中国の国民的アニメに暴力的との批判、全面修正へ=背景にある「どぎつさのエスカレート」

Record China    2013年11月3日(日) 16時53分

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中国のテレビアニメがイロイロとめんどくさいことになっているようなので、今回はそれについてを。

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中国のテレビアニメがイロイロとめんどくさいことになっているようなので、今回はそれについてを。

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▼国民的アニメ「喜羊羊」バッシング止まらず、ついに修正へ

記事「中国で今度は国産アニメが主なターゲットな「アニメ七つの大罪」という批判などが行われている模様」で紹介させていただきましたが、今年5月、「子供がテレビアニメを真似して友達に大怪我をさせてしまった事件」がありました。以来、番組に対する批判が巻き起こってしまいましたが、その嵐は一向に収まらず、先日中国の有名ニュース番組「新聞聯播」で特集が組まれ批判されるなど、現在も大きな問題としてクローズアップされています。

「新聞聯播」では、現在の中国では一人勝ち状態というか国民的な人気アニメとも言える「喜羊羊と灰太狼」と、同じく人気アニメである「熊出没」の二作品が、「暴力的過ぎる、言葉使いが下品である」と名指しで批判されたそうです。

「喜羊羊と灰太狼」シリーズと「熊出没」シリーズに関しては制作会社が全面的な修正を開始しており、修正が行われたものをテレビで放映するとしているそうです。また新聞出版広電総局が「国産テレビアニメ内容基準」を年内に公布し、暴力、低俗、危険なプロットと文明的ではない言葉などの方面に対して厳格な制限を行うという話も報道されたそうです。

▼子ども向けアニメ嫌いの中国人オタクもさすがに同情

中国オタクの面々は自分達の見ているアニメを「子供向け」と見做されることを嫌う傾向が強く、「喜羊羊と灰太狼」などは「子供向け作品」「自分達が見る価値のある作品ではない」などとバッサリやってしまっているのですが、それでも中国で成功している「国産アニメ」ではあるのでそれとなく応援している所も見受けられます。

ですがここしばらくの間で、その「喜羊羊と灰太狼」まで批判の対象となってしまったことに関しては「そこまでやるか」「いったいどうすればいいんだ……」という、何ともやりきれない気分になってしまったりもするようです。以下に中国のソッチ系のサイトなどで見かけたこの件に関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。

▼中国人オタクの議論

おいおい、新聞聯播で「喜羊羊」や「熊出没」が不良動画認定されている。まさかあの作品まで消されることになるのか…?

あんだけ投資しまくった中で、やっとこさ盛り上がった貴重な中国アニメ産業の成功例にキツイ一発が入ってしまったわけか。

いやさ、ウチの国の若い世代は「日本の深夜枠アニメ」みたいなアニメを求めているし、その気持ちは分かるんだけど、私はウチの国でもディズニーみたいな作品が育ってくれるんじゃないかとちょっと期待していたんだよ。そんな夢もこれで終わりか。

アニメの対象年齢がどんどん上がっているな。私の子供の頃見ていた作品も成年しか見れない作品のカテゴリになりかねん。さすがにこれはヒドイよ。

この調子だと、我が国の過去の名作アニメの「黒猫警長」や「ひょうたん童子」も消されるな。

もう言葉も無い状況になってきているな。せめて俺の子供の頃見た作品だけはそんなことにならないでくれと願っているよ。

まさか「喜羊羊」までこういう目に遭うとは思わなかった。ただ昔の「虹猫藍兎」の件なんかもあるし、人気になってしかも表現方向がエスカレートしてくると問題になって潰されてしまうのかね。

納得いかない気持ちは分かる。確かに私もこのニュースを聞いた時は驚いた。でもよく考えると全くの無実ってわけでもないのも確かだ。「喜羊羊」は流血こそないけど基本的にドツキネタばかりになってしまっているし、「熊出没」も罵声がかなりエスカレートしている。

