人民網日本語版 2020年1月20日(月) 21時40分
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ここ数日、中国のネット上で北京の故宮が話題をさらっている。
ここ数日、中国のネット上で北京の故宮が話題をさらっている。その理由は、故宮の角楼レストランが1テーブル6688元(約10万円)の年夜飯(大晦日の夜に家族で食べるご馳走)を打ち出したというニュースが流れて話題になったと思っていたら、その後すぐに年夜飯提供の計画は取りやめになったというニュースが流れたからだ。中国新聞網が伝えた。
16日、故宮の角楼レストランを訪れると、まだ午前11時ごろだったものの、店内ではすでにたくさんの客が訪れていた。店員は年夜飯が取りやめになったことは認めたものの、その具体的な理由は明かさなかった。
同レストランは現在、通常通り午前8時半から午後4時半まで営業している。
■6688元の年夜飯は高すぎる?妥当?
故宮の角楼レストランは、故宮博物院の出口にある神武門の外側にあり、各種軽食を提供している。故宮の入場券が必要なエリアの外にあるため、故宮を見学していない人でも、誰でもここで食事することができる。
そんな角楼レストランがこのほど、約7000元の高級年夜飯を打ち出したことで、「故宮は商業化しすぎ」「文化財の安全を守れるのか」などといった懐疑的な声が上がるようになっていた。しかし、その一方で、「春節(旧正月、今年は1月25日)という時期や場所などの要素を総合的に考えれば、決して高い値段ではない。北京の多くの高級レストランの年夜飯の値段はもっと高い」という声もあった。
さらにはあるネットユーザーの「この場所なら全然高くない。ただ、ちょっと派手に宣伝しすぎ。女官が料理を運んできてくれるのかな?」という、ユーモラスなコメントにたくさんの「いいね!」が寄せられたことも話題になっていた。
■故宮は「商業化」しすぎているのか?
実際のところ故宮が「飲食関係」において議論の的になるのはこれが初めてではない。
2019年3月、同じくこの角楼レストランが火鍋を提供したことで大きな話題となった。その時は、「天を奉じて運を承る、皇帝の詔曰く。火鍋のスープは万寿菊花鍋、タレは江山社稷醬。肉は科爾沁牛上脳」と書かれた皇帝の詔である「聖旨」のようなメニューが話題となった。
当時提供されていた鶏ガラスープに菊の花を浮かべた「万寿菊花鍋」は、火鍋が大好物だった清王朝末期に実権を握っていた慈禧太后が生み出したと言われている。漬けダレは、社稷壇の上に敷かれている五色の土(中央は黄色、東は青色、南は赤色、西は白色、北は黒色)にインスピレーションを得て、5色の薬味で、辛みとあまみがうまくハーモニーした味で、香りのよい仕上がりになっていた。
しかし、火鍋は大人気になった一方で、多くのネットユーザーから「火事の原因にならないのか?」と心配する声が寄せられ、故宮が「ホットプレートを使用しており、炭火を使った火鍋ではない」と「火消し」に走ったが、結局火鍋の提供は中止となってしまった。
近年、故宮は多くの人にとって親近感のある博物館になっており、各種文化クリエーティブグッズが大人気となっているほか、業界を超えて飲食分野にも進出し、コーヒーなども提供して、好評を博している。そのため、「故宮は、文化財・博物館業界における優れたインフルエンサーだ」と揶揄する声もあがっていたほどだ。
しかし、そうしたことも「商業化が過ぎる」という懐疑的な声が起きる原因となってしまった。その点、「適度な商業化は合理的な開発で、その收入を使って、文化財を保護するなら、何も悪いことはない。例えば、故宮の角楼レストランは神武門の外にあり、安全性がきちんと守られていることを前提に、そこで食事をしたり、休憩したりできる機能を適度に設置するのであれば、多くの人の故宮に対するイメージがさらに上がる」との指摘もある。
故宮のレストランに多くの人が予約をし、長い列を作ってでも食事に来たり、その文化クリエーティブグッズが大人気なったりしているのは、「故宮」というランドが背後にあり、その深みある文化を、多くの人が好んでいるからだ。
この点から考えると、故宮で火鍋を食べたり、年夜飯を予約して食べたりする人は、値段が高いか安いかではなく、そこで故宮の文化をじっくりと味わうことを重視していると言えるのではないだろうか。文化クリエーティブグルメの主な価値とはまさにその点にあるはずだ。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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