「スカウター爆発級」の大気汚染と中国国営通信社、農村発のPM2.5が大量発生―中国

Record China    2013年10月24日(木) 14時2分

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23日、ハルビン市など中国東北部でこのほど“観測限界を超えた”大気汚染が検出された。この猛烈な大気汚染はいくつかの条件が重なって生じたものだが、その一つがなんと農業だという。

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2013年10月23日、ハルビン市など中国東北部でこのほど“観測限界を超えた”大気汚染が検出された。この猛烈な大気汚染はいくつかの条件が重なって生じたものだが、その一つがなんと農業だという。

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▼「スカウター爆発」級の大気汚染

ハルビン市では一時、1000マイクログラム・立方メートルを超えるPM2.5を観測。500マイクログラム・立方メートルを超えた時点でAQI(環境空気品質指数)は最悪値の500と測定される。そのためハルビン市のAQIは上限の500を指し続けたまま。「観測限界を超えた」と評されたゆえんだ。

なお一部中国メディアは「爆表」(計器爆発)という表現を使っている。これはマンガドラゴンボールの戦闘能力を計る機器、スカウターが強敵に遭遇すると計測しきれなくて爆発することから生まれたネットスラング。「**くんは爆表した」(**くんの能力が一気に上がった)という具合に使うらしい。ただ大気汚染関連では単純に「観測限界を超えた」という意味で使用されている。権威ある中国国営通信社・新華社までもが「ハルピンを包囲するスモッグ、PM2.5 の“スカウター爆発”続く」というタイトルで報じているのがすごい。

▼突然の大気汚染、その原因は?

さて、中国東北部に突然出現した猛烈な大気汚染、その原因はなんだろうか。ハルビン市政府は3つの原因があると説明している。

(1)気象条件。風が弱いほか、逆転層の発生により対流が起きず、水平方向にも垂直方向にも大気が拡散しなくなった。

(2)都市周囲の農地でトウモロコシや小麦の茎が燃やされた煙。

(3)冬季の集中暖房が始まったため、各所でボイラーが稼働し始めたこと。

農家の問題という説明を政府の責任逃れと感じる人もいるようだが、農地での焼却処分はこれまでにも大きな問題となってきた。2011年には南京市など江蘇省各地を濃霧が覆い、化学工場の爆発があったのではなどとデマが広がる騒ぎとなった。しかしこの煙、実際には各地で小麦ワラの焼却が始まったことが原因だった。

ハルビン市は現在、さまざまな大気汚染対策を打ち出しているが、その一つに農地での焼却処分取り締まりがある。現在、農村部に職員を派遣し、焼却処分を取り締まっているという。

東北網は焼却処分が増えた背景についても言及しているが、これがなかなか興味深い。トウモロコシを手作業で収穫していた時代には茎は燃料にされたり飼料にされたりしていたのだが、機械で収穫すると粉々に粉砕して畑にばらまかれてしまう。そこで焼却処分が広まってしまった。また農村にガスが普及したことで、茎を燃料として使う需要はますます薄れてしまった。

●高口康太(たかぐち・こうた)

翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。

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