黄 文葦 2019年12月5日(木) 23時20分
拡大
新大久保駅の周辺には近年日本語学校と専門学校が急増している。いろんな国からの留学生が日本語と専門知識を学んでいる。
11月22日、一人の中国人留学生が出願のために、在学する葛西の日本語学校から新大久保にある専門学校へ。午後5時半頃新大久保駅に到着した。しかし、思い寄らないことに遭った。電車を降りたら、全然動かない。ホームには黒山のような人だかり…ホームから駅を脱出するのに20分かかった。約束の時間に遅れるため、留学生が学校の先生に連絡して状況を説明し、幸い学校の窓口が閉まる前に出願できた。
新大久保駅の周辺には近年日本語学校と専門学校が急増している。いろんな国からの留学生が日本語と専門知識を学んでいる。そして、新大久保の風情を堪能している。普段、多くの留学生が友達と新大久保駅で待ち合わせしたりしている。
仕事の関係で、私はよく新大久保駅を利用している。日々、駅の混雑状況を肌で感じている。ずっと新大久保駅は「不合理」な駅だと考えている。いつも混雑しているが、出口はひとつだけ。エレベーターもエスカレーターもない。この数年間、地上4階建ての新駅舎を建設している。駅がいつも工事中の状態なので、駅構内はますます狭くなってきた。売店もないし、みどりの窓口もないし…あえて言えば、駅の環境が大幅に時代に遅れている。
資料によると、2010年代から新大久保駅の乗降客数が急増に転じている。近年、新大久保駅は「観光駅」になった。新大久保の国際化がハイスピードで進んでいる。一方、新大久保駅の「国際化課題」は解決していない。定期券を利用しない乗客が5.1万人のうち3.2万人と過半数を占めているという。新大久保周辺はコリアンタウンだけではなく、「アジアの美食の都」にもなっている。昨年から「タピオカの聖地」も形成しつつある。11月22日には、新大久保で1万円のタピオカも登場した。「東京タピオカランドカフェ」では目玉として、この世で1番高い茶葉「大紅袍」を使ったタピオカミルクティーが1万円で数量限定販売される。
駅は狭いので、混雑するのは当然だが、もう一つ重要な混雑原因は、新大久保駅を利用する外国人が多いことだ。多くの外国人及び観光客が駅の中で「左通行」などのルールを無視するようなのだ。24カ国語での構内放送をエンドレスで流しているが、たいへん混雑している時、駅員さんが大声で誘導しても、乗客がなかなか従いにくい。そして、日本語を理解できないので従ってくれない乗客もいると考えられる。
狭い駅の前で、いろんな国の人たちがいろんな言葉をしゃべって、人と待ち合わせする。駅前に広場がほしい。国際的な新大久保には、広い「国際的」な駅が必要だと思う。
新しい新大久保駅は2020年完成予定。しかし、目の前のことを心配しなくてはならない。安全性の問題もある。地震が発生したら、そんな混雑状態の中、乗客はかなり危険な空間に身を置かれると指摘したい。交通機関が対策を講じるべきである。乗客は、週末・通勤時間帯は新大久保駅を避けたほうがいい。代わりにJR大久保駅、JR新宿駅・西武新宿駅、地下鉄東新宿駅などを利用したらいい。
さらに言えば、日本中、国際化に追いつかない「もの」は新大久保駅だけではないと思う。大きく言えば、日本全体が新大久保駅のように、国際化課題に追われているではないか。人々の意識改革も含めて、民族や国籍の異なる外国人に対応しなければならない。新大久保駅へ行ったら、どれだけ外国人に囲まれていることがわかるはず。
人にとっても、国にとっても、時代の流れという力はとんでもなく大きい。日本は島国とは言え、国際化という波がどんどん私たちの目の前に押し上げてくる。議論する、いいえ、躊躇する時間すらなく対応に迫られてくる。これは新大久保駅がくれた啓示である。来年は東京オリンピックの年、東京の国際化の色が一層加速するではないか、と想像したら、わくわくする。とりあえずそれを楽しみにしたい。
■筆者プロフィール:黄 文葦
在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。Facebookはこちら「黄文葦の日中楽話」の登録はこちらから
この記事のコメントを見る
Record China
2019/10/30
2019/5/11
2019/3/25
黄 文葦
2019/9/15
2018/8/17
ピックアップ
we`re
RecordChina
お問い合わせ
Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら
業務提携
Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら
この記事のコメントを見る