<コラム>漢字-15億人の表語文字

石川希理    2020年1月24日(金) 23時20分

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漢字が大量に日本に入ってきて使われ出したのは4世紀頃である。黄河文明あたりを起源とする漢字は、音と意味を表す表語文字である。10万とも言われる膨大な数がある。写真は上海の看板。

万葉仮名をご存じだろう。漢字にかなを割り振ったものだ。

一定のルールはあるが、いま勝手に作ってみると、例えば、田乃詩意、で「たのしい」である。

漢字が大量に日本に入ってきて使われ出したのは4世紀頃である。

黄河文明あたりを起源とする漢字は、音と意味を表す表語文字である。10万とも言われる膨大な数がある。

朝鮮や日本もこの影響を受けたが、現在、漢字が使われているのは中国・日本だけである。人口にすると15億ほどになり、世界ではアルファベットに次いで多い。

朝鮮は漢字を排して、「大いなる文字」の意味を持つ表音文字ハングルを使っている。現在では若者はほとんど漢字は理解できないらしい。

中国では、繁体字は難しいので、簡略にした簡体字が用いられるようになっている。例えば「職」は耳偏に「只」である。

日本では、当初、漢字は相当な知識をもち学問をしていないと理解できないことから、支配層にのみ広がった。それも男性である。

ただ、万葉仮名で日本の言葉を表し、やがて、ひらかな、カタカナが生まれ、日本独特の発展をしていく。

漢文は権威の象徴である。幕末まで使用されている。また仏教界では、漢文をそのまま使用している。なんとなくありがたく、呪術のような感じである。聞いている我々には判らない。ひょっとして唱えているご僧侶にも…。(笑)(失礼)

日本では、カタカナがあるために、「パソコン」「テレビ」と表記され、さらに略している。「テレビジョン」が「テレビ」、「パーソナルコンピューター」は「パソコン」、「スマートフォン」は「スマホ」である。もちろん英語圏では通用しない。

おまけに器用というか、何でもありというか、日本文の中に Computer と文字を入れることさえある。

中国では「コンピュータ」は「電脳」だ。見事な訳だ。

日本の場合は明治期に、西周(にしあまね)などが、様々な言葉を翻訳している。哲学・理性・意識・科学・知識・技術・心理学・概念・帰納。こういった熟語は里帰りして中国に入り使われているものもある。

恐らく日本語というのは、世界で最も複雑な言語体系だろう。何でもかでも消化して、或いはそのまま使っている。

言語・文字は思考の道具である。ものごとの概念をあらわす。これから離れて考えることは出来ない。だから、多様な文字種を扱う日本人は、ユニークな思考も可能なのだと思う。

漢字圏の中国・日本では、いまのところ、漢字で意味がとれる共通点があるので、意思の疎通は案外やりやすいかも知れない。

「飯店」と書いていると、まったく中国語のわからない私でも「料理屋かホテルかな」位は判別できる。逆に日本語のわからない中国人でも漢字で意味が推測できる。もちろん全然見当外れの場合もある。

私たちは頭の中で、漢字やかなを使って思考をしている。先に述べたが認識は文字と言語の意味する概念の範囲でしかなし得ない。

言語や文字は時代とともに変化していく。中国と日本の漢字文化は相当異なるが、思考に共通する土台として、もう一度焦点を当ててその利用を考えてみるのも良いだろうか。

■筆者プロフィール:石川希理

1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒です。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、善く死ぬために仏教の勉強と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文芸祭りの選者(それぞれ随筆と児童文学)をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時折友人達などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時折禁酒(笑)。中学教員から県や市の教育行政職、大学の準教授・非常勤講師などをしてきました。児童文学のアンソロジー単行本数冊。小説の自家版文庫本など。「童話絵本の読み方とか、子どもへの与え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想・仏教」などの講演会をしてきました。

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