北京市が大気汚染緊急対策を導入、3日連続の深刻な汚染で工場操業中止に学校閉鎖、ついでに屋台禁止―中国

Record China    2013年10月24日(木) 18時50分

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23日、深刻な大気汚染に苦しむ中国。このたび新たな対策が導入されることが決まった。赤色警報が発令された場合には学校は緊急閉鎖、乗用車の使用禁止、ついでに屋台も閉鎖などの厳しい措置が課される。資料写真。

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2013年10月23日、深刻な大気汚染に苦しむ中国。このたび新たな対策が導入されることが決まった。赤色警報が発令された場合には学校は緊急閉鎖、乗用車の使用禁止、ついでに屋台も閉鎖などの厳しい措置が課される。

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▼重大な汚染、深刻な汚染で警報発令

2013年10月16日、北京市共産党委員会常務委員会は「北京市空気重汚染緊急事前対策案(試行版)」を可決した。北京市は燃料炭の利用減少、自動車台数の制限、汚染物質排出削減、ほこり対策など全力で対策に取り組んでいることを指摘した上で、深刻な大気汚染が予測された場合には緊急対策を実施することを決めている。

同案は大気汚染予測に応じて4段階の警報を発令することを決めている。

・「1日間の重大な汚染が予測される場合」には青色警報

・「1日間の深刻な汚染、または3日間連続の重大な汚染が予測される場合」には黄色警報

・「3日間連続で重大な汚染、または深刻な汚染が予測される場合」にはオレンジ警報

・「3日間連続で深刻な汚染が予測される場合には赤色警報」

どうなったら重大な汚染、深刻な汚染と認定されるのか。これはAQI(環境空気質量指数)によって決定されるもようだ。PM2.5、PM10、二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾン、一酸化炭素など各種物質の濃度を測定し、その最悪値によって指標が決まる。

注目のPM2.5だと、250μg/m3以上が重大な汚染、350μg/m3以上で深刻な汚染となる。ちなみに日本の環境基準値は35μg/m3、70μg/m3以上で外出自粛が呼びかけられる。日本で外出禁止レベルのPM2.5でも中国の基準だと「良」、良い空気になってしまうのがなんとも凄まじい。

▼緊急対策プランの中身

さて、ご丁寧にも4段階の警報が定められているのだが、緊急対策プランが発動するのは第3段階のオレンジ警報以降となる。青色警報と黄色警報は警告するだけで特に対策はなし、だ。

オレンジ警報では「四停」が実施される。「停産」(一部企業の生産停止、減産、汚染排出物の30%減少)、「停工」(一部の建設現場、解体工事現場で強制的な作業停止)、「停放」(北京市内での花火、爆竹禁止)、「停焼」(串焼きなどの露店の営業停止)の4項目。また老人、児童、病人の外出自粛、幼稚園・小中高校での体育の授業や運動会の中止を勧告する。

赤色警報では「六停」を実施。上述の項目に加え、「停車」(乗用車の使用禁止、土砂などを運ぶほこりを巻き上げやすい輸送車両の運行中止)、「停課」(幼稚園・小中高校の臨時休校。企業にも弾力的な業務運行を求め、大規模な野外活動の自粛を勧告する)。

また上記「六停」以外に「一冲」も実施される。これは放水車による道路清掃を意味している。水で路面を洗い流して、ほこりが飛ばないようにするというものだ。

▼経済活動への影響は必至だが……

やたらと生産活動に影響を及ぼす対策が並んでいるが、これで仕事になるんだろうかとちょっぴり不安になってしまう。

基本的に空気がよどんでいる時に大気汚染が深刻化するので良い風が吹いてくれないと10日連続で大気汚染が観測されるというのもちょくちょくある。この間、建設現場はストップ、マイカー通勤の人は泣きながらバス通勤に、屋台のオヤジはやることなくてヒマ、工場はストップか減産という大変な状況に。

もっとも中国といえば融通が利く国としても定評がある。真夏だと気温40度以上で仕事も学校も休みになるという規則があるのだが、その代わりどんなに暑くても観測気温は39度までしか上がらないという裏技で対処しているともっぱらの評判だ。実際、40度以上の気温が観測されることはほとんどない。あるいは今回の北京市の緊急対策プランの導入により、重度な汚染は2日までしか連続しないことになるかもしれない。

▼自動車・工場以外の汚染源

もう一つ、この対策を読んでいて不思議に思ったことはないだろうか。それは露店の営業禁止や道路への放水、花火の禁止など対策が思ってもみない方向に広がっている点だ。

日本人のみならず中国人の間でも、自動車の排ガス、工場の排気ガスが主な原因のはずと思っている人は多いが、実は建設現場からでるほこりや練炭の燃焼による汚染も少なくない。北京市環境保護局は、PM2.5の要因は22.2%が自動車、16.7%が石炭、15.8%がほこりであり、北京市大気汚染の三大主要汚染源だと説明している。ただ工場由来の汚染物質が主要汚染源から外されているのは本当だろうかという疑問はつきまとうが。

先日来、ハルビン市など東北地方を襲った大気汚染でも、畑で燃やしたトウモロコシの茎など農業関連の廃棄物が汚染源となった。また新京報は炒め物をすると室内のPM2.5濃度が急上昇するという面白い記事を発表している。さすがに調理関連のPM2.5が市内全域を汚染するというのは考えづらいが、ちゃんと換気しないで中華の炒め物を作ると、室内のPM2.5濃度も“中国レベル”に達してしまうようだ。

●高口康太(たかぐち・こうた)

翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。

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