Record China 2013年10月23日(水) 14時57分
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23日、早稲田大学が、中国籍の晏英氏が提出した論文から盗用が発見されたとして、同氏に授与した博士学位を取り消すと発表した問題で、神田外語大学・アジア言語学科の小菅伸彦教授は、「早稲田大学の決定は不当なものである」と主張している。写真は早稲田大学。
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2013年10月23日、早稲田大学が、中国籍の晏英(イエン・イン)氏が提出した論文から盗用とみられる個所が数多く発見されたとして、同氏に授与していた博士学位を取り消すと発表した問題で、神田外語大学・アジア言語学科の小菅伸彦教授は、「早稲田大学の決定は不当なものである」と主張している。以下はその内容。
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晏英氏の学位剥奪に関する早稲田大学の決定は、以下の点で極めて均衡を欠いた不当なものである。
1.問題とされた多くの点は引用方法が不適切であったということであり、日本と異なる中国の論文の習慣から生じたもので、盗作とすべきものではない。早稲田大学の学位はグローバル標準でなければならないということは当然であるが、研究の過程、論文作成・執筆の際に十分な指導が行われなかったという早稲田大学側の過失を考慮すれば、改めて指導したうえで論文修正を求めるべきものである。
2.学位剥奪・公表という最も厳しい処分を決定する一方で、早大側の責任、関係者の処分に関して全く触れていない点で著しく均衡を欠いた不公平な決定である。仮にこのような処分がこのまま強行されるなら、指導教員、審査担当教員に対し免職を含む相当の処分、晏英氏への授業料返還、逸失勤労所得支払い、慰謝料支払いなどの決定も行われなければならない。あくまで盗作(決定分にはこの文言は使われていないが)という判断に基づく決定を保持するのならば、最近の理工系研究機関でのデータねつ造などの例に準じた大学関係者の処分が行われなければならない。中国人留学生を多数受け入れている早稲田大学には、教育・研究指導に当たって中国という異なる国・社会への十分な理解が求められるが、晏英氏への指導に当たっては、異文化理解がまったく欠落していた。国際レベルの一流大学を自認する早稲田大学としてきわめて恥ずべきことであるが、決定文からはそうした自覚、反省が全くうかがわれない。早稲田大学側の過失に加え、こうした低レベルの意識に基づいた決定であるという点でも、この結果は不当である。
3.晏英氏が早稲田大学在学中に指導を受け、あるいは何らかの形で知己を受けた教員に相談したことについて、「相談に応じた教員の背任になる」とした事務局幹部のメールは、大学教員の研究・教育の自由に関する最小限の理解を欠いたものである。研究指導その他、何らかの形で晏英氏に教育的影響を及ぼした教員・研究者が、その後も晏英氏の相談に応じ指導するのは、教員・研究者にとって良心的義務といえる。これを背任にあたるとする事務局幹部の主張は高等教育に関する理解を全く欠いている。このことからは教員管理に関する権力的志向が強くうかがわれる。晏英氏の学位剥奪の決定もこうした学内権力の影響下で行われた疑いが濃厚であり、この点からもこの決定は不当である。
4.事務局幹部のメール、学位剥奪の決定文からは、上記のように早稲田大学側の過失への自覚が全くうかがわれないばかりでなく、晏英氏への恫喝的姿勢が強く感じられる。日本社会の中では弱者であるアジア系留学生の立場、司法的な手段に訴える場合にも経済的な負担が日本人の場合よりも困難であるという相手の足元を見透かした意識、すなわちアジア系外国人差別、中国人差別の意識が強くうかがわれる。この点からもこの決定は極めて不当である。
以上の諸点から、この決定は早稲田大学が一流の教育研究機関であるという通念に大きな疑問を抱かせるものである。早稲田大学は不当な決定を撤回し、晏英氏との話し合いに応じ、いったん授与した学位は保持したままで、論文の修正・再提出を求める新たな決定を速やかにすべきである。(編集/北田)
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