため、健康食品業界もその商機を見逃していない。同業界は若者の市場を細分化し、健康に不安を抱いている若者をターゲットにした商品の研究開発を進めている。
健康食品会社は2015年には早くもこうした商機のにおいを嗅ぎ付け、準備を始めていた。越境ECが急速に発展しているのを背景に、海外の健康食品の販売も盛んに行われており、その消費者は若い女性が「主力」だ。
統計によると2015年における健康食品のうち、販売が急増したのは、酵素系、食物繊維、ブドウ種子エキスなどで、売上高に若い女性が大きく貢献している。中国保健協会は、中国のサプリメント市場の規模は今後10年は年間平均10%のペースで成長し、日本を超えて世界2位のサプリメント市場になる可能性があると予想している。
業界関係者は、若い消費者の健康食品の分野でのニーズは、中高年者とは全く異なるとしている。若者は科学的に摂取することにこだわり、サプリメントの吸収効率なども重視している。また、若者の消費習慣も高齢者とは大きく異なる。若者は健康食品を単なる「商品」ではなく、「ライフスタイル」と見ており、デザインやコンセプトなどの面でもこだわりを見せる。ある業界関係者は、「健康食品ブランドの販売ルート確立やターゲット、消費者とのインタラクティブなどの点でも、従来の健康食品のマーケティングとは明らかな違いがある」と分析する。
起用されるイメージキャラクターが中高年の人気芸能人から、若い芸能人やネット有名人へと切り替えられていることからも、健康食品会社が若者をターゲットにしようと躍起になっていることが分かる。例えば、米国の老舗サプリメントメーカー・ネイチャーズバウンティは2013年から2015年にかけて、中国でも人気の韓国の俳優キム・スヒョンや中国の人気女優タン・ウェイ(湯唯)をイメージキャラクターに起用し、その若い女性ファンの「爆買い」につなげた。
これまで、健康食品の広告というと、テレビのコマーシャルが多かったものの、今ではオンラインプラットフォームが多くなっている。そして、微博(ウェイボー)や微信(WeChat)などのSNSで、健康食品の広告をよく見かけるようになり、ネット有名人も健康食品のイメージキャラクターに力を入れて、大人気商品が続々と登場している。
■若者ターゲットに高価な商品を売りさばくマーケティングに警鐘も
しかし、健康食品の広告は、その良い効果を大げさにアピールするだけで、副作用については全く言及していない。中国のネット上で大人気の「糖化ケアサプリ」もその一つだ。いつからか、中国国内外を問わず、芸能人やネット有名人、さらに一般人の間で、「糖化ケアブーム」が巻き起こっている。「ミルクティーは飲まない」や「糖分は摂らない」というのはまだ理解できるが、糖化スキンケア、糖化ケアサプリや栄養ドリンクなどはちょっと理解しがたい。特に、人気の日本のエイジングケアシリーズは、数万円もする商品でも売り切れ続出となっている。
神秘的なコラーゲン、万能のアミノ酸など、これまでにも同様の健康食品がたくさんあった。そして今は、抗糖化をセールスポイントにした商品が、人気芸能人をイメージキャラクターに起用して、動画広告を使って大々的に宣伝されている。健康や美容に気を配る若者をターゲットにすると、これほど簡単に商品を売ることができるのかという思いにさせられる。
もちろん、専門用語を並べて、盲信させ商品を売るかのようなマーケティングを、専門家は批判している。ある専門家は「健康食品は薬品ではない。それに、健康食品を過度に摂取するのもよくない。合理的に食事をして、適度に運動をし、タバコは吸わずに、酒は適度に飲み、ストレスを軽減し、仕事と休息のバランスを取るようにしなければ、本当の意味で若さを保つことはできない」と指摘する。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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