確か「熊出没」って警察とかもこき下ろしのネタにしていたよな。他にも色々とあるだろうし、こういう批判の的になってしまうのもそこまで不思議ではないような。

もうなんかアニメが全部無くなりそうな気がしてしまう。テレビだけ見せて放ったらかしにしている親の問題じゃないか?マトモな子どもならそもそも問題を起こさないか、起こしても極端なことにはならないはずだ。テレビアニメ「だけ」を理由にして叩いて、肝心の問題から目をそらしてもねぇ…

これ聞いた時、私も一瞬自分の耳を疑ったよ。まさか「喜羊羊」まで削除の憂き目に遭うとは。テレビアニメで止まってくれてよかったと思うべきなのか、それとも次はネットに来ると憂慮するべきなのか。

それにしても「喜羊羊」まで削除となったら、CCTVのキッズチャンネルで生き残れるのはいったいどれくらいあるのやら。見慣れない番組が唐突に顔を出してきたりするのかね。

一体どんなアニメだったらウチの国の子供に見せられるのか。どのようなアニメがウチの国の理想のアニメなのか。わたし、気になります。

アニメ見ないで勉強しろ、ってことじゃないの?

この件って規制よりも保護者の方の要求が度を越しているのが問題のように思える。広電総局の規制だとか中央がどうのこうのよりも、ウチの国の保護者の教育の姿勢を問題にするべきでないの?アニメの真似して友達を木に縛り付けて燃やして大やけどさせるとか、普通だったらそこまでいく前にやっちゃいけないことだとストップがかかるだろう。そういう判断も出来ないまま育ってしまう子供がいるのを心配しないと。

無菌状態で育てたいなら、まず社会のニュースを見せてはいけないね。暴力的なものや精神に対して有害なものも少なくないし。そして何よりも学校に行かせない方が良い。進学するための競争の中で社会の問題に触れてしまうし、よくない情報も入って来るからね!

今の子供の親って、そろそろ80年代生まれとかになるよな。なんでこんなことになっちゃってんだろう。10年前に比べて更にひどくなっている、進歩どころか後退している。今の親の中には価値観、世界観そして人生観がと脆すぎるのが増えてないか?

上の世代が問題かと思ったら、上がってきた次の世代もまた問題があったという所かね。

でもこういうのって、俺はやはり広電総局が規制したいからだと思うぞ。上がやろうと思わなきゃ、保護者のこういう言論がどうやって広まるというんだ?

そんなのあえて探さないでもすぐに見つかる。てかお前も自分の周りを見てみろよ…それに昨今のネットの炎上具合を見れば重点的にコントロールされている分野とそうでない分野の差は分かるだろ。それからウチの国は政府が何かとコントロールしているのは確かだけど、それと同時に「正しくコントロールしろ」というプレッシャーも受けているんだよ。話題になっちゃった、問題として大きくなっちゃった時点で動かないといけなくなってしまう。そして、アニメというのは新しい産業だから潰してもそんなに文句が出ないし、気軽に優先的にやられてしまうわけだ。

私も今回の件は広電総局よりも保護者の問題に思えてしまうわ。広電総局もヒマじゃないし、保護者が騒いでニュースのネタとして話題にならなければこんなことやらなかったんじゃないか。今回のアニメの件に限らず、ウチの国はニュースで目立った方が勝ち、優先的に動いてもらえるっていうのは何とかならんもんかね。

まぁ最近は思想文化方面に関して厳しくなっているのは確かかな。こういう娯楽分野やサブカル分野のものはどんどん規制される。毎日がどんどん過ごしにくくなるよ。

私は日本の深夜枠みたいなのがウチの国にもできないかと本気で願うようになってきた。深夜枠なら子供も寝ているだろうし、めんどくさい親が一緒に見て難癖つけて来ることもないだろうし、そもそも見るのは好きな人間だけだ。

そろそろ「アニメは子供に見せるものじゃない」とかいう話になってきたりしてな。

だから言ったろうが。ウチの国のアニメの最大の敵は政府じゃない、保護者だって!

お前ら「喜羊羊」を子供向けだとか、中身が無いとか、こんなアニメばかりなのは嘆かわしいとか叩きまくってたじゃないか。今お前らの望む通り、「喜羊羊」が叩かれて作品として大ピンチになっているのに、何が不満なんだ?「子供向けアニメは消えろ」という望みがかなったんだろ?

