木口 政樹 2020年3月2日(月) 14時0分
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韓国の3月1日は日本からの独立を叫ぶ全国民運動を記念する重要な日である。が、今年は新型コロナのせいでテレビのニュース画面は1日中新型コロナで持ち切りだ。写真は仁川国際空港。
韓国の3月1日は「サンミルチョル」といって1919年3月1日の日本からの独立を叫ぶ全国民運動を記念する重要な日である。が、今年は新型コロナのせいでテレビのニュース画面は1日中新型コロナで持ち切りだ。「サンミルチョル」に関する報道はほとんど聞かれない。
筆者が韓国へ来て30年を越えたけれど、こういう3月1日は初めてのこと。日本人としては心休まる3月1日となった。いつもなら、日本憲兵が出てきて韓国の民衆を蹴散らしたり、鉄砲で脅かしたりする場面がわんさと出るのであるけれど。
その新型コロナ、3月1日午前10時基準で韓国は、確定者3526人、死亡17人、退院(治癒)30人となっている。中国は確定者7万9968人、死亡2873人となっている。震源地中国はやはり桁が違う。
日本では北海道などの一部の地域で検査したいのだけれど検査できない「検査難民」などというニュースもみられるようだ。安倍政権が積極的に検査を行わない“感染者隠し”の疑いが浮上しているという話もある。
その点、韓国は隠蔽したり検査をわざとやらないという卑劣なやりかたはしていない。筆者の住む天安(チョナン)市は、ソウルから南に約80キロくらいの中堅都市である。ここで数日前、ジュンバダンスのダンススタジオでコロナ感染者が発生した。ダンス講師が感染者だったため、次から次へと伝染し、3月1日現在62人の感染者がいる。死亡者はいまのところまだいないようだ。
感染者の動線が一目でわかるアプリがあって、彼らが立ち寄った喫茶店やマートや食堂などがどこにあるかが一目瞭然だ。そういった店は即消毒作業に入り、店は閉店となる。何日間閉店措置をしなければならないのかはわからないけど、店の経営者にとってはとんだ災難になるわけだ。客が感染していたというだけで店を閉めなければならないのだから。でも、それくらい厳しく対処しているということでもあり、近くの住民からすればそういう点ではかなり安心できるというものである。
ただ、昨日テレビに出ていたパネリストの医者が、「消毒してコロナウイルスはいなくなっているので、お客さんはそこへ行っても大丈夫ですよ」と言って、お店やスーパーに足を運ぶのをやめないようにと促していたが、そんな医者の話を100%真に受けて店に行く人はほとんどいないと思われる。
韓国の確定者は3526人と中国に次いで多い。これは直近の号でお伝えしたように、大邱(テグ)の新天地教会の信徒らによる影響が大だ。新天地教会の信者の全数調査に入って3月1日で3、4日目になるはずだが、だいたい80%ほど(21万人)の調査が終わっているらしい。まだ少し残っているので明日、明後日あたりまでは確定者の数は増える見込みだ。新天地教会の信者の調査が終わってしまえば、韓国での確定者の数はそれほど増加しないものとみられている。
韓国では、コロナ対策として免疫力をあげるという観点から、ある種のきのこや、高麗人参などが爆発的な売れ行きを示している。高麗人参は、これを蒸して乾燥させた「ホンサム」(紅人参)が人気だ。これのエキスやちょっと飲みやすくした栄養ドリンクみたいなスティックタイプのものも人気だ。さらに味噌やニンニクなども免疫力を上げる食品として注目されている。
韓国の中では、上述の大邱が最大の危険地帯となったが、ソウルや釜山もそれに次いで危険地帯だ。そしてその次が私の住む天安(チョナン)。今日は追加の感染者がいないからなのかどうかわからないけど、昨日は1時間に1、2回の割合で「追加の感染者が1人」とか「2人追加。注意。」などの文字メールが来ていた。
さらに感染者の動線がわかるファイルがついていたり。文字メールがつく時、地震などの自然災害が発生した時のような特殊な音が鳴るので、昨日は1日中落ち着かない時間を過ごすことになった。今日は増加がないのか日曜日だからなのか、ドキッとするあの着信音が鳴らない。平和な日曜日を過ごしている。
生後45日の赤ちゃんが感染したというニュースがあって、ちょっと心が痛い。この子の親も2人とも感染者だという。高齢者はかなり危険になるケースが多いけれど、若者の場合はほとんど死亡者はいない。この子の親の若夫婦も今のところは症状がほとんどないという。45日の赤ちゃんと一緒に快癒してほしいところだ。
■筆者プロフィール:木口 政樹
イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大学校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓国』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。 著書はこちら(amazon)Twitterはこちら※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。
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