日本の料理屋でイメージが一変! 冷たいのは私たち中国人の方だった―中国人学生

日本僑報社    2019年11月16日(土) 14時20分

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実際に他国の人と触れ合うと、それまでのイメージが大きく変わることはよくある。日本を訪れた浙江万里学院の陳キン羽さんは、それまで聞いていた日本と実際の日本とのギャップにいささか驚いたようだ。資料写真。

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実際に他国の人と触れ合うと、それまでのイメージが大きく変わることはよくある。日本を訪れた浙江万里学院の陳キン羽さんは、それまで聞いていた日本と実際の日本とのギャップにいささか驚いたようだ。以下は陳さんの作文。

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「時間が戻ればいいなあ」。私は時々そう思えてなりません。「なんでその時、言わなかっただろう」と、今私は思えば思うほど後悔しています。

あれは去年の夏休みのことでした。その時私は、サマーキャンプに参加し、1カ月間日本にいることになりました。日本に行ったこともないし、日本語も下手だし、日本人とうまく付き合えるかなと、私はあれこれの不安と心細さを抱いたまま、旅に出ました。

日本についてから、「井荻」という所に住むことになりました。マンションから駅までの道で、たまたま出合ったある料理屋では、今まで想像もつかなかった日本人の“メリット”に気づかされました。いつからあの店の常連客になったのかは、もはや覚えていません。記憶の片隅に鮮明に残っているのは、ただ看板に大きく書いてある「家庭の味」という文字、それから、旦那さん夫婦のことでした。

旦那さんはいつも、お世話してくれました。おまけの果物をくれたり、にこにこしながら私たちのことを見たりして、親切にしてくれました。特に、毎回食事を終えて、店を出ようとする私たちへの挨拶は、一番印象深かったです。お世辞の「まいど」だけではなく、気にかけてくれる話をいつもしてくれました。たとえば、帰りの遅い日に「夜道には気をつけてくださいね」とか、雨の日に「傘、忘れないでくださいね」とか、心配して話してくれました。他人からみれば、「なんだ、つまんない」としか思えない話かも知れませんが、国を離れて、初めて異国で暮らしていた私にとって、それほどありがたいことはなかったです。

こんなにいい人たちに出会えたなんて、よかったなと、ただそう思うだけではありません。日本人へのイメージが一変したということです。日本語専攻の学生として、日本語を習い始めて以来、日本や日本人のことを知るため、テキストの内容を、必死に勉強してきました。そして、日本人は冷たくて感情を表に出さないというテキストに書いてある内容も疑わず受け入れました。太宰治の『人間失格』を読んでいた時も、主人公葉蔵が機嫌を取るため、せっせと道化を演じたにもかかわらず、周りの人間の冷たい姿を見て、「ああ、これこそ日本人だ」と思えてなりませんでした。けれど、とんでもないことだと、私は日本に来てから初めて気づきました。

中国へ帰る日に、天気が崩れました。空からざっと降ってきた雨も、別れの悲しみを告げるようでした。「最後の一日だから、お別れ、しない?後で後悔するかも」。店で食事していた最中、先輩はまんざら冗談でもなさそうに言いました。「いやよ、日本語は下手だし、それに、なんか恥ずかしい」。私はあっさりと断りました。そして、旦那さんが言った「台風が来るから、気をつけてくださいね」。という言葉は、私の心に残る最後の一言になりました。

今から思えば、冷たく見えたのは、日本人じゃなく、かえって、私たち中国人の方でした。日本人は優しい心を見せてくれたのに、私は勇気を出さず、結局何の答えも出しませんでした。「いつもお世話になっております。ありがとうございます。外国人で日本語専攻生の私に、考えたこともない日本人の優しさを見せてくださって、本当にありがとうございました」。今の私は、もう一度旦那さん夫婦に会ったら、ためらいなくそう言います。

日本人に対するイメージだけではなく、テキストや書物に書いてある日本がありのままの日本ではありません。今はもう帰国したけど、これからは周りの人たちに、私がこの目で見た日本や日本人をできるだけ伝えたいのです。そして、将来は日本に行って、中国のことをより多くの日本人が知るため、頑張るつもりです。いつか偏見をなくして、分かり合えて、仲良く付き合える日も来ると、私はそう信じています。(編集/北田

※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、陳キン羽さん(浙江万里学院)の作品「『冷たい』日本人」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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中国人の日本語作文コンクール受賞作品集はコチラ
http://duan.jp/item/267.html

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