別に「喜羊羊」みたいなアニメを見たいとは思わないが、死滅させたいとも思わんよ。そんなことをしたらウチの国のアニメ自体が終わってしまう。作品が出続けている、話題になっているうちは国産アニメの可能性がまだ残っているとも言える訳だしね。

逆に考えるんだ。これは戦術だ。うるさい保護者の注意をテレビアニメの方に向け、ネットのあれこれに気付かないようにさせるための戦術なんだ!

諸々の圧力の当面の目標を別のものにするという遅滞戦術をやるのはいいが、何も対策が無ければ最終的にネットまで来るのは確定じゃないかい?

テレビアニメのせいにしてしまうのはある意味では危険だよね。それ以外の問題だってあるんだし。私が小さい頃は「トムとジェリー」とか「ウルトラマン」とか現在暴力的だと叩かれている作品を見ていたし、その後も当時ウチの国のテレビで放映していたエヴァなんかをばっちり見て育ったんだけど特に問題を起こすことも無く今まで来ているから、正直アニメの悪影響ってのは実感が湧かない。あえて問題を挙げるとするならば、いまだに中二病が完治しないことくらいかな!

とまぁ、こんな感じで。

▼どぎつさのエスカレート、喜羊羊自身の問題性

テレビアニメが目の敵にされる状況に辟易しているのと共に、アニメを叩けばそれで子供の問題が解決といった風潮があるように感じられることにも頭を抱えていたりする模様です。

こういった規制の強化は日本のアニメの歴史を見ていても似たようなことはあるかと思いますが、中国ではその変化が急激で、現在も続いている知名度の高い作品が対象になってしまっているので余計に拒否感を覚えてしまうのかもしれません。ただ、上の発言にもありますが今回名指しで批判された2作品が全く問題無いわけではないのもややこしい話でして…。

中国のテレビで放映されるアニメは低年齢層を対象としていることから、お色気描写、恋愛描写、暴力、流血描写などの残酷な描写といったものが基本的にタブーとなっていますし、それに加えて当然ながら政治や歴史関係の敏感な話題も避けられています。

しかしそういった「上に怒られ易い」部分についてはかなり気を使ってはいるものの、この2作品がそれ以外の部分、今回問題とされている流血の無い乱暴さや汚い言葉使いという点に関して結構どぎついものになってしまっているのも確かです。流血こそありませんがツッコミや懲らしめるといった行為が、どつき漫才レベルからエスカレートしてどんどん過激になっていますし、セリフに関してもどぎつくなっていたりします。正直、日本でこのレベルをやったら抗議が来そうだなーというのもありましたね。

▼自主検閲とエスカレートの共存

中国の映像作品と規制の流れを見ていると、「ここまでやっちゃったらマズイ」ということについての実例や認識が整備されていない方面、言ってしまえば怒られたことがない、問題にされたことのない分野では自重せずにどんどんエスカレートしてしまう傾向があるのですが、そういった傾向はテレビアニメにおいても存在するように思えます。

そんな訳で、中国のテレビアニメにどこかで規制なりガイドラインの整備なりが入ってしまうのはさすがにしょうがないのかもしれない……とも感じられます。ただ中国の場合はその動きが急激なものである上に勢いに任せてやってしまう所もあるので、番組の視聴者や現場は大混乱になってしまうのですよね。

しかも中国で上からの指導や圧力による規制が発動した場合、細かい部分や割合を考慮せずに一律で「無し」になってしまうケースも少なくないので、その結果ジャンルや関連分野が消滅してしまうケースも珍しくありません。そういった面での影響に関してもイロイロと心配になりますし、今回の件に関してはできるだけソフトにやって欲しいもんだとも思ってしまいます。

とりあえず、こんな所で。

■筆者プロフィール:百元籠羊

90年代から中国現地校に通い、当時中国人の対日感情がどんどん悪化していく中で予想もしなかった「日本のアニメや漫画、オタク文化が好き」な中国人達と遭遇。以後、オタクな中国人との交流が続いている。中国における日本のオタクコンテンツやいつの間にか広まっちゃった日本のオタク文化に対する反応、オタク分野の交流等についての情報を発信するブログを運営中。

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